ユークリッド原論をどう読むか(14)
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ユークリッド原論
第10巻
命題10ー38
(平方でのみ通約、中項面積を囲む中項線分の和は第2双中項線分)
第2の双中項線分
(有理線分と無理線分による矩形は無理面積)
もし
平方においてのみ通約
でき,
中項面積
をかこむ
二つの
中項線分
が加えられる
ならぱ,
全体は
無理線分
であり,
そして
第2の双中項線分
とよばれる。
平方においてのみ通約は、
定義の補足(命題10ー19助)
による。
中項面積は、
定義の補足2(命題10ー23)
による。
中項線分は、
定義の補足(命題10ー21)
による。
無理線分は、
定義10ー4
による。
第2の双中項線分
とは、
平方においてのみ通約でき,
中項面積をかこむ
二つの中項線分の和をいう
(以下、
定義の補足(命題10ー38)
(第2双中項線分)という)
平方においてのみ通約
でき,
中項面積
をかこむ
二つの
中項線分
AB,BCが加えられた
とせよ。
ACは
無理線分
である
と主張する。
命題10ー28
(作図.2中項線分;矩形が中項面積、平方でのみ通約) による。
中項線分AB、BC;
AB∩^^2 BC、
矩形(AB,BC);中項面積
をとっている。
有理線分
DEが定められ,
[......(3)]
命題の補足2(定義10ー3)
(作図.任意の有理線分)
による。
有理線分DE
をとっている。
AC上の
正方形
に
等しく
て
DGを
幅
とする
平行四辺形
DFがDE上に描かれた
[......(1)]
とせよ。
命題6ー11
(作図.比例第3項)
により、
線分DG’;DE:AC=AC:DG’
をとり、
命題2ー1の補足
(作図.矩形)
により、
矩形(DE,DG);DG=DG’
をとっている。
矩形(DE,DG);正方(_AC)
となっている。
そうすれば
AC上の
正方形
は
AB,BC上の二つの
正方形
と
矩形
AB,BCの2
倍
との和に
等しい
命題2ー4
(2分線分上の正方形)
による。
正方(_AC)
=正方(_AB)+正方(_AC)+2矩形(AB,BC)
となっている。
から,
AB,BC上の
正方形
の和に
等しく
DEにEHがつくられたとせよ。
[......(2)]
命題10ー14助の系
(作図.2線分の正方形の和となる正方形の辺
により、
線分XY;正方(_XY)=正方(_AB)+正方(_BC)
をとり、
命題6ー11
(作図.比例第3項)
により、
線分EH;DE:XY=XY:EH
をとっている。
矩形(DE)=正方(_AB)+正方(_BC)
となっている。
そうすれば
残りのHFは
矩形
AB,BCの2
倍
に
等し
い。
公理1ー3
(等しいものから等しいものをひく)
による。
矩形(HF)=2矩形(AB,BC)
となっている。
そして
AB,BCの双方は
中項線分
である
命題の設定
による。
AB、BC;中項線分
となっている。
から,
AB,BC上の
正方形
の和も
中項面積
である。
前節、
定義10ー2
(平方において通約)
により、
正方(_AB)∩正方(_BC);中項面積
となり、
命題10ー15
(通約量はその和・差とも通約)
により、
正方(_AB)∩正方(_AB)+正方(_BC)
となり、
[......(4)]
命題10ー23の系
(中項面積と通約なら中項面積)
による。
正方(_AB)+正方(_BC);中項面積
となっている。
ところが
矩形
AB,BCの2
倍
も
中項面積
であると仮定される。
命題の設定
による。
2矩形(AB,BC);中項面積
となっている。
そして
EHは
AB,BC上の
正方形
の和に
等し
く,
FHは
矩形
AB,BCの2
倍
に
等し
い,
[......(5)]
(1)
(2)
による。
矩形(EH)=正方(_AB)+正方(_BC)、
矩形(FH)=2矩形(AB,BC)
となっている。
したがって
EH,HFの双方は
中項面積
である。
命題10ー23の系
(中項面積と通約なら中項面積)
による。
矩形(EH)、矩形(HF);中項面積
となっている。
そして
有理線分
DE上につくられている。
(3)
による。
矩形(EH)=矩形(DE,DH)、
矩形(HF)=矩形(DE,HG)
となっている。
したがって
DH,HGの双方は
有理線分
であり,
DEと
長さにおいて通約
できない。
[......(6)]
命題10ー22
(中項線分上正方形に等矩形で底辺有理線分なら幅は有理で非通約)
