ユークリッド原論をどう読むか(5)
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ユークリッド原論
第2巻
命題2ー4
(2分線分上の正方形)
(正方形の対角線をはさむ正方形)
>
もし
線分
が
任意に2分されるならば、
全体の上の
正方形
は、
二つの部分の上の
正方形
と、
二つの部分によって
かこまれた
矩形
の2
倍
と
の和に
等しい
。
線分は、
定義の補足(命題1ー1)
による。
正方形は、
定義1ー22
による。
かこまれたは、
定義2ー1
による。
矩形は、
定義1ー22
による。
倍は、
定義の補足(公理1ー5)
による。
等しいは、
公理1ー7
による。
線分
ABが
Cにおいて任意に分けられたとせよ。
AB上の
正方形
は
AC、CB上の
正方形
と
AC、CBに
かこまれた
矩形
の2
倍
と
の和に
等しい
と主張する。
AB上に
正方形
ADEBが描かれ、
命題1−46
による。
BDが結ばれ
公準1−1
による。
Cを通り
AD、EBのどちらかに
平行
に
CFがひかれ、
命題1−31
により一方に平行に引くと、
命題1−30
により他方とも平行となる。
「どちらかに」については、
コメント(命題2ー2)
を参照のこと
[CFとBDとの交点をGとし、]
BDとBEは交わっており、
CFとBEは平行だから、
命題1−30の補足
により交わる。
この点をGとする。
Gを通り
AB、DEのどちらかに
平行
に
HIがひかれたとせよ。
命題1−31
により一方に平行に引くと、
命題1−30
により他方とも平行となる。
命題1−30の補足
により、
CFと交わっているHIは
CFに平行なAB、DEと交わり、
その交点をそれぞれH、Iとして、
溯ってH、Iを用いている。
そうすれば、
CFはADに
平行
であり、
作図の設定である。
BDがそれらに
交わる
から、
外角
CGBは
内対角
ADBに
等しい
。
命題1−29
による。
平行線に直線が交わっているとき、
平行線の外側にできる角を外角、
その同位角を内対角と表現している。
定義の補足(命題1−16)
ところが
辺
BAがADに
等しい
から、
作図の設定である。
角
ADBは
角
ABDに
等しい
。
命題1−5
による。
それゆえ
角
CGBは
角
GBCにも
等しい
。
公理1−1
による。
ゆえに
辺
BCも
辺
CGに
等しい
。
命題1−6
による。
ところが
BCはGIに、
CGはIBに
等しい
。
作図の設定により、
BCとGI、
CGとIB
はそれぞれ平行だから、
命題1−34
により、
それぞれ等しい。
したがって
GIもIBにひとしい。
公理1−1
による。
よって
CGIBは
等辺
である。
定義1−20の補足
による。
ついで
矩形
でもあると主張する。
CGはBIに
平行
であるから、
作図の設定である。
角
IBC、GCBの和は
2
直角
に
等しい
。
命題1−29
による。
また
角
IBCは
直角
である。
作図の設定である。
それゆえ
BCGも
直角
である。
公理1−3
による。
ゆえに
対角
CGI、GIBも
直角
である。
命題1−34
による。
しかも
等辺
であることも先に証明された。
したがって
正方形
である。
定義1−22
による。
「
正方形の対角線上の点を通り、
対角線をはさむ2組の2辺に
それぞれ平行な直線を引いてできる、
対角線をはさむ2つの平行四辺形は、
ともに正方形である。
」
(以下、
命題2ー4の補足
(正方形の対角線をはさむ正方形)という。)
ことが証明された。
次の命題以降、
この部分の証明を原論は省略している
そして
CBの上にある。
同じ理由でHFも
正方形
である。
すなわち命題2ー4の補足による。
そして
HGすなわちACの上にある。
ACの上にあるとは、
ACを一辺とする正方形である
という意味である。
それゆえ
HF、ICは
AC、CB上の
正方形
である。
命題2ー4の補足の正方形は、
「元の正方形の辺を
平行線で2分したものの
上の正方形となっている。」
(以下、これも含めて命題2ー4の補足(正方形の対角線をはさむ正方形)という。)
rec(HF)=sq(_AC)
rec(IC)=sq(_CB)
【・・・(1)】
そしてAGはGEに等しく、
辺AC、CGは
それぞれ辺IE、GIに等しいから、
定義2ー1
による。
矩形AGという表現は
点A、Gに依存するので、
矩形GEと別物と扱ったうえで、
等しいと表現している。
rec(AG)=rec(GE)
【・・・(2)】
また、
GCがCBに
等しい
ゆえ、
上の命題2ー4の補足による。
