ユークリッド原論をどう読むか(10)
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ユークリッド原論

第6巻

命題6ー8(直角三角形の垂線と相似)
比例中項  (系 直角三角形の垂線は比例中項)
(等角な三角形は相似)


もし
 直角三角形において
 直角から底辺垂線がひかれるならば、
 垂線の上の三角形
 全体に対し
 かつ
 互いに
 相似である。



ABCを
 BACが直角である
 直角三角形とし、
 AからBCに
 垂線ADが下されたとせよ。

三角形ABD、ADCの双方は
 全体ABCに対し
 また
 互いに
 相似である
 と主張する。
 
BACはADBに等しい
 なぜなら
 どちらも直角であるから。

そして
 Bにおける
 2つの三角形ABC、ABDに共通であるから、
 残りのACBは
 残りのBADに等しい

それゆえ
  三角形ABCは
 三角形ABDに等角である。 【・・・(1)】

ゆえに
 三角形ABCの直角を張るBCが

 三角形ABDの直角を張るBAに対するように
 三角形ABCのCにおけるを張るABそのものが
 三角形ABDの等しいBADを張るBDに対し
 そしてまた
 ACが
 2つの三角形に共通な
  Bにおけるを張るADに対する

したがって
 三角形ABCは
 三角形ABDに等角であり、
 等しいをはさむ比例する。

それゆえ
 三角形ABCは
 ABDに相似である。

同様にして、
 三角形ABCは
 三角形ADCに相似である
 ことを証明しうる。

ゆえに
 三角形ABD、ADCの双方は
 全体ABCに相似である。

次に
 三角形ABD、ADCが
 互いに相似である
 と主張する。
 
直角BDAは
 直角ADCに等しく
 また
 BADもCにおける等しい
 ことが証明されたから、

 残りのBにおける
 DACに等しい

それゆえ
 三角形ABDは
 三角形ADCに等角である。

ゆえに
 三角形ABDのBADを張るBDが
 三角形ADCの、
 BADに等しい
  Cにおけるを張るDAに対するように
 三角形ABDの
  Bにおけるを張るADそのものが
 三角形ADCの、
 Bにおける等しい
  DACを張るDCに対し
 また
 共に直角を張るBAが
 ACに対する

したがって
 三角形ABDは
 三角形ADCに相似である。


よってもし
 直角三角形において
 直角から底辺垂線がひかれるならば、
 垂線の上の三角形
 全体に対し
 かつ
 互いに相似である。
 

これから
 次のことが明らかである、
 すなわち
 もし直角三角形において
 直角から底辺垂線が下されるならば、
 下された垂線
 底辺の2つの部分の比例中項である。

(以下、命題6ー8の系(直角三角形の垂線は比例中項)という。)

 
これが証明すべきことであった。       目次   頁頭