ユークリッド原論をどう読むか(14)
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ユークリッド原論
第10巻
命題10ー32
(作図,2中項線分;平方のみ通約、矩形が中項面積、平方差が大きい方と長さ通約の平方 )
(作図,2中項線分;平方のみ通約、矩形が中項面積、平方差が大きい方と長さ非通約の平方)
平方においてのみ通約
でき、
中項面積
を
かこみ
、
大きい
線分
上の
正方形
が
小さい
線分
上の
正方形
より、
大きい
線分
と
通約
できる
線分
上の
正方形
だけ
大きい
2つの
中項線分
を見いだすこと。
平方においてのみ通約は、
定義の補足(命題10ー19助)
による。
中項面積は、
定義の補足2(命題10ー23)
による。
かこみは、
定義2ー1
による。
大きいは、
公理1ー8
による。
線分は、
定義の補足(命題1ー1)
による。
正方形は、
定義1ー22
による。
小さいは、
公理1ー8の補足
による。
通約は、
定義10ー1
による。
中項線分は、
定義の補足(命題10ー21)
による。
平方においてのみ通約
できる
三つの
有理線分
A、B、C
が定められ、
A上の
正方形
が
C上の
正方形
より
Aと
通約
できる
線分
上の
正方形
だけ
大きく
、
命題の補足2(定義10ー3)
(作図.任意の有理線分)
により、
A;有理線分
をとり、
Aに対して、
命題10ー29
(作図.平方のみ通約で、平方差が大きい方と長さ通約の平方となる2有理線分)
により、
Cをとる。
命題10ー5
(通約可能なら数:数の比)
により、
sq(_A):sq(_C)=A':C'(数:数)、
となっており、
命題10ー10助の系
(非相似平面数は平方数:平方数とならず)
により、
A'、C';相似な平面数でない
となっている。
B';A'、C'のどちらとも相似な平面数でない
をとる。
命題10ー6の系2
(作図.平方で数:数となる線分)
により、
B;sq(_A):sq(_B)=A':B'
をとる。
A∩^^2B、B∩^^2C、C∩^^2A
となっている。
D上の
正方形
が
矩形
A、Bに
等しい
とせよ。
[......(a)]
命題2ー1の補足
(作図.矩形)
により、
rec(A、B)
をとり、
命題6ー17の補足
(作図.線分上に矩形と等しい正方形)
による。
D;sq(_D)=rec(A、B) をとる。
そうすれば
D上の
正方形
は
中項面積
である。
前節、
命題の設定
、
定義の補足2(命題10ー23)
(中項面積)
による。
sq(_D);中項面積 となっている。
したがって
Dも
中項線分
である。
[......(1)]
前節、
定義の補足(命題10ー21)
(中項線分)
による。
D;中項線分
となっている。
矩形
D、Eが
矩形
B、Cに
等しい
とせよ。
[......(b)]
命題6ー14
(等積で等角な平行四辺形と逆比例)
により、
D:C=B:E
となるので、
命題6ー12
(作図.比例第4項)
により、
E;D:C=B:E
をとり、
命題2ー1の補足
(作図.矩形)
により、
rec(D、E)
をとる。
rec(D、E)=rec(B、C) となっている。
そうすれば
矩形
A、Bが
矩形
B、Cに
対するように
、
AがCに
対し
、
命題6ー23
(等角な平行四辺形と辺の比の積)
により、
rec(A、B):rec(B、C)
=(B:C)×(A:B)
となり、
定義6ー5
(合成・積)
により、
(B:C)×(A:B)
=A:C
となるので、
命題5ー11
(同一の比に同じ比)
による。
rec(A、B):rec(B、C)
=A:C
となっている。
他方
D上の
正方形
が
矩形
A、Bに
等しく
、
矩形
D、Eが
矩形
B、Cに
等しい
(a)
、
(b)
による。
sq(_D)=rec(A、B)、
rec(D、E)=rec(B、C)
となっている。
から、
AがCに
対するように
、
D上の
正方形
が
矩形
D、Eに
対する
。
前節、
命題5ー7
(同一量の比)
により、
sq(_D):rec(D、E)
=rec(A、B):rec(B、C)
となり、
前々節、
命題5ー11
(同一の比に同じ比)
による。
A:C=sq(_D):rec(D、E)
となっている。
ところが
D上の
正方形
が
矩形
D、Eに
対するように
、
DがEに
対する
。
命題10ー22助
(2線分は一方の上の正方形と両者の矩形に比例)
による。
sq(_D):rec(D、E)=D:E
となっている。
そして
AはCと
平方においてのみ通約
できる。
命題の設定
による。
A∩^^2C
となっている。
したがって
DもEと
平方においてのみ通約
できる。
[......(2)]
前々節、前々々節
命題5ー11
(同一の比に同じ比)
により、
A:C=D:E
[......(3)]
となり、
前節、
命題10ー11
(4量比例で一方が通約なら他方も通約)
による。
D∩^^2E
となっている。
ところが
Dは
中項線分
である。
(1)
による。
D;中項線分
となっている。
したがって
Eも
中項線分
である。
前節、前々節、
命題10ー23