による。
有理線分DH¬∩有理線分DE
有理線分HG¬∩有理線分DE
となっている。
そこで
ABは
BCと
長さにおいて通約
できず,
命題の設定
による。
AB¬∩BC
となっている。
ABがBCに
対するように
,
AB上の
正方形
は
矩形
AB,BCに
対する
命題10ー22助
(2線分は一方の上の正方形と両者の矩形に比例)
による。
AB:BC=正方(_AB):矩形(AB,BC)
となっている。
から,
AB上の
正方形
は
矩形
AB,BCと
通約
できない。
前節、
命題10ー11
(4量比例で一方が通約なら他方も通約)
による。
正方(_AB)¬∩矩形(AB,BC)
となっている。
ところが
AB,BC上の
正方形
の和は
AB上の
正方形
と
通約
でき,
(4)
による。
正方(_AB)+正方(_BC)∩正方(_AB)
となっている。
矩形
AB,BCの2
倍
は
矩形
AB,BCと
通約
できる。
定義10ー1
(通約)
による。
2矩形(AB)∩矩形(AB)
となっている。
したがって
AB,BC上の
正方形
の和は
矩形
AB,BCの2
倍
と
通約
できない。
前節、前々節、
命題10ー13
(通約量と非通約なら非通約)
による。
正方(_AB)+正方(_BC)¬∩2矩形(AB,BC)
となっている。
ところが
EHは
AB,BC上の
正方形
の和に
等しく
,
HFは
矩形
AB,BCの2
倍
に
等しい
。
(5)
による。
矩形(EH)=正方(_AB)+正方(_BC)、
矩形(FH)=2矩形(AB,BC)
となっている。
したがって
EHは
HFと
通約
できない,
前節、前々節、
命題10ー13
(通約量と非通約なら非通約)
による。
矩形(EH)¬∩矩形(HF)
となっている。
それゆえ
DH,HGは
平方においてのみ通約
できる
有理線分
である。
(6)
、
により、
有理線分であり、
前節、
定義10ー3の補足
(有理線分)
による。
DH∩^^2 HG
となっている。
したがって
DGは
無理線分
である。
前節、
命題10ー36
(平方でのみ通約の有理線分の和は無理線分(二項線分))
による。
DG;無理線分
となっている。
ところが
DEは
有理線分
である。
(3)
による。
DE;有理線分
となっている。
そして
無理線分
と
有理線分
によってかこまれる
矩形
は
無理面積
である。
背理法の仮定として、
矩形が有理面積となる
ならば、
前節により
DE;有理線分
なので、
命題10ー20
(有理線分上の有理面積の矩形幅は底辺と長さで通約)
により、
DG;∩DE、有理線分
となり、
前々節と矛盾する
ので、
背理法により
矩形(DE,DG);無理面積
となっている。
上記のことから、
次のことがわかる。
有理線分と無理線分によってできる矩形は、
無理面積である。
(
命題10ー38の補足2
(有理線分と無理線分による矩形は無理面積))
したがって
面積DFは
無理面積
であり,
それと
等しい
正方形
の辺は
無理線分
である。
前節、
定義10ー4
(面積の有理、無理、無理線分)
による。
矩形(DF)=矩形(DE,DG);無理面積、
辺.正方(_;=矩形(DF));無理線分
となっている。
ところが
ACは
DFと
等しい
正方形
の辺である。
(1)
による。
AC=辺.正方(_;=矩形(DF))
よって
ACは
無理線分
であり,
前節、前々節による。
AC;無理線分
となっている。
そして
第2の双中項線分
とよばれる。
定義の補足(命題10ー37)
(第2双中項線分)
による。
これが証明すベきことであった。
命題10ー38
は、
命題10ー28
により、
中項線分AB、BC;
AB∩^^2 BC、
矩形(AB,BC);中項面積、
とれば、
AC;無理線分、第2の双中項線分
のことである。
命題10ー38の補足2(有理線分と無理線分による矩形は無理面積)
前提
作図
推論
定義
公準
公理
命題
10-20
その他
背理法
命題10ー38
は推論用命題である。
前提
作図・構成
推論
定義
10-1
,
10-2
,
10-3補
,
10-4
,
補(題10-37)
公準
公理
1-3
命題
2-1補
,
6-11
,
補2(義10-3)
,
10-14助系
,
10-28
2-4
,
10-11
,
10-13
,
10-15
,
10-20
,
10-22
,
10-22助
,
10-23系
,
10-36
その他
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