ユークリッド原論をどう読むか(14)
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ユークリッド原論

第10巻
 
命題10ー23(中項線分と平方で通約なら中項線分)
(中項面積と通約なら中項面積)
中項面積
長さ、平方においても通約できる中項線分
平方においてのみ通約できる中項線分
(平方で通約の中項線分の平方和は中項面積)
(有理面積と中項面積は非通約)

 中項線分と[平方において通約できる線分
 中項線分である。




 Aを中項線分
とし、
 BをAと[平方において]通約できる
とせよ。

 Bも中項線分である
と主張する。

 有理線分CDが定められ、
 A上の正方形等しく
 EDをとする矩形CEが
 CD上につくられた
とせよ。
      [......(a)]

そうすれば
 EDは有理線分であり、
 CDと長さにおいて通約できない。

そして
 B上の正方形等しく
 DFをとする矩形CFが
 CD上につくられた
とせよ。
      [......(b)]

そうすれば
 AはBと[平方において]通約できる

から、
 A上の正方形
 B上の正方形通約できる。

ところが
 ECはA上の正方形等しく
 CFはB上の正方形等しい

したがって
 ECはCFと通約できる。

そして
 ECがCFに対するように
 EDがDFに対する

したがって
 EDは
 DFと長さにおいて通約できる。

ところが
 EDは有理線分であり、
 DCと長さにおいて通約できない。

したがって
 DFも有理線分であり、
 DCと長さにおいて通約できない。

それゆえ
 CD、DFは有理線分であり
 平方においてのみ通約できる。

ところで
 平方においてのみ通約できる有理線分
 によってかこまれる矩形
 に等しい正方形中項線分である。

したがって
 矩形CD、DFに等しい正方形
 中項線分である。

そして
 Bは矩形CD、DF
 に等しい正方形である。

したがって
 Bは中項線分である。

 系
これから
 次のことが明らかである、
すなわち
 中項面積通約できる面積は
 中項面積である。

(以下、命題10ー23の系 (中項面積と通約なら中項面積)という。)

そして
 有理線分についていわれたこと
と同様に
 中項線分についても、

 中項線分
 長さにおいて通約できる線分
 中項線分であり、
 それと
 長さにおいてのみでなく
 平方においても通約できる

といわれる、

(以下、定義の補足3(命題10ー23) (長さ、平方においても通約できる中項線分)という。)

なぜなら
 一般に
 長さにおいて通約できる線分
 必ず平方においても通約できる
から。

しかし
もし
 何らかの線分
 中項線分平方において通約できる
ならば、
 それが長さにおいても通約できる
場合には、
 これらは中項線分であり、
 長さ平方において通約できる
といわれるが、

 [中項線分中項線分と]
 平方においてのみ通約できる
場合には、
 これらは
 平方においてのみ通約できる中項線分
といわれる。
(以下、定義の補足4(命題10ー23) (平方においてのみ通約できる中項線分)という。)
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