ユークリッド原論をどう読むか(14)
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ユークリッド原論

第10巻
 
命題10ー57(有理線分と第4の二項線分の矩形に等しい正方形の辺は優線分)
もし
 面積
  有理線分第4のニ項線分によってかこまれ
ならば、
 その面積等し正方形
  優線分とよばれる無理線分である。



 面積ACが
  有理線分ABと第4のニ項線分AD
  とによってかこまれ
 ADは
  Eでその項に分けられ、
  AEが大きい項である
とせよ。
 面積ACに等し正方形
  優線分とよばれる無理線分である
と主張する。


 ADは
  第4の二項線分である

から、
 AE、EDは
  平方においてのみ通約できる
  有理線分であり、
 AE上の正方形
  ED上の正方形より
  AEと通約できない線分上の正方形だけ大きく、
 AEは
  ABと長さにおいて通約できる。
      [......(3)]

 DEが
  Fで2等分され、
  EF上の正方形等し
  AE上に平行四辺形AG、GEがつくられた
とせよ。

そうすれば
 AGは
  GEと長さにおいて通約できない。
      [......(1)]

 ABに平行
  GH、EK、FLがひかれ、
 残りの作図も
  この前と同じようにされた
とせよ。

そうすれば
 MQが
  面積ACに等し正方形である
ことは明らかである。
       [......(7)]

次に
 MQが
  優線分とよばれる無理線分である
ことを証明しなければならない。
 AGは
  EGと長さにおいて通約できない

から、
 AHは
  GKと、
 すなわち
 SNは
  NPと通約できない。

したがって
 MN、NQは
  平方において通約できない。
      [......(6)]

そして
 AEは
  ABと長さにおいて通約でき、

 AKは
  有理面積であり、
  MN、NQ上の正方形の和に等しい。

したがって
 MN、NQ上の正方形の和は
  有理面積である。
     [......(5)]

そして
 DEは
  ABと、
  すなわちEKと
  長さにおいて通約できず、

 他方
 DEは
  EFと通約できる

から、
 EFは
  EKと長さにおいて通約できない。

したがって
 EK、EFは
  平方においてのみ通約できる有理線分である。

ゆえに
 LE、
 ずなわち
 MRは
  中項面積である。

 そして
 MN、NQによってかこまれる。

したがって
 矩形MN、NQは
  中項面積である。

そして
 MN、NQとの正方形の和は
  有理面積であり、

 MN、NQは
  平方において通約できない。

ところがもし
 平方において通約できず、
  それらの上の正方形の和を有理面積とし、
  それらによってかこまれ矩形中項面積とする
  2線分が加えられる
ならば、
 全体は無理線分であり、
 優線分とよばれる。

よって
 MQは
  優線分とよばれる無理線分であり、
  面積ACに等し正方形である。

これが証明すべきことであった。
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