ユークリッド原論をどう読むか(14)
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ユークリッド原論

第10巻
 
命題10ー72(通約不可の中項面積の和に等しい正方形の辺)
(二項線分、第1・第2の双中項線分、優線分、中項面積・有理面積の和となる正方形の辺、中項面積和となる正方形の辺、中項線分は異なる)
 互いに通約できない
 二つの中項面積
  加えられる
ならば、
 残りの2種の無理線分
  すなわち第2の双中項線分
 または
  二つの中項面積の和に等しい正方形の辺
が生ずる。



 互いに通約できない
  二つの中項面積AB、CDが
   加えられた
とせよ。

 面積ADに等し正方形
  第2の双中項線分
  または
  二つの中項面積の和に等しい正方形の辺である
と主張する。

 ABは
  CDより大きいか
  あるいは
  小さいかである。

まず
たまたま
 ABが
  CDより大き
とせよ。

 有理線分EFが
  定められ、
そして
 ABに等し
  EF上に
  EHをとするEGが、
 CDに等し
  HKをとするHIが
  つくられた
とせよ。
[......(1)]

そうすれば
 AB、CDの双方は
  中項面積である
から、
 EG、HIの双方も
  中項面積である。

そして
  有理線分FE上に
  EH、HKをとしてつくられている。
したがって
 EH、HKの双方は
  有理線分であり、
  EFと長さにおいて通約できない。
      [......(2)]

そして
 ABは
  CDと通約できず、
 ABは
  EHに、
 CDは
  HIに等し
から、
 EGも
  HIと通約できない。

ところが
 EGが
  HIに矩形対するように、
 EHが
  HKに対する。
したがって
 EHは
  HKと長さにおいて通約できない。

それゆえ
 EH、HKは
  平方においてのみ通約できる有理線分である。
ゆえに
 EKは
  二項線分である。

ところが
 EH上の正方形
  HK上の正方形より
  EHと通約できる線分上の正方形
  または
  通約できない線分上の正方形だけ大きい。

(case01)
まず
  EHと長さにおいて通約できる
   線分
上の正方形だけ大き
とせよ。

そして
 EH、HKのいずれも
  定められた有理線分EFと
  長さにおいて通約できない。
したがって
 EKは
  第3の二項線分である。

ところが
 EFは
  有理線分である。
そして
 面積
  有理線分と第3の二項線分とによって
   かこまれる
ならば、
 その面積等し正方形
  第2の双中項線分である。

したがって
 EI、
 すなわち
 ADに等し正方形
  第2の双中項線分である。
      [......(3)]

(case02)
次に
 EHが
  HKよりEHと
  長さにおいて通約できない線分上の正方形だけ大き
とせよ。

そして
 EH、HKの双方は
  EFと長さにおいて通約できない。
したがって
 EKは
  第6の二項線分である。

そして
もし
 面積
  有理線分第6の二項線分とによって
  かこまれる
ならば、
 その面積等し正方形
  二つの中項面積の和に等しい正方形の辺である。

したがって
 面積ADに等し正方形
  二つの中項面積の和に等しい正方形の辺である。
      [......(4)]

(case0e)
よって
 互いに通約できない二つの中項面積
  加えられる
ならば、
 残りの2種の無理線分
 すなわち
 第2の双中項線分
 または
 二つの中項面積の和に等しい正方形の辺
  生ずる。


 二項線分
  それにつづく無理線分とは
   中項線分ともまた相互にも同じでない。

なぜなら
 中項線分上の正方形等しい矩形が
  有理線分上につくられる
ならぱ、
 有理で
 かつ
 矩形の底長さにおいて通約できない線分
  とする。

ところが
 二項線分上の正方形等し矩形
  有理線分上につくられる
ならば、
 第1の二項線分とする。

また
 第1の双中項線分上の正方形等し矩形
  有理線分上につくられる
ならば、
  第2の二項線分とする。
そして
 第2の双中項線分上の正方形等し矩形
  有理線分上につくられる
ならば、
  第3の二項線分とする。
 優線分の上の正方形等し矩形
  有理線分上につくられる
ならぱ、
  第4の二項線分とする。
 有理面積中項面積の和の上の正方形等し矩形
  有理線分上につくられる
ならば
  第5の二項線分とする。
 二つの中項面積の和の上の正方形等し矩形
  有理線分上につくられる
ならば、
  第6の二項線分とする。
そして
 これらの
  第1のものとも、
  また
  相互にも異なる、
 第1のものとは
  それが有理線分である
がゆえに、
  相互には
  順位において同じでない
がゆえに。
したがって
 無理線分自身も互いに異なる。
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