AGは
矩形
AC、CBであるから、
定義2ー1
による。
rec(AG)=rec(AC、CB)
【・・・(3)】
GEも
矩形
AC、CBに
等しい
。
命題1−43
による。
(2)
(3)
より
rec(GE)=rec(AC、CB)
【・・・(4)】
それゆえ
AG、GEの和は
矩形
AC、CBの2
倍
に
等しい
。
公理1−2
、
定義の補足(公理1ー5)
による。
(3)
(4)
より
rec(AG)+rec(GE)
=2×rec(AC、CB)
【・・・(5)】
また
HF、CIは
AC、CB上の
正方形
である
[ことは先に証明された]。
(1)
による。
rec(HF)=sq(_AC)、
rec(CI)=sq(_CB)
となっている。
ゆえに、
HF、CI、AG、GEの四つの和は、
AC、CB上の
正方形
と
AC、CBに
かこまれた
矩形
の2
倍
と
の和に
等しい
。
公理1−2
による。
(1)
(5)
より
rec(HF)+rec(CI)
+rec(AG)+rec(GE)
=sq(_AC)+sq(_CB)
+2×rec(AC、CB)
【・・・(6)】
ところが
HF、CI、AG、GEの和は
ADEB全体、
すなわちAB上の
正方形
である。
公理1−7
による。
rec(HF)+rec(CI)
+rec(AG)+rec(GE)
=sq(_AB)
【・・・(7)】
したがって
AB上の
正方形
は
AC、CB上の
正方形
と
AC、CBに
かこまれた
矩形
の2
倍
と
の和に
等しい
。
公理1−1
による。
(6)
(7)
より
sq(_AC)+sq(_CB)
+2×rec(AC、CB)
=sq(_AB)
となっている。
よってもし
線分
が任意に2分されるならば、
全体の上の
正方形
は、
二つの部分の上の
正方形
と、
二つの部分によって
かこまれた
矩形
の2
倍
と
の和に
等しい
。
これが証明すべきことであった。
対角線は
以下グノーモーンの活用のために
登場したと見られる。
以下のような証明が可能である。
命題2−2
により
矩形BA、ACと矩形AB、BCの和は
AB上の正方形に等しい。
rec(BA、AC)+rec(AB、BC)
=sq(_AB)
【・・・(8)】
命題2−3
により
矩形BA、ACは
矩形AC、CBとAC上の正方形との和に等しく、
矩形AB、BCは
矩形BC、CAとBC上の正方形との和に等しい。
rec(BA、AC)
=rec(AC、CB)+sq(_AC)
rec(AB、BC)
=rec(BC、CA)+sq(_BC)
【・・・(9)】
公理1−2
により
AB上の正方形は矩形AC、CBとAC上の正方形との和と矩形BC、CAとBC上の正方形との和との和に等しい。
(9)
により
rec(BA、AC)+rec(AB、BC)
=rec(AC、CB)+sq(_AC)
+rec(BC、CA)+sq(_BC)
【・・・(10)】
公理1−1
により
(8)
(10)
から
sq(_AB)
=rec(AC、CB)+sq(_AC)
+rec(BC、CA)+sq(_BC)
【・・・(11)】
定義2−1
により
矩形AC、CBと矩形BC、CAは同じものであるから、
rec(AC、CB)=rec(BC、CA)
【・・・(12)】
公理1−2
、
公理1−1
により
AB上の正方形は
AC上の正方形と
CB上の正方形と矩形AC、CBの2倍と
の和に等しい。
(11)
(12)
により
sq(_AB)
=sq(_AC)+sq(_BC)
+2×rec(AC、CB)
命題2-4
は第2巻の命題によると次のようになる。
前提
作図
推論
定義
2-1
公準
公理
1-1
,
1-2
命題
2-2
、
2-3
その他
命題2-4
は、
AB;線分、
C;点(AB)
に対して、
sq(_AB)
=sq(_AC)+sq(_CB)
+2×rec(AC、CB)
ことである。
命題2ー4の補足(正方形の対角線をはさむ正方形)
前提
作図
推論
定義
1-20補
,
1-22
公準
1-1
公理
1-1
,
1-3
命題
1-30補
,
1-31
,
1-46
1-5
,
1-6
,
1-29
,
1-30
,
1-34
その他
命題2-4
は推論用命題である。
前提
作図
推論
定義
1-20補
,
1-22
,
2-1
公準
1-1
公理
1-1
,
1-2
,
1-3
,
1-7
命題
1-30補
,
1-31
,
1-46
1-5
,
1-6
,
1-29
,
1-30
,
1-34
その他
どちらかに
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