ユークリッド原論をどう読むか(10)
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ユークリッド原論
第6巻
命題6ー26
(共通角の平行四辺形の相似と対角線)
もし
平行四辺形
から
全体に
相似
で
かつ
相似な位置
にあり、
全体と共通な
角
をもつ
平行四辺形
が切りとられるならば、
それは全体と同じ
対角線
をはさんでいる。
平行四辺形は、
定義1ー22の補足2
による。
相似は、
定義6ー1
による。
相似な位置は、
定義の補足(命題6ー18)
による。
角は、
定義1ー8
による。
対角線は、
定義の補足(命題1ー34)
による。
平行四辺形
ABCDから
ABCDに
相似
で
かつ
相似な位置
にあり、
それと共通な
角
DABをもつ
平行四辺形
AFが切り取られたとせよ。
切り取るというのは、
書き込むということ。
命題6ー18
(作図.線分上に相似な直線図形)
による。
次のように描くこともできる。
平行四辺形ABCDに、
共通な角DABをもつ
相似でかつ相似な位置にある
平行四辺形AEFG[AE,AG]は、
定義6ー1
(相似)
により
AB:AD=AE:AG
であるから、
命題5ー16
(比例すれば錯比も比例)
により、
いれかえて、
AB:AE=AD:AG。
命題5ー17
(比例ならば分割比も比例)
により、
合比で比例すれば、
分割比によっても比例し、
EB:AE=GD:AG。
よって
命題6ー2
(三角形の辺の平行線による辺の比例区分)
により
BD‖EG。
したがって、
次のように作図すれば
対角線AC上にAと向かい合うFをとらずに、
作図できる。
公準1ー1の補足
(作図.任意の点をとる)
により
点E[辺AB]
をとり、
命題1ー31
(作図・平行線)
により
平行線(E,対角線BD]
をとる。
命題1ー30の補足
(交線に平行な線)
により、
BD(交)AD
なので、
交点G(平行線(E,対角線BD],AD)、
G;同側(BD,A)。
そうすれば、
命題6ー2
(三角形の辺の平行線による辺の比例区分)
により、
BE:EA=DG:GA。
命題5ー18
(比例ならば合比も比例)
により、
分割比が比例すれば、
合比も比例するので、
BA:EA=DA:GA。
命題5ー16
(比例すれば錯比も比例)
により、
BA:DA=EA:DA。
次に、
命題1ー30の補足
(交線に平行な線)
により、
交点F(平行線(E,AG),平行線(G,AE))。
定義の補足(命題1ー34)
(平行四辺形・対角線)
により、
四辺形AEFG;平行四辺形
であり、
1つの角が
平行四辺形ABCDと共通であるから、
命題6−14の補足3
(1組の角が等しい平行四辺形と等角)
により、
ABCDと等角であり、
命題1ー34
(平行四辺形の対辺・対角・対角線)
により、
平行四辺形の対辺は等しいから、
BA:DA=EA:GA
なので、
AB:CB=AE:FE、
BC:DC=EF:GF、
CD:AD=FG:AG。
よって、
定義6ー1
(相似)
により、
平行四辺形ABCD∽AEFG。
このように作図したとき、
Fが対角線AC上にあるか
という問いが、
本命題である。
平行四辺形ABCD
に対して
点E[AB]、
点G(AD;;平四AEFG(AE,AG)∽平四ABCD)
をとっている。
ABCDは
AFと同じ
対角線
をはさんでいる
と主張する。
そうでないとすれば、
もし可能ならば
背理法の仮定を述べようとしている。
「もし可能ならば」は、
コメント2(命題1−7)
参照のこと。
AHCを
対角線
とし、
背理法の仮定として、
Fが対角線AC上にないとすると、
Fは、
対角線ACについて、
Bと同じ側にあるか、
Bと反対側にある。
反対側にある場合を
証明している。
同じ側にある場合も
同様に証明できることは
明らかである。
対角線AC.平四ABCD
をとっている。
GFが延長されてHまでひかれ、
公準1ー2
(作図.直線の延長)
による。
命題1ー30の補足
(交線に平行な線)
により、
GFの延長が対角線AHCと交わる。
その交点をH’とし、
H’を改めてHとして
Hを遡って用いている。
交点H(AC,延長GF)
をとっている。
Hを通り
AD、BCのどちらかに
平行
に
HKがひかれたとせよ。
「どちらかに」は、
コメント(命題2ー2)
参照のこと。
命題1ー31
(作図・平行線)
による。
点K(AB,BC)
平四KG(KA,KF)
をとっている。
そうすれば
ABCDは
KGと同じ
対角線
をはさんでいるから、
対角線.平四KG;上.対角線.平四ABCD
となっている。
DAがABに
対するように
、
GAがAKに
対する
。
命題6ー24
(対角線をはさむ平行四辺形と相似)
による。
DA:AB=GA:AK
となっている。
ところが
ABCD、EGが
相似
であるため、
平四ABCD∽平四EG(EA,EF)
となっている。
DAがABに
対するように
、
GAがAEに
対する
。
定義6ー1
(相似)
による。
DA:AB=GA:AE
となっている。
それゆえ
GAがAKに
対するように
、
GAがAEに
対する
。
命題5ー7
(同一量の比)
による。
GA:AK=GA:AE
となっている。
ゆえに
GAは
AK、AEの双方に
対し
、
同じ比
をもつ。
すなわち
小さい
ものが
大きい
ものに
等しい
。
命題5ー9
(同一比の量)
により、
AK=AE。
ところが、
背理法の仮定により、
GH>GF、
命題1ー34
(平行四辺形の対辺・対角・対角線)
により、
AK=GH、
AE=GF
だから、
公理1ー8の補足2
(等より大・小、大・小に等)
により、
AK>AE。
AK=AE
かつ
AK>AE
となっている。
これは不可能なことである。
それゆえ
ABCDは
平行四辺形
AFと同じ
対角線
をはさんでいる。
背理法による。
よってもし
平行四辺形
から
全体に
相似
で
かつ
相似な位置
にあり、
全体と共通な
角
をもつ
平行四辺形
が切りとられるならば、
それは
全体と同じ
対角線
をはさんでいる。
これが証明すべきことであった。
命題6ー26
は、
平行四辺形ABCD
に対して
点E[AB]、
点G(AD;;平四AEFG(AE,AG)∽平四ABCD)
をとれば、
対角線.平四AF;上.対角線.平四ABCD
のことである。
命題6ー26
は推論用命題である。
前提
作図
推論
定義
補(1-34)
,
6-1
公準
1-1補
,
1-2
公理
1-8補2
命題
1-30補
,
1-31
1-34
,
5-7
,
5-9
,
5-16
,
5-17
,
5-18
,
6-2
,
6-14補3
,
6-24
その他
コ(題2-2)
コ2(題1-7)
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