ユークリッド原論をどう読むか(16)
頁末         目次

ユークリッド原論

第10巻
 
命題10ー99(第2の中項余線分上の正方形は有理線分上の矩形なら幅は第3の余線分)
  第2の中項余線分の上の正方形
   に等し
 矩形
  有理線分上に
   つくられる
ならば,
  第3の余線分
   とする。



  ABを第2の中項余線分
   とし,
  CDを有理線分
   とし,
  AB上の正方形
   に等し
  CD上にCFを
   とする
 矩形CEが
   つくられた
とせよ。

 CFは
  第3の余線分
   である
と主張する。

  BGをABへの付加
とせよ。

そうすれば
 AG,GBは
  中項面積
   かこみ,
  平方においてのみ通約
   できる
  中項線分
   である。
    [......(2)]

そして
  AG上の正方形
   に等し
  CD上にCKを
   とする
 矩形CHが
   つくられ,
  BG上の正方形
   に等し
  KH上にKMを
   とする
 矩形KLが
   つくられた
とせよ。
    [......(1)]

そうすれば
 CL全体は
  AG,GBの正方形の和
   に等しい。
    [......(3)]

ゆえに
 CLも
  中項面積
   である。

そして
  有理線分CD上に
  CMを
   としてつくられた。

したがって
 CMは
  有理線分
   であり
  CDと長さにおいて通約
   できない。
    [......(5)]

そして
 全体は
  AG,GB上の正方形の和
   に等しく,
 そのうち
 CEは
  AB上の正方形
   に等し

から,
 残りのLFは
  矩形AG,GBの2
   に等しい。
    [......(4)]

そこで
 FMが
  Nで2等分
   され,
  CDに平行
 NOが
   ひかれた
とせよ。
    [......(8)]

そうすれば
 FO,NLの双方は
  矩形AG,GB
   に等しい。
    [......(7)]

ところが
 矩形AG,GBは
  中項面積
   である。

ゆえに
 FLも
  中項面積
   である。

そして
  有理線分EF上に
  FMを
   としてつくられている。

したがって
 FMも
  有理線分
   であり
  CDと長さにおいて通約
   できない。
     [......(6)]

そして
 AG,GBは
  平方においてのみ通約
   できる

から,
 AGは
  GBと長さにおいて通約
   できない。

ゆえに
 AG上の正方形
  矩形AG,GBと通約
   できない。

ところが
 AG,GB上の正方形の和は
  AG上の正方形と,
 矩形AG,GBの2
  矩形AG,GBと通約
   できる。

したがって
 AG,GB上の正方形の和は
  矩形AG,GBの2通約
   できない。

ところが
 CLは
  AG,GB上の正方形
   に等し
 FLは
  矩形AG,GBの2
   に等しい。

それゆえ
 CLは
  FLと通約
   できない。

ところが
 CLが
  FLに対するように,
 CMが
  FMに
   対する

したがって
 CMは
  FMと長さにおいて通約
   できない。

そして
 両方とも
  有理線分
   である。

ゆえに
 CM,MFは
  平方においてのみ通約
   できる
  有理線分
   である。

したがって
 CFは
  余線分
   である。
    [......(9)]


次に
  第3の余線分
   でもある
と主張する。

 AG上の正方形
  GB上の正方形通約
   できる

から,
 CHも
  KLと通約
   できる。

したがって
 CKも
  KMと通約
   できる。
    [......(10)]

そして
 矩形AG,GBは
  AG,GB上の正方形比例中項
   であり,
 CHは
  AG上の正方形
   に等しく,
 KLは
  GB上の正方形
   に等しく,
 NLは
  矩形AG,GB
   に等し

から,
 NLも
  CH,KLの比例中項
   である。

したがって
 CHが
  NLに対するように,
 NLが
  KLに
   対する

ところが
 CHが
  NLに対するように,
 CKが
  NMに
   対し
 NLが
  KLに対するように,
 NMが
  KMに
   対する

それゆえ
 CKが
  MNに対するように,
 MNが
  KMに
   対する

それゆえ
 矩形CK,KMは
  FM上の正方形の4分の1
   に等しい。

そこで
 CM,MFは
  不等な2線分
   であり,
  FM上の正方形の4分の1
   に等しくて
  正方形だけ
   欠けている
 矩形
  CM上に
   つくられ,
  それを通約
   できる
  二つの部分に
   分ける

から
 CM上の正方形
  MF上の正方形より
  CMと通約
   できる
  線分上の正方形だけ
   大きい。

そして
 CM,MFのいずれも
   定められた
  有理線分CDと
  長さにおいて通約
   できない。

それゆえ
 CFは
  第3の余線分
   である。


よって
  第2の中項余線分の上の正方形
   に等し
 矩形
  有理線分上に
   つくられる
ならば,
  第3の余線分
   とする。

これが証明すべきことであった。
      目次   頁頭