ユークリッド原論をどう読むか(1)
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目次
ユークリッド原論
第1巻
□定義
-
原論の世界での、ものごとの定義、設定を示している。
<点・直線・面>
定義1ー1(点)
点とは部分をもたないものである。
定義1ー2(線)
線とは幅のない長さである。
-
長さ
は線の第一の属性であり、
異なる線を比較しうる指標である。
(以下、定義1ー2の補足(長さ)という。)
- 線には厚さもない。
定義1ー3(線の端)
線の端は点である。
- 点は線の部分である。
- 線と線とが交わったところは線の端となるので、
それは点である。
- 線の端についての定義ではなく、
「線の端は点であることにする」という設定である。
定義1ー4(直線)
直線とは
その上にある点について
一様に横たわる線である。
- 異なる二直線上にそれぞれ任意に点をとるとき、
この2点が重なるように動かして、
その上でさらに、
直線全体が重なるように動かすことができるということ。
- 一方だけが有限で他方は有限でない直線を半直線という。
(以下、定義1ー4の補足(半直線)という。)
-
定義1ー3により
直線がその上にある点によって2つに分けられる。
そのとき、
同じ側にあるとは、
同じ部分にあることをいい、
反対側にあるとは、
異なる部分にあることをいう。
(以下、定義1ー4の補足2(同じ側・反対側(直線))という。)
- 有限な直線を線分という。
(定義1ー15に見える。定義の補足(命題1ー1)
で実質的に追加されている。)
(以下、定義の補足(命題1ー1)(線分)
という。)
有限直線という記述は、公準1ー2にも見える。
定義1ー5(面)
面とは長さと幅のみをもつものである。
-
幅は、
面の第一の属性であり、
長さを前提とする。
(以下、定義1ー5の補足(幅)という。)
-
厚さはもたない。
定義1ー6(面の端)
面の端は線である。
- 線は面の部分である。
- 面と面とが交わったところは
面の端となるので、
それは線である。
- 面の端についての定義ではなく、
「面の端は線であることにする」という
設定である。
定義1ー7(平面)
平面とは
その上にある直線について
一様に横たわる面である。
- 異なる二平面上にそれぞれ任意に直線をひく。
2直線が重なるように動かして、
その上でさらに、
平面全体が重なるように動かすことができるということ。
- 定義1ー7により
平面がその上にある直線によって2つに分けられる。
そのとき、
同じ側にあるとは、
同じ部分にあることをいい、
反対(異なる)側にあるとは、
異なる部分にあることをいう。
その直線上にない2点は、
同じ側にあるか反対側にあるか
どちらかである。
(以下、定義1ー7の補足(同じ側・反対側(平面))という。)
- 直線上にない点と
直線上の点をむすぶ線分は、
その直線について同じ側にある。
(以下、定義1ー7の補足2(直線外の点から上の点への線分は同じ側)
という。)
<角>
定義1ー8(平面角)
平面角とは
平面上にあって
互いに交わりかつ一直線をなすことのない
二つの線相互の傾きである。
- 平面角とは平面上の角という意味。
- 単純に角ともいう。
- 定義1ー7
の補足にいうように
線や面によって
異なる部分に分かれている場合において、
その一方から他方に線や面が延びていることを
交わるといっている。
線が
他のものと交わってできる
点を
交点という。
(以下、定義1ー8の補足(交わる(直線)・交点)という。)
定義1ー9(直線角)
角をはさむ線が直線であるとき、
その角は直線角とよばれる。
- 直線によって出来る角。
平面角という場合の平面とは意味合いが異なる。
定義1ー10(直角)
直線が直線の上に立てられて
接角を互いに等しくするとき、
等しい角の双方は直角であり、
上に立つ直線は
その下の直線に対して
垂線とよばれる。
-
接角とは
異なる二つの直線角が
それぞれの角をはさむ直線の一つを共有するもの。
(以下、定義1ー10の補足(接角)という。)
-
