ユークリッド原論をどう読むか(10)
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ユークリッド原論
第6巻
命題6ー17(比例3線分と外項矩形、中項正方形)
(作図.線分上に矩形と等しい正方形)
(等しいものの比例中項は等しい)
もし
3線分が比例する
ならば、
外項にかこまれた矩形は
中項の上に立つ正方形に等しい。
そしてもし
外項にかこまれた矩形が
中項の上に立つ正方形に等しい
ならば、
3線分は
比例するであろう。
3線分A、B、Cが比例する、
すなわち
AがBに対するように、
BがCに対するとせよ。
-
命題6ー13(作図.2線分の比例中項)
による。
-
A、B
に対して、
C[;;A:B=B:C]
をとっている。
A、Cにかこまれた矩形は
B上の正方形に等しい
と主張する。
《DがBに等しいとせよ。》
[Bに等しい線分Dをひく。]
【・・・(a)】
-
命題1ー2(作図・線分)
による。
-
D[;;D=B]
をとっている。
そうすれば
AがBに対するように、
BがCに対し、
-
命題の設定による。
-
A:B=B:C
となっている。
BはDに等しいから、
AがBに対するように、
DがCに対する。
ところがもし
4線分が比例するならば、
外項にかこまれた矩形は
内項にかこまれた矩形に等しい。
それゆえ
矩形A、Cは
矩形B、Dに等しい。
ところが
BはDに等しいから、
矩形B、DはB上の正方形である。
-
定義1ー22(正方形・矩形・菱形・長斜方形・トラペジオン)
による。
-
矩形(B,D)=正方(_B)
となっている。
ゆえに
A、Cにかこまれた矩形は
B上の正方形に等しい。
-
公理1ー1(同じものに等しい)
による。
-
矩形(A,C)=正方(_B)
となっている。
次に
矩形A、Cが
B上の正方形に等しいとせよ。
-
矩形(A,C)
に対して、
命題6ー13(作図.2線分の比例中項)
により
B[;;A:B=B:C]、
正方(_B)
をとれば、
本命題の前半により、
矩形(A,C)=正方(_B)
となる。
この作図方法
を前提とせず
仮想的に作図された
として
後半を証明する。
-
矩形(A,C)=正方(_B)
をとっている。
AがBに対するように、
BがCに対すると主張する。
同じ作図がなされたとき、
【・・・(b)】
-
(a)のことである。
-
D[;;D=B]
をとっている。
矩形A、CがB上の正方形に等しく、
-
命題の設定
による。
-
矩形(A,C)=正方(_B)
となっている。
他方
BはDに等しいから、
B上の正方形は矩形B、Dである。
-
定義1ー22(正方形・矩形・菱形・長斜方形・トラペジオン)
による。
-
正方(_B)=矩形(B,D)
となっている。
それゆえ
矩形A、Cは
矩形B、Dに等しい。
-
公理1ー1(同じものに等しい)
による。
-
矩形(A,C)=矩形(B,D)
となっている。
ところがもし
外項にかこまれた矩形が
内項にかこまれた矩形に等しければ、
4線分は
比例する。
ゆえに
AがBに対するように、
DがCに対する。
ところが
BはDに等しい。
したがって
AがBに対するように、
BがCに対する。
よってもし
3線分が比例するならば、
外項にかこまれた矩形は
中項の上に立つ正方形に等しい。
そしてもし
外項にかこまれた矩形が
中項の上に立つ正方形に等しいならば、
3線分は
比例するであろう。
これが証明すべきことであった。
-
矩形CD、DFと等しい
線分AB上の正方形をつくる
ことができる。
(以下、命題6ー17の補足
(作図.線分上に矩形と等しい正方形)という。)
なぜなら、
命題6ー13(作図.2線分の比例中項)
により、
CD:AB=AB:DF
となるABをもとめ、
命題1−46(作図.線分上に正方形)
により
AB上に正方形をつくる
ことができるから。
-
命題6ー17(比例3線分と外項矩形、中項正方形)
命題1−48の補足(正方形の大等小と辺の大等小)
により、
等しいものの比例中項は等しい。
(以下、命題6ー17の補足2
(等しいものの比例中項は等しい)という。)
-
命題6ー17の補足 (作図.線分上に矩形と等しい正方形)
-
命題6ー17の補足2 (等しいものの比例中項は等しい)
- 命題6ー17は推論用命題である。
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