ユークリッド原論をどう読むか(14)
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ユークリッド原論

第10巻
 
命題10ー55(有理線分と第2の二項線分の矩形に等しい正方形の辺は第1の双中項線分)
もし
 面積
  有理線分第2の二項線分
  とにかこまれる
ならば、
 その面積等し正方形
  第1の双中項線分
とよばれる無理線分である。



 面積ABCDが
  有理線分ABと第2の二項線分AD
  とによってかこまれる
とせよ。
 面積ACに等し正方形
  第1の双中項線分である
と主張する。

 ADは
  第2の二項線分である

から、
 Eでその項に分けられ、
 AEが大きい項である
とせよ。
そうすれば
 AE、EDは
  平方においてのみ通約できる有理線分であり、
 AE上の正方形
  ED上の正方形より
  AEと通約できる線分上の正方形だけ大きく、
 小さい項EDは
  ABと長さにおいて通約できる。
      [......(1)]

 EDが
  Fで2等分され、
      [......(4)]

 EF上の正方形等し
  AE上に正方形だけ欠けている
  矩形AGEがつくられた
とせよ。
そうすれば
 AGは
  GEと長さにおいて通約できる。
      [......(2)]

 G、E、Fを通り
  AB、CDに平行
  GH、EK、FLがひかれ、

 平行四辺形AHに等し
  正方形SNがつくられ、
 正方形NPが
  GKに等しく、
 MNが
  NQと一直線をなすようにおかれた
とせよ。       [......(3)]

そうすれば
 RNもNOとー直線をなす。

 正方形SPが
  完結された
とせよ。        [......(7)]

すると
先の証明から

 [矩形]MRが
  [正方]SN、[正方]NPの比例中項であり、

  [矩形]ELに等しく、

 そして
 MQが
  面積ACに等し正方形である
ことは明らかである。

そこで
 MQが
  第1の双中項線分である
ことを証明しなけれぱならない。
 AEは
  EDと長さにおいて通約できず、
 EDは
  ABと通約できる

から、
 AEは
  ABと通約できない。

そして
 AGは
  EGと通約できる

から、
 AEも
  AG、GEの双方と通約できる。

ところが
 AEは
  ABと長さにおいて通約できない。

したがって
 AG、GEは
  ABと通約できない。

ゆえに
 BAとAG、GEは
  平方においてのみ通約できる有理線分である。

したがって
 [矩形]AH、GKの双方は
  中項面積である。

したがって
 SN、NPの双方も
  中項面積である。

それゆえ
 MN、NQも
  中項《面積》[線分]である。
      [......(5)]

そして
 AGは
  GEと長さにおいて通約できる

から、
 [矩形]AHも
  [矩形]GKと、
すなわち
 [正方]SNは
  [正方]NPと、
すなわち
 MN上の正方形
  NQ上の正方形通約できる。
      [......(6)]

そして
 AEは
  EDと長さにおいて通約できず、

 他方
 AEは
  AGと通約でき《ず》、

 EDは
  EFと通約できる

から、
 AGは
  EFと通約できない。

したがって
 AHも
  ELと通約できない、

 すなわち
 [正方]SNは
 [矩形]MRと、
 すなわち
 ONは
  NRと、
 すなわち
 MNは
  NQと長さにおいて通約できない。

ところが
 MN、NQが
  中項線分であり、
  平方において通約できる
ことが先に証明された。

したがって
 MN、NQは
  平方においてのみ通約できる中項線分である。
        [......(8)]

次に
 有理面積かこむと主張する。
 DEは
  AB、EFの双方と通約できる
と仮定される

から、
 EFも
  EKと通約できる。

そして
 それらの双方は
  有理線分である。

したがって
 EL、すなわちMRは
  有理面積である。

そして
 MRは
  矩形MNQである。

ところがもし
 面積においてのみ通約でき、
  有理面積かこむ二つの中項線分が加えられる
ならば、
 全体は
  無理線分であり、
  第1の双中項線分
とよばれる。

よって
 MQは
  第1の双中項線分である。
これが証明すべきことであった。
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