垂直とは
直線への垂線が
直線となす角
すなわち
直角のことである。
(以下、定義1ー10の補足2(垂直)という。)
- 等しいとは重なり合うもの。(公理1ー7
)
- 直角は直線角となる。
- 互いに等しく接角となっている
二つの直角でできる角(結果的には直線となっている)は
平角とよばれることがある。
平角は常に等しい。(公準1ー4
、公理1ー5
)
定義1ー11(鈍角)
鈍角とは直角より大きい角である。
- 重ねたとき、直角は鈍角の内部に含まれる。
- 直角は鈍角の部分となる。
全体は部分より大きい。(公理1ー8
)
定義1ー12(鋭角)
鋭角とは直角より小さい角である。
- 鋭角は直角の部分となる。
直角は鋭角より大きい。(公理1ー8
)
- 部分は全体より小さい(公理1ー8
)
<境界・図形>
定義1ー13(境界)
境界とはあるものの端である。
定義1ー14(図形)
図形とは
一つまたは二つ以上の境界によって
囲まれたものである。
定義1ー13
の境界で区切られた異なる部分において、
その一方から他方に線や面が延びていることも
交わるといっている。
(以下、定義1ー14の補足(交わる(図形))という。)
定義1ー13
の境界で2つの異なる部分に分けられるとき、
任意の位置にある線分を
公準1ー2の補足(アルキメデスの原理)により、
繰り返し2倍して、
ある回数以降に延長した端がすべて含まれる部分を 外側といい、
もう一方の部分を内側という。
(以下、定義1ー14の補足2(内側・外側(図形))という。)
定義1ー14(図形)、
定義1ー13(境界)
定義1ー3(線の端)
により、
図形の内側の点と外側の点を結ぶ線は
図形の境界(端)と交わり、交点をもつ。
また、両側に無限に伸びた直線について、
反対側にある2点を結ぶと線は、
直線と交わり交点をもつ。
図形の内側の点を通る無限直線は
点の両方向とも外側へ出る。
したがって、
図形の境界と交点を少なくとも2点もつ。
(以下、命題の補足3(定義1ー14)(図形と直線の交点)
という。)
線の端は点である。(定義1ー3
)
<円>
定義1ー15(円)
円とは
一つの線に囲まれた平面図形で、
その図形の内部にある1点から
それへ引かれたすべての線分が
互いに等しいものである。
定義1ー16(中心)
この点は円の中心とよばれる。
- この線分は半径とよばれる。
(以下、定義1ー16の補足(半径)
という。)
- 中心と半径の上にある部分とが、円の内部である。
円の内部では中心とむすんだ線分は半径より小さい。
(以下、定義1ー16の補足2(円の内部)という。)
定義1ー17(直径)
円の直径とは
円の中心を通り
両方向で円周によって限られた
任意の線分であり、
それはまた
円を2等分する。
- 円周とは円の境界つまり端である。
(以下、定義1ー17の補足(円周)という。)
- 2等分とは、
互いに等しいn個の部分に分割すること、
あるいは、
したものをいう。
(定義の補足2(公理1ー6))
-
定義1ー17(直径)、
直径は
半径の2倍であり、
定義1ー15(円)により、
同じ円において
半径は
等しいから、
公理1ー5(同じものの2倍)
により、
同じ円において
直径は
等しい。
(以下、命題の補足2(定義1ー17)(同一円の直径は等しい)
という。)
定義1ー18(半円)
半円とは
直径とそれによって切り取られた弧とによって
囲まれた図形である。
半円の中心は円のそれと同じである。
- 弧とは円周の部分である。
(以下、定義1ー18の補足(弧)という。)
<直線図形>
定義1ー19(直線図形)
直線図形とは
線分に囲まれた図形であり、
三辺形とは三つの、
四辺形とは四つの、
多辺形とは四つより多くの
線分に囲まれた図形である。
定義1ー20(等辺・二等辺・不等辺三角形)
三辺形のうち、
等辺三角形とは三つの等しい辺をもつもの、
二等辺三角形とは二つだけ等しい辺をもつもの、
不等辺三角形とは三つの不等な辺をもつものである。
- 等辺とはすべての辺が等しいこと。
(以下、定義1ー20の補足(等辺)
という。)
- 三角形で三番目に注目する辺のことを底辺という。
