ユークリッド原論をどう読むか(14)
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ユークリッド原論
第10巻
命題10ー36
(平方でのみ通約の有理線分の和は無理線分(二項線分))
二項線分
もし
平方においてのみ通約
できる
二つの
有理線分
が加えられる
ならば,
全体は
無理線分
であり,
そして
二項線分
とよばれる。
平方においてのみ通約は、
定義の補足(命題10ー19助)
による。
有理線分は、
定義10ー3の補足
による。
無理線分は、
定義10ー4
による。
二項線分
は、
平方においてのみ通約
できる
二つの
有理線分
の和(無理線分)
のことをいう。
(以下、
定義の補足(命題10ー36)
(二項線分)という。)
平方においてのみ通約
できる
二つの
有理線分
AB,BC
が加えられた
とせよ。
命題10ー10
(作図.平方のみ通約の線分・平方でも非通約の線分)
による。
有理線分AB、
有理線分BC(;∩^^2 AB)
をとっている。
AC全体は
無理線分
である
と主張する。
ABは
BCと
平方においてのみ通約
できる
から,
長さにおいて通約
できない。
定義の補足(命題10ー19助)
(平方においてのみ通約)
による。
AB¬∩BC
となっている。
そして
ABがBCに
対するように
,
矩形
ABCがBC上の
正方形
に
対する
命題10ー22助
(2線分は一方の上の正方形と両者の矩形に比例)
による。
AB:BC=矩形(AB,BC):正方(_BC)
となっている。
から,
矩形
AB,BCは
BC上の
正方形
と
通約
できない。
命題10ー11
(4量比例で一方が通約なら他方も通約)
による。
矩形(AB,BC)¬∩正方(_BC)
となっている。
ところが
矩形
AB,BCの2
倍
は
矩形
AB,BCと
通約
でき,
定義10ー1
(通約)
による。
2矩形(AB,BC)∩矩形(AB,BC)
となっている。
AB,BC上の
正方形
の和は
BC上の
正方形
と
通約
できる,
命題の設定
、
定義の補足(命題10ー19助)
(平方においてのみ通約)、
命題10ー15
(通約量はその和・差とも通約)
による。
正方(_AB)+正方(_BC)∩正方(_BC)
となっている。
なぜなら
AB,BCは
平方においてのみ通約
できる
有理線分
である
から。
「なぜなら・・・から」は
コメント2(命題1ー16)
を参照のこと。
したがって
矩形
AB,BCの2
倍
は
AB,BC上の
正方形
の和と
通約
できない。
前々節、前々々節、前々々々節、
命題10ー13
(通約量と非通約なら非通約)
による。
2矩形(AB,BC)¬∩ 正方(_AB)+正方(_BC)
となっている。
そして
合比
により
矩形
AB,BCの2
倍
と
AB,BC上の二つの
正方形
との和,
すなわち
AC上の
正方形
は,
AB,BC上の
正方形
の和
と
通約
できない。
前節、
命題2ー4
(2分線分上の正方形)
命題10ー16
(非通約量はその和・差とも非通約)
による。
「合比により」は、
2矩形(AB,BC):正方(_AB)+正方(_BC)
という比から、
2矩形(AB,BC)+正方(_AB)+正方(_BC)
:正方(_AB)+正方(_BC)
という比に考察を移すことをいう。
推論の根拠を示しているのではない。
正方(_AC)¬∩ 正方(_AB)+正方(_BC)
となっている。
ところが
AB,BC上の
正方形
の和は
有理面積
である。
命題の設定
、
定義10ー4の補足
(有理面積、無理面積)
命題10ー15
(通約量はその和・差とも通約)
による。
正方(_AB)+正方(_BC);有理面積
となっている。
したがって
AC上の
正方形
は
無理面積
である。
定義10ー4の補足
(有理面積、無理面積)
による。
正方(_AC);無理面積
となっている。
よって
ACも
無理線分
であり,
そして
二項線分
とよばれる。
定義10ー4
(面積の有理、無理、無理線分)
による。
AC;無理線分
となっている。
これが証明すべきことであった。
命題10ー36
は、
有理線分AB、
有理線分BC(;∩^^2 AB)
をとれば、
AC全体は無理線分
のことである。
命題10ー36
は推論用命題である。
前提
作図・構成
推論
定義
10-1
,
10-4
,
10-4補
,
補(題10-19助)
公準
公理
命題
10-10
2-4
,
10-11
,
10-13
,
10-15
,
10-16
,
10-22助
その他
コ2(題1-16)
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