ユークリッド原論をどう読むか(14)
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ユークリッド原論

第10巻
 
命題10ー90(作図.第6の余線分)
  第6の余線分
   見いだすこと。



  有理線分Aと,
 互いに平方数
  平方数対する
   もたない
 三つのE,BC,CDが
   定められたとせよ。

そして
また
 CBが
  BDに対し,
 平方数
  平方数対する
   もたないようにせよ。
     [......(5)]

そして
 Eが
  BCに対するように,
 A上の正方形
  FG上の正方形
   対し,
 BCが
  CDに対するように,
 FG上の正方形
  GH上の正方形
   対するようにされたとせよ。
      [......(1)]


そうすれば
 Eが
  BCに対するように,
 A上の正方形
  FG上の正方形
   対する

から,
 A上の正方形
  FG上の正方形通約
   できる。

ところが
 A上の正方形
  有理面積
   である。

したがって
 FG上の正方形
  有理面積
   である。
      [......(2)]

ゆえに
 FGも
  有理線分
   である。

そして
 Eは
  BCに対し,
 平方数
  平方数対する
   もたない

から,
 A上の正方形
  FG上の正方形に対し,
 平方数
  平方数対する
   もたない。

したがって
 Aは
  FGと長さにおいて通約
   できない。
      [......(4)]

また
 BCが
  CDに対するように,
 FG上の正方形
  GH上の正方形
   対する

から,
 FG上の正方形
  GH上の正方形通約
   できる。

ところが
 FG上の正方形
  有理面積
   である。

したがって
 GH上の正方形
  有理面積
   である。

ゆえに
 GHも
  有理線分
   である。
      [......(3)]

そして
 BCは
  CDに対し,
 平方数
  平方数対する
   もたない

から,
 FG上の正方形
  GH上の正方形に対し,
 平方数
  平方数対する
   もたない。

したがって
 FGは
  GHと長さにおいて通約
   できない。

そして
 両方とも
  有理線分
   である。

それゆえ
 FG,GHは
  平方においてのみ通約
   できる
  有理線分
   である。

したがって
 FHは
  余線分
   である。


次に
  第6の余線分
   でもあると主張する。

 Eが
  BCに対するように,
 A上の正方形
  FG上の正方形
   対し,
 BCが
  CDに対するように,
 FG上の正方形
  GH上の正方形
   対する

から,
  等間隔比により
 Eが
  CDに対するように,
 A上の正方形
  GHの正方形
   対する

ところが
 Eは
  CDに対し,
 平方数
  平方数対する
   もたない。

したがって
 A上の正方形
  GH上の正方形に対し,
 平方数
  平方数対する
   もたない。

したがって
 Aは
  GHと長さにおいて通約
   できない。

ゆえに
 FG,GHのいずれも
  有理線分Aと長さにおいて通約
   できない。
       [......(7)]

そして
  K上の正方形
  FG上の正方形とGH上の正方形の差と
   せよ。
      [......(6)]

そうすれば
 BCが
  CDに対するように,
 FG上の正方形
  GH上の正方形
   対する

から,
  反転比により
 CBが
  CDに対するように,
 FG上の正方形
  K上の正方形
   対する

ところが
 CBは
  BDに対し,
 平方数
  平方数対する
   もたない。

したがって
 FG上の正方形
  K上の正方形に対し,
 平方数
  平方数対する
   もたない。

それゆえ
 FGは
  Kと長さにおいて通約
   できない。

そして
 FG上の正方形
  GH上の正方形より
  K上の正方形だけ
   大きい。

したがって
 FG上の正方形
  GH上の正方形より
  FGと長さにおいて通約
   できない
  線分上の正方形だけ
   大きい。

そして
 FG,GHのいずれも
  定められた有理線分Aと通約
   できない。

したがって
 FHは
  第6の余線分
   である。


よって
 第6の余線分FHが
   見いだされた。
これが証明すべきことであった。

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