(以下、定義1ー20の補足2(底辺)という。)
命題1ー4(2辺挟角相等)に底辺の初出があり、
典型例でもある
。
- 等辺三角形は正三角形のこと。
- 角の対辺はその角に向かい合う辺のこと。
辺の対角はその辺に向かい合う角のこと。
(以下、定義1ー20の補足3(対辺・対角(三角形))
という。)
定義1ー21(直角・鈍角・鋭角三角形)
さらに三辺形のうち、
直角三角形とは直角をもつもの、
鈍角三角形とは鈍角をもつもの、
鋭角三角形とは三つの鋭角をもつものである。
定義1ー22(正方形・矩形・菱形・長斜方形・トラペジオン)
四辺形のうち、
正方形とは等辺でかつ角が直角のもの、
矩形とは角が直角で等辺でないもの、
菱形とは等辺で、角が直角でないもの、
長斜方形とは対辺と対角が等しいが、
等辺でなく角が直角でないものである。
これら以外の四辺形はトラペジオンとよばれる。
- ここ以降の定義、公準、公理、命題において三辺形という用語は見られない。
- 対辺とは向かい合う2辺のことで、
対角とは向かい合う2角のこと。
(以下、定義1ー22の補足(対辺・対角(四角形))
という。)
- 矩形は長方形、長斜方形は平行四辺形のこと。
- 平行四辺形の定義は与えられていないが、
命題1ー34の記述にしたがえば、
向かい合う二組の辺がそれぞれ互いに平行であるというのが
平行四辺形の定義となる。
(以下、定義1ー22の補足2(平行四辺形)
という。)
命題1ー34は平行四辺形が長斜方形であることを論証している。
- 矩形のことを方形ともいう。
(以下、定義1ー22の補足3(方形)
という。)
<平行線>
定義1ー23(平行(線))
平行線とは、
同一の平面上にあって、
両方向に限りなく延長しても、
いずれの方向においても互いに交わらない直線である。
公準(要請)
- 点(交点)、線分、直線、直角、平行線、円が存在し
作図できることを要請している。
次のことが要請されているとせよ。
公準1ー1(作図.直線)
任意の点から任意の点への直線をひくこと。
- 原論の世界には、二つ以上の点がある。
- 線分を描くことができる。
- そもそも、定義1ー1
により「点はどこにでも取れる」
(以下、公準1ー1の補足(作図.任意の点をとる)
という)。
-
公準1ー1の補足により
任意に2点を取り、
公準1ー1により、
2点を結ぶ線分・直線をひくことができる。
これを
「作図.任意の線分・直線をひく」
という。
(以下、公準1ー1の補足2(作図.任意の線分・直線をひく)
という)。
公準1ー2(作図.直線の延長)
および有限直線を連続して一直線に延長すること。
- 線分を延長して直線にできる。
- どんなに小さい線分でも繰り返し2倍すれば、
いくらでも大きくなる。
また、
どんなに大きい線分でも繰り返し半分にすれば
いくらでも小さくなる。
アルキメデスの原理という。
(以下、公準1ー2の補足(アルキメデスの原理)
という。)
- 命題2のように、
一方向にのみ延長して、半直線を作ることが多い。
公準1ー3(作図.円)
および任意の点と距離(長さ)とをもって円を描くこと。
- 円が描ける。
- 任意の点を中心とし、
この中心からの任意の距離という意味である。
- 任意の点を中心とし、
他のところでの任意の距離という意味ではない。
公準1ー4(直角は等しい)
およびすべての直角は互いに等しいこと。
- 定義1ー10の直線上にある
接角としての二つの直角のことについて
言っているのではない。
- 任意の点で直角を描けるということは、
命題11で証明される。
- 定義1ー4
、定義1ー10
により、
すべての直角が等しいことが導かれうるが、
原論は動かして重ねる論法を極力さけている。
そのため、
任意の点で直角を描くことができる
したがって、
任意の点で指定された大きさの角を描くことができる
ということを述べている。
また、公準1ー5
で直角が角の大きさの単位として登場するため、
前以てここで公準1ー4として述べている。
公準1ー5(平行線公準)
および
1直線が2直線に交わり
同じ側の内角の和を2直角より小さくするならば、
