ユークリッド原論をどう読むか(16)
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ユークリッド原論

第10巻
 
命題10ー98(第1の中項余線分上の正方形は有理線分上の矩形なら幅は第2の余線分)
  第1の中項余線分の上の正方形
   等し
 矩形
  有理線分上に
   つくられる
ならば,
  第2の余線分
   とする。



  ABを第1の中項余線分
   とし,
  CDを有理線分
   とし,
  AB上の正方形
   等し
  CD上にCFを
   とする
 CEが
   つくられた
とせよ。

 CFは
  第2の余線分
   である
と主張する。

  BGをABへの付加
   とせよ。

そうすれば
 AG,GBは
  平方においてのみ通約
   でき,
  有理面積
   かこ
  中項線分
   である。
    [......(1)]

  CD上に
  AG上の正方形
   等し
  CKを
   とする
 CHが,
  GB上の正方形
   等し
  KMを
   とする
 KLが
   つくられた
とせよ。
[......(4)]

そうすれば
 CL全体は
  AG,GB上の正方形の和に
   等しい。
[......(2)]

それゆえ
 CLは
  中項面積
   である。

そして
  有理線分CD上に
  CMをとして
   つくられている。

したがって
 CMは
  有理線分
   であり
  CDと長さにおいて通約
   できない。
    [......(9)]

そして
 CLは
  AG,GB上の正方形の和に
   等しく,
そのうち
 AB上の正方形
  CEに
   等し

から,
 残りの矩形AG,GBの2
  FLに
   等しい。
    [......(3)]

ところが
 矩形AG,GBの2
  有理面積
   である。

したがって
 FLは
  有理面積
   である。
    [......(8)]

そして
  有理線分FE上に
  FMをとして
   つくられている。

それゆえ
 FΜも
  有理線分
   であり
  CDと長さにおいて通約
   できる。
    [......(10)]

そこで
 AG,GB上の正方形の和,
 すなわち
 CLは
  中項面積
   であり,
 矩形AG,GBの2
 すなわち
 FLは
  有理面積
   である

から,
 CLは
  FLと通約
   できない。

ところが
 CLが
  FLに対するように,
 CMが
  FMに
   対する

したがって
 CMは
  FMと長さにおいて通約
   できない。

そして
 両方とも
  有理線分
   である。

ゆえに
 CM,MFは
  平方において通約
   できる
  有理線分
   である。

したがって
 CFは
  余線分
   である。


次に
 第2の余線分でもある
と主張する。

 FMが
  Nで2等分
   され,
  Nを
   通り
  CDに平行
 NOが
   ひかれた
とせよ。
    [......(6)]

そうすれば
 FO,NLの双方は
  矩形AG,GBに
   等しい。
    [......(5)]

そして
 矩形AG,GBは
  AG,GB上の正方形比例中項
   であり,
 AG上の正方形
  CHに,
 矩形AG,GBは
  NLに,
 BG[上]の正方形
  KLに
   等し

から,
 NLも
  CH,KLの比例中項
   である。
    [......(7)]

したがって
 CHが
  NLに対するように,
 NLが
  KLに
   対する

ところが
 CHが
  NLに対するように,
 CKが
  NMに
   対し
 NLが
  KLに対するように,
 NMが
  MKに
   対する

したがって
 CKが
  NMに対するように,
 NMが
  KMに
   対する

それゆえ
 矩形CK,KMは
  NM上の正方形に,
  すなわち
  FM上の正方形の4分の1
   等しい。

そこで
 CM,MFは
  不等な2線分
   であり,
  MF上の正方形の4分の1
   等しくて
  正方形だけ
   欠けている
 矩形CK,KMが
  大きい線分CM上に
   つくられ,
  それを通約
   できる
  二つの部分に
   分ける

から,
 CM上の正方形
  MF上の正方形より
  CMと長さにおいて通約
   できる
  線分上の正方形だけ
   大きい。

そして
   付加された
 線分FMは
   定められた
  有理線分CDと長さにおいて通約
   できる。

したがって
 CFは
  第2の余線分
   である。

よって
  第1の中項余線分の上の正方形
   等し
 矩形
  有理線分上に
   つくられる
ならば,
  第2の余線分
   とする。

これが証明すべきことであった。
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