ユークリッド原論をどう読むか(14)
頁末
前
次
目次
ユークリッド原論
第10巻
命題10ー18
(上の正方形の差が大と非通約線分上の正方形⇔小の半分上の正方形に等しい大の矩形分割(コ)の辺は非通約)
もし
不等
な2
線分
があり、
小さい
線分
上の
正方形
の4
分の1
に
等しく
て
正方形
だけ欠けている
平行四辺形
が
大きい
線分
上につくられ、
それを
通約
できない2部分に分ける
ならば、
大きい
線分
上の
正方形
は
小さい
線分
上の
正方形
より、
大きい
線分
と
通約
できない
線分
上の
正方形
だけ
大きい
であろう。
そして
もし
大きい
線分
上の
正方形
が
小さい
線分
上の
正方形
より、
大きい
線分
と
通約
できない
線分
上の
正方形
だけ
大きく
、
小さい
線分
上の
正方形
の4
分の1
に
等しく
て
正方形
だけ欠けている
平行四辺形
が
大きい
線分
上につくられる
ならば、
それを
通約
できない2部分に分ける。
不等は、
定義の補足(公理1ー4)
による。
線分は、
定義の補足(命題1ー1)
による。
小さいは、
公理1ー8の補足
による。
正方形は、
定義1ー22
による。
分の1は、
定義の補足2(公理1ー6)
による。
等しいは、
公理1ー7
による。
平行四辺形は、
定義の補足(命題1ー34)
による。
大きいは、
公理1ー8
による。
通約は、
定義10ー1
による。
A、BCを
不等
な2
線分
とし、
BCのほうが
大きい
とし、
小さい
A上の
正方形
の4
分の1
に
等しく
て
正方形
だけ欠けている
平行四辺形
が
BC上につくられた
とし、
それを
矩形
BD、DC
とし、
BDが
DCと
長さにおいて通約
できない
とせよ。
実際に作図するには、
以下のようにする。
命題10ー10
(作図.長さ・平方において通約でない線分)
により、
長さにおいて
通約できないBD、D'C'をとり、
公準1ー2
(作図.直線の延長)
により
BDをDの方向に延長し、
命題1ー3の補足
(作図.等しい線分となる点)
により
延長した部分にCを
DC=D'C'
となるようにとり、
線分BCをかく。
命題6ー25
(作図.直線図形に等しく別の直線図形に相似)
により、
矩形BD、DCに等しい正方形をかき、
命題6ー20
(相似多角形の相似三角形分解と2乗の比)
により、
その正方形の辺を2倍したものをA
とする。
命題1ー10
(作図・線分の2等分)
により
BCの中点Eをとると、
命題2ー5
(和と差の積は平方の差1)
により、
sq(_BE)=sq(_DE)+rec(BD、DC)
=sq(_DE)+sq(_A)/4
となっているので
sq(_BC)=4×sq(_DE)+sq(_A)
となり、
[......(1)]
公理1ー8の補足
(小さい)
により
sq(_BC)>sq(_A)
となり、
命題1−48の補足
(正方形の大等小と辺の大等小)
により
BC>A
となって、
命題の設定を満たす図
となる。
BC>A、
rec(BD、DC)=sq(_A)/4、
BD¬∩DC
となっている。
BC上の
正方形
は
A上の
正方形
より
BCと
通約
できない
線分
上
の
正方形
だけ
大きい
と主張する。
前と同じ作図がなされた
とき、
[......(a)]
前回と同じ作図という表現は
初めてである。
前命題10ー17
(和と差の積と線分上の正方形の差での通約)の
(a)
、
(b)
のことである。
BC上に、
中点Eと点Fがあり、
BF=DC
となっている。
同様にして
BC上の
正方形
が
A上の
正方形
より
FD上の
正方形
だけ
大きい
ことを証明しうる。
[......(2)]
(1)
により、
sq(_BC)=4×sq(_DE)+sq(_A)
となっていて、
命題6ー20
(相似多角形の相似三角形分解と2乗の比)
により
sq(_FD)=4×sq(_DE)
だから、
sq(_BC)=sq(_FD)+sq(_A)
となる。
BCが
DFと
長さにおいて通約
できない
ことが証明されなければならない。
BDは
DCと
長さにおいて通約
できない
命題の設定
による。
BD¬∩DC
となっている。
から、
BCも
CDと
長さにおいて通約
できない。
前節、
命題10ー16
(非通約量はその和・差とも非通約)
による。
BC¬∩CD
となっている。
ところが
DCは
BF、DCの和と
通約
できる。
(a)
により
BF=DC
となっており、
定義5ー5
(同じ比)
により、
DC:BF+DC=1:2
となるので、
命題10ー6
(量が数:数なら通約可)
による。
DC∩BF+DC
となっている。
したがって
BCも
BF、DCの和と
通約
できない。
前節、前々節、
命題10ー13
(通約量と非通約なら非通約)
による。
BC¬∩BF+DC
となっている。
ゆえに
BCは
残りのFDと
長さにおいて通約
できない。
前節、
命題10ー16
(非通約量はその和・差とも非通約)
による。
BC¬∩FD
となっている。
そして
BC上の
正方形
は
A上の
正方形
よりも
FD上の
正方形
だけ
大きい
。
(2)
による。
sq(_BC)=sq(_A)+sq(_FD)
となっている。
したがって
BC上の
正方形
は
A上の
正方形
より
BCと
通約
できない
線分
上
の
正方形
だけ
大きい
。
前節による。
また
BC上の
正方形
が
A上の
