ユークリッド原論をどう読むか(14)
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ユークリッド原論

第10巻
 
命題10ー59(有理線分と第5の二項線分の矩形に等しい正方形の辺は二つの中項面積の和に等しい正方形の辺)
もし
 面積
  有理線分第6の二項線分
  とによってかこまれる
ならば、
 その面積等し正方形
  二つの中項面積の和に等しい正方形の辺
  とよばれる無理線分である。



 面積ABCDが
  有理線分ABと第6の二項線分
  とによってかこまれ
 ADは
  Eでその項に分けられ、
  AEが大きい項である
とせよ。
 ACに等し正方形
  二つの中項面積の和に等しい正方形の辺である
と主張する。


先の証明と同じ作図がなされたとせよ。

そうすれば
 MQが
  ACに等し正方形であり、
 MNが
  NQと平方において通約できない
ことは明らかである。

そして
 EAは
  ABと長さにおいて通約できない

から、
 EA、ABは
  平方においてのみ通約できる有理線分である。

したがって
 AK、
 すなわち
 MN、NQ上の正方形の和は
  中項面積である。
      [......(4)]

また
 EDは
  ABと長さにおいて通約できない

から、
 FEも
  EKと通約できない。

したがって
 FE、EKは
  平方においてのみ通約できる有理線分である。

ゆえに
 EL、
 すなわち
 MR、
 すなわち
 矩形MNQは
  中項面積である。
      [......(5)]

そして
 AEは
  EFと通約できない

から、
 AKも
  ELと通約できない。

ところが
 AKは
  MN、NQ上の正方形の和であり、
 ELは
  矩形MNQである。

したがって
 MN、NQ上の正方形の和は
  矩形MNQと通約できない。

そして
 それらの双方は
  中項面積であり、

 MN、NQは
  平方において通約できない。

よって
 MQは
  二つの中項面積の和に等しい正方形の辺であり、
  ACに等し正方形である。

これが証明すべきことであった。
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