(中項線分と平方で通約なら中項線分)
による。
E;中項線分
となっている。
そして
AがCに
対するように
、
DがEに
対し
、
(3)
による。
A:C=D:E
となっている。
A上の
正方形
は
C上の
正方形
より
Aと
通約
できる
線分
上の
正方形
だけ
大きい
命題の設定
による。
sq(_A)=sq(_C)+sq(_Z)、
A∩Z
となっている。
から、
D上の
正方形
も
E上の
正方形
より
Dと
通約
できる
線分
上の
正方形
だけ
大きい
であろう。
[......(4)]
前節、前々節、
命題10ー14
(比例4項の各辺で正方形の差の通約が対応)
による。
sq(_D)=sq(_E)+sq(_Y)、
D∩Y
となっている。
次に
矩形
D、Eが
中項面積
である
と主張する。
なぜなら
矩形
B、Cは
矩形
D、Eに
等しく
、
矩形
B、Cは
中項面積
である
から、
矩形
D、Eも
中項面積
である。
[......(5)]
「なぜなら・・・であるから」は、
コメント2(命題1ー16)
参照のこと。
(b)
、
命題の設定
、
定義の補足2(命題10ー23)
(中項面積)、
命題の補足(定義10ー1)
(等しい、倍量、約量と通約)、
命題10ー23の系
(中項面積と通約なら中項面積)
による。
rec(B、C)=rec(D、E)、
rec(B、C)、rec(D、E);中項面積
となっている。
よって
平方においてのみ通約
でき、
中項面積
を
かこみ
、
大きい
線分
上の
正方形
が
小さい
線分
上の
正方形
より、
大きい
線分
と
通約
できる
線分
上の
正方形
だけ
大きい
、
2つの
中項線分
D、E
が見いだされた。
(2)
、
(5)
、
(4)
による。
D∩^^2E、
rec(D、E);中項面積
sq(_D)=sq(_E)+sq(_Y)、
D∩Y
となるD、Eをとっている。
また同様にして
A上の
正方形
が
C上の
正方形
より
Aと
通約
できない
線分
上の
正方形
だけ
大きい
ならば、
D上の
正方形
は
E上の
正方形
より
Dと
通約
できない
線分
上の
正方形
だけ
大きい
(以下、
命題10ー32の系
(作図,2中項線分;平方のみ通約、矩形が中項面積、平方差が大きい方と長さ非通約の平方)という。)
ことが証明され得る。
前半の証明において、
命題の設定
「平方においてのみ通約できる
三つの有理線分A、B、C
が定められ、
A上の正方形が
C上の正方形より
Aと通約できる線分上の正方形だけ大きく、」
を
「平方においてのみ通約できる
三つの有理線分A、B、C
が定められ、
A上の正方形が
C上の正方形より
Aと通約できない線分上の正方形だけ大きく、」
と変えることになるので、
Aに対して、Cをとる根拠について、
命題10ー29
(作図.2有理線分;平方のみ通約で、平方差が大きい方と長さ通約の平方)
から、
命題10ー30
(作図.2有理線分;平方のみ通約で、平方差が大きい方と長さ非通約の平方)
に変更するだけで、
証明が成立する。
命題10ー32の系
は、
A;有理線分
に対し、
命題10ー30
により、
C;有理線分、A∩^^2C、
sq(_A)=sq(_C)+sq(_Z)、
A¬∩Z
をとり、
B;有理線分、A∩^^2B、C∩^^2B
をとり、
A、B、C
に対して、
命題6ー17の補足
により、
中項線分D;中項面積sq(_D)=rec(A、B)、
命題6ー12
により、
E;E:B=C:D
をとると、
rec(D、E)=中項面積rec(B、C)、
D:E=A:C
となり、
[D]、[E];中項線分、
D∩^^2E、
rec(D、E);中項面積
sq(_D)=sq(_E)+sq(_Y)、
D¬∩Y
のことである。
命題10ー32
は、
A;有理線分
に対し、
命題10ー29
により、
有理線分C;A∩^^2C、
sq(_A)=sq(_C)+sq(_Z)、
A∩Z
をとり、
有理線分B;A∩^^2B、C∩^^2B
をとり、
A、B、C
に対して、
命題6ー17の補足
により、
中項線分D;sq(_D)=rec(A、B)、
命題6ー12
により、
E;E:B=C:D
をとると、
rec(D、E)=中項面積rec(B、C)、
D:E=A:C、
となり、
D、E;中項線分、
D∩^^2E、
rec(D、E);中項面積
sq(_D)=sq(_E)+sq(_Y)、
D∩Y
のことである。
命題10ー32の系 (作図,2中項線分;平方のみ通約、矩形が中項面積、平方差が大きい方と長さ非通約の平方)
前提
作図
推論
定義
公準
公理
命題
10-32
その他
命題10ー32
は作図用命題である。
前提
作図・構成
推論
定義
6-5
,
補(義10-1)
,
補(題10-21)
,
補2(題10-23)
公準
公理
命題
2-1補
,
6-12
,
6-17補
,
補2(義10-3)
,
10-6系2
,
10-29
5-7
,
5-11
,
6-14
,
6-23
,
10-5
,
10-10助系
,
10-11
,
10-14
,
10-22助
,
10-23
,
10-23系
その他
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