ユークリッド原論をどう読むか(16)
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ユークリッド原論

第10巻
 
命題10ー97(余線分上の正方形は有理線分上の矩形なら幅は第1の余線分)
  余線分の上の正方形
   等し
 矩形
  有理線分上に
   つくられる
ならば,
  第1の余線分
   とする。



  ABを余線分
   とし,
  CDを有理線分
   とし,
  AB上の正方形
   等し
  CD上に
  CFをとする
 矩形CEが
   つくられた
とせよ。

 CFは
  第1の余線分
   である
と主張する。

  BGを
  ABへの付加
   とせよ。

そうすれば
 AG,GBは
  平方においてのみ通約
   できる
  有理線分
   である。
    [......(1)]

  CD上に
  AG上の正方形
   等し
 矩形CHが,
  BG上の正方形
   等し
 矩形KLが
   つくられた
とせよ。
    [......(3)]

そうすれば
 CL全体は
  AG,GB上の正方形の和に
   等しく,
    [......(2)]

そのうち
 CEは
  AB上の正方形
   等しい。

ゆえに
 残りのFLは
  矩形AG,GBの2
   等しい。
    [......(4)]

 FMが
  Nで2等分
   され,
  Nを
   通り
  CDに平行
 NOが
  ひかれた
とせよ。
    [......(9)]

そうすれば
 FO、LNの双方は
  矩形AG,GBに
   等しい。
   [......(10)]

そして
 AG,GB上の正方形の和は
  有理面積
   であり,
 DMは
  AG,GB上の正方形の和に
   等し
    [......(5)]

から,
 DMは
  有理面積
   である。

そして
  有理線分CD上に
  CMをとして
   つくられた。

したがって
 CMは
  有理線分
   であり
  CDと長さにおいて通約
   できる。
    [......(7)]

また
 矩形AG,GBの2
  中項面積
   であり,
 FLは
  矩形AG,GBの2
   等し
    [......(6)]

から,
 FLは
  中項面積
   である。

そして
  有理線分CD上に
  FMをとして
   つくられている。

それゆえ
 FMは
  有理線分
   であり
  CDと長さにおいて通約
   できない。
    [......(8)]

そして
 AG,GB上の正方形の和は
  有理面積
   であり,

 矩形AG,GBの2
  中項面積
   である

から,
 AG,GB上の正方形の和は
  矩形AG,GBの2通約
   できない。

そして
 CLは
  AG,GB上の正方形の和に,
 FLは
  矩形AG,GBの2
   等しい。

したがって
 DMは
  FLと通約
   できない。

ところが
 DMが
  FLに対するように,
 CMが
  FMに
   対する

ゆえに
 CMは
  FMと長さにおいて通約
   できない。

そして
 両方とも
  有理線分
   である。

それゆえ
 CM,MFは
  平方においてのみ通約
   できる
  有理線分
   である。

したがって
 CFは
  余線分
   である。

次に
 第1の余線分でもある
と主張する。

 矩形AG,GBは
  AG,GB上の正方形比例中項
   であり,
   [......(12)]

 CHは
  AG上の正方形
   等しく,
 KLは
  BG上の正方形
   等しく,
 NLは
  矩形AG,GBに
   等し

から,
 NLも
  CH,KLの比例中項
   である。

したがって
 CHが
  NLに対するように,
 NLが
  KLに
   対する

ところが
 CHが
  NLに対するように,
 CKが
  NMに
   対する
そして
 NLが
  KLに対するように,
 NMが
  KMに
   対する

したがって
 矩形CK,KMは
  NM上の正方形に,
すなわち
  FM上の正方形の4分の1
   等しい。
   [......(11)]

そして
 AG上の正方形
  GB上の正方形通約
   できる

から,
 CHも
  KLと通約
   できる。

ところが
 CHが
  KLに対するように,
 CKが
  KMに
   対する

ゆえに
 CKは
  KMと通約
   できる。

そこで
 CM,MFは
  不等な2線分
   であり,
  FM上の正方形の4分の1
   等しくて
  正方形だけ
   欠けている
 矩形CK,KMが
  CM上に
   つくられ,
 CKは
  KMと通約
   できる

から,
 CM上の正方形
  MF上の正方形より,
  CMと長さにおいて通約
   できる
  線分上の正方形だけ
   大きい。

そして
 CMは
   定められた
  有理線分CDと長さにおいて通約
   できる。

ゆえに
 CFは
  第1の余線分
   である。

よって
  余線分の上の正方形
   等し
 矩形
  有理線分上に
   つくられる
ならば,
 第1の余線分
  とする。

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