ユークリッド原論をどう読むか(1)
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ユークリッド原論


第1巻

□定義

  <点・直線・面>
定義1ー1(点)
 とは部分をもたないものである。 定義1ー2(線)
 とは幅のない長さである。 定義1ー3(線の端)
 の端はである。 定義1ー4(直線)
 直線とは
 その上にあるについて
 一様に横たわるである。 定義1ー5(面)
 とは長さと幅のみをもつものである。 定義1ー6(面の端)
 の端はである。 定義1ー7(平面)
 平面とは
 その上にある直線について
 一様に横たわるである。
  <角>
定義1ー8(平面角)
 平面角とは
 平面上にあって
 互いに交わりかつ一直線をなすことのない
 二つの相互の傾きである。
定義1ー9(直線角)
 をはさむ直線であるとき、
 その直線角とよばれる。
定義1ー10(直角)
 直線直線の上に立てられて
 接角を互いに等しくするとき、
 等しい角の双方は直角であり、
 上に立つ直線
 その下の直線に対して
 垂線とよばれる。
定義1ー11(鈍角)
 鈍角とは直角より大きい角である。
定義1ー12(鋭角)
 鋭角とは直角より小さいである。
  <境界・図形>
定義1ー13(境界)
 境界とはあるものの端である。

定義1ー14(図形)
 図形とは
 一つまたは二つ以上の境界によって
 囲まれたものである。
  • 定義1ー13 の境界で区切られた異なる部分において、
     その一方から他方に線や面が延びていることも
     交わるといっている。
     (以下、定義1ー14の補足(交わる(図形))という。)
  • 定義1ー13 の境界で2つの異なる部分に分けられるとき、
     任意の位置にある線分を
     公準1ー2の補足(アルキメデスの原理)により、
     繰り返し2倍して、
     ある回数以降に延長した端がすべて含まれる部分を 外側といい、
     もう一方の部分を内側という。
     (以下、定義1ー14の補足2(内側・外側(図形))という。)

  •  定義1ー14(図形)、
     定義1ー13(境界)
     定義1ー3(線の端)
    により、 
     図形の内側の点と外側の点を結ぶ線は
     図形の境界(端)と交わり、交点をもつ。
    また、両側に無限に伸びた直線について、
     反対側にある2点を結ぶと線は、
     直線と交わり交点をもつ。
    図形の内側の点を通る無限直線は
     点の両方向とも外側へ出る。
    したがって、
     図形の境界と交点を少なくとも2点もつ。

     (以下、命題の補足3(定義1ー14)(図形と直線の交点) という。)
  • 線の端は点である。(定義1ー3

      <円>
    定義1ー15(円)
     とは
     一つのに囲まれた平面図形で、
     その図形の内部にある1から
     それへ引かれたすべての線分
     互いに等しいものである。

    定義1ー16(中心)
     この中心とよばれる。
    定義1ー17(直径)
     直径とは
     中心を通り
     両方向で円周によって限られた
     任意の線分であり、
     それはまた
     2等分する。
    定義1ー18(半円)
     半円とは
     直径とそれによって切り取られたとによって
     囲まれた図形である。
    半円中心のそれと同じである。
      <直線図形>
    定義1ー19(直線図形)
     直線図形とは
     線分に囲まれた図形であり、
     三辺形とは三つの、
     四辺形とは四つの、
     多辺形とは四つより多くの
     線分に囲まれた図形である。
    定義1ー20(等辺・二等辺・不等辺三角形)
     三辺形のうち、
     等辺三角形とは三つの等しいをもつもの、
     二等辺三角形とは二つだけ等しいをもつもの、
     不等辺三角形とは三つの不等をもつものである。
    定義1ー21(直角・鈍角・鋭角三角形)
     さらに三辺形のうち、
     直角三角形とは直角をもつもの、
     鈍角三角形とは鈍角をもつもの、
     鋭角三角形とは三つの鋭角をもつものである。

    定義1ー22(正方形・矩形・菱形・長斜方形・トラペジオン)
     四辺形のうち、
     正方形とは等辺でかつ直角のもの、
     矩形とは直角等辺でないもの、
     菱形とは等辺で、直角でないもの、
     長斜方形とは対辺対角等しいが、
     等辺でなく直角でないものである。
    これら以外の四辺形トラペジオンとよばれる。
      <平行線>
    定義1ー23(平行(線))  平行線とは、
     同一の平面上にあって、
     両方向に限りなく延長しても、
     いずれの方向においても互いに交わらない直線である。

    公準(要請)
    次のことが要請されているとせよ。
    公準1ー1(作図.直線)
     任意のから任意のへの直線をひくこと。
    公準1ー2(作図.直線の延長)
     および有限直線を連続して直線に延長すること。
    公準1ー3(作図.円)
     および任意のと距離(長さ)とをもってを描くこと。
    公準1ー4(直角は等しい)
     およびすべての直角は互いに等しいこと。
    公準1ー5(平行線公準)
     および
     1直線が2直線交わり
     同じ側の内角の和を2直角より小さくするならば、
     この2直線は限りなく延長されると
     直角より小さいのあるにおいて交わること。

    公理(共通概念)
      <等・不等>
    公理1ー1(同じものに等しい)
     同じものに等しいものは
     また互いに等しい

    公理1ー2(等しいものに等しいものを加える)
     また等しいものに等しいものが加えられれば、
     全体は等しい


    公理1ー3(等しいものから等しいものをひく)
     また等しいものから等しいものがひかれれば、
     残りは等しい


    公理1ー4(不等なものに等しいものを加える)
     また不等なものに等しいものが加えられれば
     全体は不等
    である。
    公理1ー5(同じものの2倍)
     また同じものの2倍は互いに等しい
    公理1ー6(同じものの半分)
     また同じものの半分は互いに等しい
    公理1ー7(等しい)
     また互いに重なり合うものは互いに等しい
      <大きい>
    公理1ー8(大きい)
     また全体は部分より大きい
      <一致>
    公理1ー9(2点を通る直線は一致)
     また線分は面積を囲まない

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