ユークリッド原論をどう読むか(10)
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ユークリッド原論
第6巻
命題6ー28
(作図.線分の平行四辺形分割(コ))
線分の平行四辺形分割(コ)
与えられた
線分
上に
与えられた
直線図形
に
等しく
、
与えられた
平行四辺形
に
相似
な
平行四辺形
だけ欠いている
平行四辺形
をつくること。
ただし
与えられた
直線図形
は
与えられた
線分
の
半分
の上に描かれ
かつ
欠けている部分に
相似
な
平行四辺形
より
大きく
てはならない。
線分は、
定義の補足(命題1ー1)
による。
直線図形は、
定義1ー19
による。
等しくは、
公理1ー7
による。
>平行四辺形は、
定義1ー22の補足2
による。
相似は、
定義6ー1
による。
半分は、
定義の補足(公理1ー6)
による。
大きくは、
公理1ー8
による。
与えられた線分上に
与えられた図形に等しく、
与えられた平行四辺形に
相似な平行四辺形だけ欠いている
平行四辺形をつくること
を、
線分の平行四辺形分割
という。
(以下、
コメントでの定義(命題6ー28)
(線分の平行四辺形分割(コ))という。)
この定義は、
コメントを簡潔に記述する
ためにだけ用いる。
原論の本文には登場しない。
与えられた
線分
をABとし、
Cを
AB上に
それと
等しい
平行四辺形
を描かねばならない
与えられた
直線図形
とせよ。
ただし
Cは、
ABの
半分
の上に描かれ、
かつ
欠けている部分に
相似
な
平行四辺形
より
大きく
はない。
そして
Dを
欠けている部分が
それに
相似
でなければならない
平行四辺形
とせよ。
線分AB、直線図形C、平行四辺形D
に対して、
中点E(AB)、
平行四辺形EF[∽D,_EB]
;>=C
をとっている。
このとき
与えられた
線分
AB上に
与えられた
直線図形
Cに
等しく
、
Dに
相似
な
平行四辺形
だけ欠けている、
平行四辺形
をつくらねばならぬ。
ABが
点
Eにおいて2
等分
され、
【・・・(a)】
命題1ー10
(作図・線分の2等分)
による。
E;中点(AB)
となっている。
EB上に
Dに
相似
でかつ
相似な位置
にある
EBFGが描かれたとし、
【・・・(b)】
命題6ー18
(作図.線分上に相似な直線図形)
による。
平四EBFG;平四EF
となっている。
平行四辺形
AGが完結されたとせよ。
「[平行四辺形の]完結」については、
コメント2(命題6ー14)
参照のこと。
平四AG(AE,EG)
をとっている。
そうすればもし
AGがCに
等しけ
れば、
命じられたことはなされているであろう。
AGがCに等しい場合と、
等しくない場合に分けている。
なぜなら
与えられた
線分
AB上に
与えられた
直線図形
Cに
等しく
、
Dに
相似
な
平行四辺形
GBだけ欠けている、
平行四辺形
AGがつくられたから。
「なぜなら・・・であるから」は、
コメント2(命題1ー16)
参照のこと。
ところがもし
そうでなければ、
AGが
Cに等しくない場合である。
HEがCより
大きい
とせよ。
命題の設定
により、
可能である。
平四HE>直線図形C
となっている。
ところが
HEはGBに
等しい
。
作図の設定
、
命題6ー1
(同高の三角形、平行四辺形は底辺と比例)
による。
平四HE=平四GB
となっている。
それゆえ
GBはCより
大きい
。
公理1ー8の補足2
(等より大・小、大・小に等)
による。
したがって、
HEがCより大きいとすることが
可能になる。
平四GB>直線図形C
となっている。
GBからCを減じた差に
等しく
、
Dに
相似
でかつ
相似な位置
にある、
1つの
図形
KLMNがつくられたとせよ。
【・・・(C)】
命題1ー45の補足2
(作図.直線図形,線分,直線角と平行四辺形)
により
平四EBXY((等角)平四EBFG,_EB
;;∠YEB=∠GEB,=直線図形C)
をとると、
平四XYFG=平四GBー直線図形C
となっている。
命題6ー25
(作図.直線図形に等しく別の直線図形に相似)
により
平四KLMN[∽平四D
;;=平四XYFG]
をとっている。
平四KLMN;∽平四D,=平四GBー直線図形C
となっている。
ところが
DはGBに
相似
である。
(b)
による。
平四D∽平四GB
となっている。
ゆえに
KMもGBに
相似
である。
命題6ー21
(同じ直線図形に相似な図形)
による。
平四KM∽平四GB
となっている。
そこで
KLがGEに、
LMがGFに
対応するとせよ。
推論の設定である。
KL:GE=LM:GF
となっている。
そして
GBはC、KMの和に
等しい
から、
(c)
による。
平四GB=直線図形C+平四KM
となっている。
GBはKMより
大きい
。
公理1ー8
(大きい)
による。
平四GE>平四KM
となっている。
したがって
GEもKLより、
GFもLMより
大きい
。
命題6ー20
(相似多角形の相似三角形分解と2乗の比)
により、
GBはKMに対し、
GEがKLに対する比の
2乗の比をもつ。
命題6ー11
(作図.比例第3項)
により
GE、KLに対し