正方形
より
BCと
通約
できない
線分
上
の
正方形
だけ
大きい
とし、
A上の
正方形
の4
分の1
に
等しく
て
正方形
だけ欠けている
平行四辺形
が
BC上につくられた
とし、
それを
矩形
BD、DC
とせよ。
実際に作図するには、
以下のようにする。
命題10ー9助の系
(非相似平面数は平方数:平方数とならず)
により、
C'『¬∩BC』をとり、
命題10ー13助
(構成.線分上の正方形の差となる正方形の辺)
により
sq(_BC)ーsq(_C')
に等しい正方形の辺をA=A'A"
とする。
命題1ー10
(作図・線分の2等分)
により
A=A'A"の中点Gをとり、
命題1−46
(作図.線分上に正方形)
により、
sq(_A'G)をつくる
と、
命題6ー20
(相似多角形の相似三角形分解と2乗の比)
により
sq(_A'G)=sq(_A)/4
になる。
命題6ー28
(作図.直線図形に等しく、相似な平行四辺形を欠く平行四辺形)
により
BC上にDをとり、
rec(BD、DC)=sq(_A'G)
となるようにする。
BC¬∩C'
sq(_BC)=sq(_C')+sq(_A)
rec(BD、DC)=sq(_A)/4
となっている。
BDは
DCと
長さにおいて通約
できない
ことを証明しなければならない。
同じ作図がなされた
[......(b)]
(a)
の作図による。
BC上に
中点Eと点Fがあり、
BE=EC、EF=ED、
したがって、
BF=DC
となっている。
とき、
同様にして
BC上の
正方形
が
A上の
正方形
より
FD上の
正方形
だけ
大きい
ことを証明しうる。
前節、
命題2ー5
(和と差の積は平方の差1)
により、
sq(_EC)=sq(_ED)+rec(BD、BC)
となり、
前々節により
rec(BD、DC)=sq(_A)/4
となっていて、
命題6ー20
(相似多角形の相似三角形分解と2乗の比)
により、
sq(_EC)=sq(_BC)/4、
sq(_ED)=sq(_FD)/4
となり、
公理1ー2
(等しいものに等しいものを加える)
により、
sq(_EC)=sq(_FD)/4+sq(_A)/4
となり、
公理1ー1
(同じものに等しい)
により
sq(_BC)/4=sq(_FD)/4+sq(_A)/4
となり、
公理1ー5の補足2
(等しいもののn倍、n倍に等しいもの)
により
sq(_BC)=sq(_FD)+sq(_A)
となる。
ところが
BC上の
正方形
は
A上の
正方形
より
BCと
通約
できない
線分
上
の
正方形
だけ
大きい
。
命題の設定
による。
したがって
BCは
FDと
長さにおいて通約
できない。
前節、前々節による。
BC¬∩FD
となっている。
ゆえに
BCは
残りのBF、DCの和とも
通約
できない。
前節、
命題10ー16
(非通約量はその和・差とも非通約)
による。
BC¬∩(BF+DC)
となっている。
ところが
BF、DCの和は
DCと
長さにおいて通約
できる。
(b)
により、
BF=DC
となっており、
定義5ー5
(同じ比)
により
BF+DC:DC=2:1
となっているので、
命題10ー6
(量が数:数なら通約可)
による。
BF+DC¬∩DC
となっている。
それゆえ
BCは
DCと
長さにおいて通約
できない。
前節、前々節、
命題10ー13
(通約量と非通約なら非通約)
による。
BC¬∩DC
となっている。
したがって
分割比
により
BDは
DCと
長さにおいて通約
できない。
前節、
命題10ー7
(非通約量は数:数にならない)
により
BC:DC≠数:数
となり、
命題5ー17
(合比で比例なら分割比でも比例)
により
BD:DC≠数:数
となり、
命題10ー8
(量が数:数でないなら非通約)
により
BD¬∩DC
となる。
命題10ー16
(非通約量はその和・差とも非通約)
によるとする方が簡明である。
よって
もし
[
不等
な]2
線分
があり云々。
云々は、
「
小さい
線分
上の
正方形
の4
分の1
に
等しく
て
正方形
だけ欠けている
平行四辺形
が
大きい
線分
上につくられ、
それを
通約
できない2部分に分ける
ならば、
大きい
線分
上の
正方形
は
小さい
線分
上の
正方形
より、
大きい
線分
と
通約
できない
線分
上の
正方形
だけ
大きい
であろう。」
である。
そして
もし
大きい
線分
上の
正方形
が
小さい
線分
上の
正方形
より、
大きい
線分
と
通約
できない
線分
上の
正方形
だけ
大きく
、
小さい
線分
上の
正方形
の4
分の1
に
等しく
て
正方形
だけ欠けている
平行四辺形
が
大きい
線分
上につくられる
ならば、
それを
通約
できない2部分に分ける。
」
命題10ー18
は、以下のことである。
A<Bとして、
C×(BーC)=(A/2)^2、
C¬∩BーC
ならば、
sq(_B)=sq(_A)+sq(_Bー2×C)
Bー2×C¬∩B
逆に
C×(BーC)=(A/2)^2、
sq(_B)=sq(_A)+sq(_Bー2×C)
Bー2×C¬∩B
ならば、
C¬∩BーC
命題10ー18
は推論用命題である。
前提
作図・構成
推論
定義
5-5
公準
1-2
公理
1-8補
命題
1-3補
,
1-10
,
6-25
,
10-10
1-48補
,
2-5
,
6-20
,
10-6
,
10-13
,
10-16
その他
前
次
目次
頁頭