この2直線は限りなく延長されると
2直角より小さい角のある側において交わること。
- 所謂、平行線公理である。
- 内角とは内側の角のことである。
(以下、定義の補足(公準1ー5)(内角)
という。)
- この公準の逆
「1直線が2直線に交わり、
この2直線が交わっているとき、
交わった側の内角の和は2直角より小さい」ことは、
この公準なしに証明される(命題17)
- また、この公準なしに、
内角の和が2直角であれば、
2直線は平行であることが証明される(命題27)。
- 内容的には、
2直線の交点の存在条件を示している。
単に点をとるだけなら
公準1ー1の補足
によりどこにでもとれるが、
交点は、
存在が保証されなければ、
とることができない。
公理(共通概念)
- 等・不等についての
定義、確認方法、推論方法を示している。
<等・不等>
公理1ー1(同じものに等しい)
同じものに等しいものは
また互いに等しい。
- 等しいことの定義は、実質的には公理1ー7
による。
- 等しいものに等しいものは
また互いに等しい。
(以下、公理1ー1の補足(等しいものに等しい)
という。)
原論では、
同じと等しいを区別している。
AにB、Cが等しいとき、
BとCが等しい
ことを主張するのが
公理1ー1で、
AとCが等しくて、
さらに
AとB、CとDが等しいとき
BとDが等しい
ことを主張するのが
公理1ー1の補足である。
証明は、
AとCが等しく、
AとBが等しいので、
公理1ー1より
CとBが等しいことになり、
さらに
CとDが等しいので、
再度公理1ー1より
BとDが等しくなる
ことによる。
公理1ー2(等しいものに等しいものを加える)
また等しいものに等しいものが加えられれば、
全体は等しい。
公理1ー3(等しいものから等しいものをひく)
また等しいものから等しいものがひかれれば、
残りは等しい。
公理1ー4(不等なものに等しいものを加える)
また不等なものに等しいものが加えられれば
全体は不等である。
- 不等とは等しくないこと。
大きいか小さいかいずれかのこと。
相等とは互いに等しいこと。
(以下、定義の補足(公理1ー4)(不等・相等)
という。)
- 「等しいものをひいて不等なものは不等である」と
表現することもできる。
- 「不等なものから等しいものをひいても不等である」
(以下、公理1ー4の補足2(不等なものから等しいものをひく)
という。)
- 「大きいものどうしを加えれば大きい。」「小さいものどうしを加えれば小さい。」
(以下、公理1ー4の補足3(大きい(小さい)ものどうしを加える)
という。)
-
「和が等しい2組のものがあるとき、前者の一方が後者の一方より大きいならば、前者の他方は後者の他方より小さい。」
(以下、公理1ー4の補足4(和が等しく一方が大きい)
という。)
前者の
一方が大きく他方が等しいならば
公理1ー4により、
また、
前者が
両方とも大きければ
公理1ー4の補足3により
前者が大きくなり、
和が等しいことに矛盾する。
公理1ー5(同じものの2倍)
また同じものの2倍は互いに等しい。
- n倍とは同じものn個分の和のこと。
(以下、定義の補足(公理1ー5)(同じもののn倍)
という。)
- 同じものを2倍してできたものがいくつかあるとき、
それらは互いに等しいということ。
- 等しいもののn倍は互いに等しい。
また、
n倍に等しいものはn倍である。
(以下、公理1ー5の補足2(等しいもののn倍、n倍に等しいもの)
という。)
公理1ー1
の補足のように
推移律が成立しないので
公理1ー5だけでは
証明できない。
原論の精神からすると、
公理1ー7
により
重ね合わせができた段階で、
等しいと判断するので、
この補足が成立する。
公理1ー6(同じものの半分)
また同じものの半分は互いに等しい。
- 半分とは2倍すれば元のものに等しくなるもの。
(以下、定義の補足(公理1ー6)(半分)
という。)
- 同じものを半分にしてできたものがいくつかあるとき、
それらは互いに等しいということ。
- 半分に分けるとき同時に出来る