第3の比例項K’L’を見いだすと、
GBはKMに対するように、
GEがK’L’に対する。
定義5ー5
(同じ比)
により
GBがKMより大きいから、
GEはK’L’より大きい。
命題6ー22の補足
(3項比例の1,2項と1,3項の大等小)
により
GEはKLより大きい。
同様にして、
GMもLFより大きい。
GE>KL、
GM>LF
となっている。
GOがKLに、
GPがLMに
等しく
され、
命題1ー3の補足
(3項比例の1,2項と1,3項の大等小)
による。
点O(GE;;GO=KL)、
点P(GF;;GP=LM)
をとっている。
そして
平行四辺形
OGPQが完結されたとせよ。
「[平行四辺形の]完結」は、
コメント2(命題6ー14)
参照のこと。
平四OGPQ(GO,GQ)
をとっている。
そうすれば
OGPQはKMに
等しく
相似
である。
【・・・(1)】
命題1ー34
(平行四辺形の対辺・対角・対角線) 、
定義6ー1
(相似)
により、
相似である。
また、
命題6ー20
(相似多角形の相似三角形分解と2乗の比)
により、
等しい。
平四OGPQ;=平四KM、∽平四KM
となっている。
今日的にいえば、
平四OGPQ;≡平四KM
となっている。
ゆえに
GQもGBに
相似
である。
命題6ー21
(同じ直線図形に相似な図形)
による。
平四GQ∽平四GB
となっている。
したがって
GQはGBと同じ
対角線
をはさんでいる。
命題6ー24
(対角線をはさむ平行四辺形と相似)
による。
対角線GQ.平四GQ;上.対角線GB.平四GB
となっている。
GQBをそれらの
対角線
とし、
そして作図がなされたとせよ。
公準1ー2
(作図.直線の延長)
により
PQを延長すると
命題1ー30の補足
(交線に平行な線)
により、
ABと交わり、
その交点をSとする。
同様にして
QOを延長すると、
AH、BFとそれぞれ交わり、
その交点をT、Rとする。
交点S(延長PQ,AB)、
交点T(延長QO,AH)、
交点R(延長OQ,BF)
をとっている。
そうすれば
BGはC、KMの和に
等しく
、
(c)
による。
平四BG=直線図形C+平四KM
となっている。
そのうち
GQはKMに
等しい
から、
(1)
による。
平四GQ=平四KM
となっている。
残りの
グノーモーン
UVWは
残りのCに
等しい
。
【・・・(2)】
公理1ー3
(等しいものから等しいものをひく)
による。
グノーモンーンUVW=直線図形C
となっている。
そして
PRはOSに
等しい
から、
命題1−43
(平行四辺形の補形)
による。
平四PR=平四OS
となっている。
双方にQBが加えられたとせよ。
そうすれば
PB全体はOB全体に
等しい
。
公理1ー1
(同じものに等しい)
による。
平四PB=平四OB
となっている。
ところが
辺
AEは
辺
EBに
等しい
から、
(a)
による。
AE=EB
となっている。
OBはTEに
等しい
。
命題6ー1
(同高の三角形、平行四辺形は底辺と比例)
による。
平四OB=平四TE
となっている。
ゆえに
TEもPBに
等しい
。
公理1ー1
(同じものに等しい)
による。
平四TE=平四PB
となっている。
双方にOSが加えられたとせよ。
そうすれば
TS全体は
グノーモーン
WVU全体に
等しい
。
公理1ー2
(等しいものに等しいものを加える)
による。
平四TS=グノーモーンWVU
となっている。
ところが
グノーモーン
WVUはCに
等しい
ことが証明された。
(2)
による。
グノーモーンWVU=直線図形C
となっている。
ゆえに
TSもCに
等しい
。
公理1ー1
(同じものに等しい)
による。
平四TS=直線図形C
となっている。
よって
与えられた
線分
AB上に
与えられた
直線図形
Cに
等しく
、
Dに
相似
な
平行四辺形
QBだけ欠けている、
平行四辺形
STが描かれた。
これが作図すべきことであった。
命題6ー28
は、
線分AB、直線図形C、平行四辺形D
に対して、
中点E(AB)、
平四EBFG[∽D,_EB]
;>=C、
平四AG(AE,EG)、
平四EBXY((等角)平四EBFG,_EB
;;Y;上.EG
,∠YEB=∠GEB,=直線図形C)、
をとると、
平四XYFG=平四GBー直線図形C
となり、
平四KLMN[∽平四D
;;=平四XYFG]、
点O(GE;;GO=KL)、
点P(GF;;GP=LM)、
平四OGPQ(GO,GQ)、
交点S(延長PQ,AB)、
交点T(延長QO,AH)、
交点R(延長OQ,BF)、
をとれば、
平四ASQT=直線図形C、
平四SBRQ∽平四D
のことである。
命題6ー28
は作図用命題である。
前提
作図
推論
定義
5-5
,
6-1
公準
1-2
公理
1-1
,
1-2
,
1-3
,
1-8
,
1-8補2
命題
1-3補
,
1-10
,
1-30補
,
1-45補2
,
6-11
,
6-18
,
6-25
1-34
,
1-43
,
6-1
,
6-20
,
6-21
,
6-22補
,
6-24
その他
コ2(題6-14)
コ2(題1-16)
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