ユークリッド原論をどう読むか(14)
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ユークリッド原論
第10巻
命題10ー73
(有理線分から平方のみ通約の有理線分を引くと余線分)
余線分
もし
有理線分
から
全体と
平方においてのみ通約
できる
有理線分
が
ひかれる
ならば、
残りは
無理線分
である。
それを
余線分
とよぶ。
有理線分は、
定義10ー3の補足
による。
平方においてのみ通約は、
定義の補足(命題10ー19助)
による。
無理線分は、
定義10ー4
による。
余線分
は、
有理線分から、
それと平方においてのみ通約できる有理線分を
引いた残りの無理線分をいう。
(以下、
定義の補足(命題10ー73)
(余線分)という。)
有理線分
ABから
有理線分
BCが
ひかれ、
BCは
全体と
平方においてのみ通約
できる
とせよ。
命題の補足2(定義10ー3)
(作図.任意の有理線分)、
命題10ー6の系3
(作図.長さ・平方で通約可の線分)
命題1ー3
(作図・等しい線分を切り取る)
による。
AB;有理線分、
BC;有理線分、∩^^2 AB
となっている。
残りのACは
余線分
とよばれる
無理線分
である
と主張する。
ABは
BCと
長さにおいて通約
できず、
ABが
BCに
対するよう
に、
AB上の正方形が
矩形
AB、BCに対する
から、
AB上の
正方形
は
矩形
AB、BCと
通約
できない。
前節、
命題6ー1
(同高の三角形、平行四辺形は底辺と比例)
命題10ー11
(4量比例で一方が通約なら他方も通約)
による。
正方(_AB)¬∩矩形(AB、BC)
となっている。
ところが
AB、BC上の
正方形
の和は
AB上の
正方形
と
通約
でき、
矩形
AB、BCの2
倍
は
矩形
AB、BCと
通約
できる。
命題の設定
、
定義10ー3の補足
(有理線分)
定義10ー1
(通約)
による。
正方(_AB)+正方(_BC)∩正方(_AB)、
2矩形(AB、BC)∩矩形(AB、BC)
となっている。
そして
AB、BC上の
正方形
の和は
矩形
AB、BCの2
倍
と
CA上の
正方形
との和に
等し
い
から、
AB、BC上の
正方形
の和は
残りのAC上の
正方形
と
通約
できない。
もし、
正方(_AB)+正方(_BC)∩正方(_AC)
ならば、
前節、
命題2ー7
(差の平方)
命題10ー15
(通約量はその和・差とも通約)
により、
矩形(AB、BC)∩正方(_AB)
となり、
前々節の
正方(_AB)¬∩矩形(AB、BC)
に矛盾することによる。
正方(_AB)+正方(_BC)¬∩正方(_AC)
となっている。
ところが
AB、BC上の
正方形
の和は
有理面積
である。
よって
ACは
無理線分
である。
前節、
命題の設定
、
定義10ー3の補足
(有理線分)
定義10ー4
(面積の有理、無理、無理線分)
による。
AC:無理線分
となっている。
そして
余線分
とよぱれる。
前節、
定義の補足(命題10ー73)
(余線分)
による。
AC:余線分
となっている。
これが証明すぺきことであった。
命題10ー73
は、
命題の補足2(定義10ー3)
(作図.任意の有理線分)、
により、
有理線分AC
をとり、
命題10ー6の系3
(作図.長さ・平方で通約可の線分)
により、
ACと平方においておいてのみ通約できる
有理線分BC
をとり、
命題1ー3
(作図・等しい線分を切り取る)
により、
ACからBCを引くと、
ACは
余線分と呼ばれる
無理線分
のことである。
命題10ー73
は推論用命題である。
前提
作図・構成
推論
定義
10-1
,
10-3補
,
10-4
,
補(題10-73)
公準
公理
命題
1-3
,
補2(義10-3)
,
10-6系3
2-7
,
6-1
,
10-11
,
10-15
その他
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