ユークリッド原論をどう読むか(2)
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ユークリッド原論
第1巻
命題1ー14(直線と2直角2)
「〜以外の」
もし
任意の直線に対して
その上の点において
同じ側にない2直線が
接角の和を2直角に等しくする
ならば、
この2直線は
互いに一直線をなす
であろう。
直線ABに対して
その上の点Bにおいて
同じ側にない2直線BC、BDが
接角ABC、ABDの和を
2直角に等しくする
とせよ。
-
直線AB、
点C[AB外]、
直線(C,B]、
D;(∠ABC+∠ABD=2×∠R)
をとっている。
BDはCBと一直線をなす
と主張する。
もし
BDが
BCと一直線をなすのでない
ならば、
BEをCBと一直線をなす
とせよ。
【・・・(a)】
[EがBDについて
Aと同じ側にある場合]
-
公準1ー2(作図.直線の延長)
により、
CBを
Bの方向へ延長した部分を
BEとする。
-
EがBDについて、
Aと同じ側の場合と、
反対側の場合と
がある。
以下、
Aと同じ側にある場合を論じている。
そうすれば
直線ABは直線CBEの上に立つ
から、
角ABC、ABEの和は2直角に等しい。
【・・・(1)】
-
(a),
命題1ー13(直線と2直角1)
による。
-
∠ABC+∠ABE=2×∠R
となっている。
ところが
角ABC、ABDの和も2直角に等しい。
-
命題の設定
による。
-
∠ABC+∠ABD=2×∠R
となっている。
それゆえ
角CBA、ABEの和は
角CBA、ABDの和に等しい。
-
(1)、
公理1ー1(同じものに等しい)
による。
-
∠ABC+∠ABE
=∠ABC+∠ABD
となっている。
双方から
角CBAが引き去られた
とせよ。
そうすれば
残りの角ABEは
残りの角ABDに等しい、
-
公理1ー3(等しいものから等しいものをひく)
による。
-
∠ABE=∠ABD
となっている。
すなわち
小さいものが大きいものに等しい。
-
(a)
により、
直線BEとBDが一致していない
から、
角ABEと角ABDのいずれか一方の部分に
他方がなる。
つまり
等しくない。
これは不可能である。
それゆえ
BEはCBと一直線をなさない。
[EがBDについて
Aと異なる側にある場合]
同様にして
BD以外の他のいかなる直線も
そうならない
ことを証明しうる。
ゆえに
CBはBDと一直線をなす。
-
背理法が
この命題以前にも用いられてきた
が、
「同様にして
〜以外の他のいかなる〜も
〜でないことを証明しうる。」
という表現は
初めてである。
この表現は、
EがBDについて
Aと反対側にある場合も
同様に証明できる
という意味である。
背理法により、
点をとる
とき、
とる位置が
場合分けされる
ときに
この表現が
用いられる。
以下、コメント(命題1ー14)(〜以外の)という。
よって
[2つの場合により]
もし
任意の直線に対して
その上の点において
同じ側にない2直線が
接角の和を2直角に等しくする
ならば、
この2直線は互いに一直線をなす
であろう。
これが証明すべきことであった。
-
命題1-14は、
直線AB
について、
点C[AB外]、
直線(C,B]、
D;(∠ABC+∠ABD=2×∠R)
をとるならば、
D;延長CB
ということである。
- 命題1-14は推論用命題である。
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