ユークリッド原論をどう読むか(16)
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ユークリッド原論

第10巻
 
命題10ー91(有理線分と第1の余線分の矩形に等しい正方形の辺は余線分)
もし
 面積
  有理線分第1の余線分によって
   かこまれる
ならば,
 その面積等し正方形
  余線分である。



 面積ABが
  有理線分ACと第1の余線分ADによって
   かこまれる
とせよ。

  面積ΑΒに等し
 正方形
  余線分である
と主張する。

 ADは
  第1の余線分
であるから,
  DGを
  それへの付加
とせよ。

そうすれば
 AG,GDは
  平方においてのみ通約
   できる
  有理線分である。
そして
 AG全体は
  定められた有理線分ACと通約
   でき,
 AG上の正方形
  GD上の正方形より
  AGと長さにおいて通約
   できる
  線分上の正方形だけ
   大きい。
      [......(1)]

したがって
もし
  DG上の正方形の4分の1に
   等しくて
  正方形だけ
   欠けている
 矩形
  AG上に
   つくられる
ならば,
  それを通約
   できる
  二つの部分に
   分ける。

DGが
  Eで2等分され,
  EG上の正方形等しくて
  正方形だけ欠けている
 矩形
  AG上につくられた
とし,
  それを矩形AF,FG
とせよ。
      [......(3)]

そうすれば
 AFは
  FGと通約できる。

そして
  E,F,Gを通り
  ACに平行
 EH、FI,GKが
   ひかれた
とせよ。


そうすれば
 AFは
  FGと長さにおいて通約
   できる

から,
 AGも
  AF,FGの双方と
  長さにおいて通約
   できる。

ところが
 AGは
  ACと通約
   できる。

したがって
 AF,FGの双方は
  ACと長さにおいて通約
   できる。
      [......(2)]

そして
 ACは
  有理線分
   である。

したがって
 AF,FGの双方も
  有理線分
   である。

ゆえに
 AI,FKの双方も
  有理面積
   である。
      [......(6)]

そして
 DEは
  EGと長さにおいて通約
   できる

から,
 DGも
  DE,EGの双方と
   長さにおいて通約
できる。

ところが
 DGは
  有理線分
   であり
  ACと長さにおいて通約
   できない。

したがって
 DE,EGの双方も
  有理線分
   であり
  ACと長さにおいて通約
   できない。

ゆえに
 DH,EKの双方は
  中項面積
  である。
      [......(7)]

そこで
 AIに等し正方形LMが
   つくられた
とし,
  FKに等しくて
  LMと共通な角LPMを
   もつ
 正方形NOが
   ひかれた
とせよ。
      [......(4)]

そうすれば
 正方形LM,NOは
  同じ対角線
   はさんでいる。

  PRを
  それらの対角線
   とし,
 作図が
  なされた
とせよ。
      [......(5)]

そうすれば
  AF,FGによって
   かこまれる
 矩形
  EG上の正方形
   等し

から,
 AFが
  EGに対するように,
 EGが
  FGに
   対する。

ところが
 AFが
  EGに対するように,
 AIが
  EKに
   対し
 EGが
  FGに対するように,
 EKが
  KFに
   対する。

したがって
 EKは
  AI,KFの比例中項
   である。

ところが
 ΜΝも
  先に証明されたように,
  LM,NOの比例中項
   であり,

 AIは
  正方形LMに,
 KFは
  NOに
   等しい。

したがって
 MNは
  EKに
   等しい。
      [......(8)]

ところが
 EKは
  DHに,
 MNは
  LOに
   等しい。
      [......(9)]

したがって
 DKは
  グノーモーンUVWとNOの和に
   等しい。
ところが
 AKは
  正方形LM,NOの和に
   等しい。
したがって
 残りのABは
  STに
   等しい。
      [......(11)]
ところが
 STは
  LN上の正方形
   である。
ゆえに
 LN上の正方形
  AB
   に等しい。
したがって
 LNは
  AB
   に等し
  正方形
   である。

次に
 LNは
  余線分
   である
と主張する。
 AI,FKの双方は
  有理面積
   であり,
  LM,NO
   に等し
から,
  LM,NOの双方,
  すなわち
  LP,PNの双方の上
 の正方形
  有理面積
   である。
したがって.
 LP,PNの双方も
  有理線分
   である。
      [......(10)]
また
 DHは
  中項面積
   であり
  LO
   に等し
から,
 LOも
  中項面積
   である。
そこで
 LOが
  中項面積
   であり.,
 NOが
  有理面積
   である
から,
 LOは
  NOと通約
   できない。
ところが
 LOが
  NOに対するように
 LPが
  PN
   に対する。
したがって
 LPは
  PNと長さにおいて通約
   できない。
そして
 両方とも
  有理線分
   である。
したがって
 LP,PNは
  平方においてのみ通約
   できる
  有理線分
   である。
ゆえに
 LNは
  余線分
   である。
  そして
  面積AB
   に等し
  正方形
   である。
したがって
  面積AB
   に等し
 正方形
  余線分
   である。

よって
もし
 面積
  有理線分第1の余線分によって
   かこまれる
ならば
 云々
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