二つの半分のものどうしという意味だけではない。
- n等分とは
互いに等しいn個の部分に分割すること、
あるいは、
したものをいう。
n分の1ともいう。
(以下、定義の補足2(公理1ー6)(n等分・n分の1)
という。)
半分は2等分したものである。
定義1ー17
にある。
- 等しいもののn等分は互いに等しい。
また、
n等分に等しいものはn等分である。
(以下、公理1ー6の補足3(等しいもののn等分、n等分に等しいもの)
という。)
公理1ー7(等しい)
また互いに重なり合うものは互いに等しい。
- 等しいということの定義である。
- 面積の場合、切り張りして過不足なく重なり合えば等しいとしている。命題1ー35参照のこと。
- 線分、角については、
定義1ー4
、定義1ー9
により、
互いに重なりあうか、
一方が他方の部分となる。
したがって、
次の公理1ー8
により、
「二つの線分あるいは二つの角について、
等しいものは
重なりあう。
また
一方は、
他方と等しいか、他方より大きいか、他方より小さいか、
のいずれかである」
(以下、公理1ー7の補足(線分・角は大か等か小)
という。)
<大きい>
公理1ー8(大きい)
また全体は部分より大きい。
- 大きいということの定義である。
- 部分は全体より小さい。(小さいということの定義である。
(以下公理1ー8の補足(小さい)
という)
- この定義と公理1ー1
、公理1ー7
から、
「あるものAについて、
Aに等しいものBより大きいものCは、
Aより大きい」
また、
「あるものAについて、
Aに等しいものBより小さいものCは、Aより小さい」など
(以下、公理1ー8の補足2(等より大・小、大・小に等)
という)と推論できる。
なぜなら、
BとCを重ねると公理1ー8よりBはCの部分となる。
BとCを重ねたところのBにAを重ねると
公理1ー1と
公理1ー7
よりAとBは互いに重なり合う。
この状態を良く見ると
AはCの部分となっている。
公理1ー8よりCはAより大きいと推論できる。
同様に、
「大きいものより大きいものは大きい」
「小さいものより小さいものは小さい」など
(以下、公理1ー8の補足3(大きい・小さいものより大きい・小さい)
という。)
-
定義の補足(公理1ー5)
、定義の補足2(公理1ー6)
、公理1ー8により
「大きいもののn倍は大きい」
「大きいもののn等分は大きい」
が成立する。
また、
定義の補足(公理1ー5)
、定義の補足2(公理1ー6)
、公理1ー8の補足により
「小さいもののn倍は小さい」
「小さいもののn等分は小さい」
が成立する。
(以下、公理1ー8の補足4(大きい・小さいもののn倍・n等分)
という。)
-
全体からある部分を引いて、
残りの部分となる
とき、
ある部分と残りの部分を加えると
全体である。
逆に、
ある部分と別の部分を加えて
全体となる
とき、
全体からある部分をひくと
別の部分となる。
(以下、公理1ー8の補足5(全体、ひく部分、残る部分)
という。)
-
全体がある部分と他の部分からなる
とき、
ある部分が全体の半分より大きい
ならば、
半分より大きい分だけ
他の部分は半分より小さい。
(以下、公理1ー8の補足6(半分より大きい、小さい)
という。)
<一致>
公理1ー9(2点を通る直線は一致)
また2線分は面積を囲まない。
- 2点を共通の端点とする線分は一致する。
唯一つ存在する。
2点を通る直線は
公準1ー1により描くことができる。
この公理は、
唯一であることを公理として述べる。
一致すなわち相等を述べているので公理である。
- 線分で面積を囲むには3本以上必要である。
- 公準1ー2
により線分は直線に延長でき、
定義1ー4
により直線は動かして重ねることができるので、
2点を共通の端点とする線分は一致するというように、
この公理を導くことができるのではないか。
ただし、
原論は、動かして重ねるという推論を活用しつつも、
やむをえない場合を除き、
この推論を避けようとしている。
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