ユークリッド原論をどう読むか(16)
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ユークリッド原論
第10巻
命題10ー114
(各項通約・比例の余・二項線分矩形は有理面積)
(有理面積をかこむ無理線分の存在)
もし
面積
が
余線分
と
ニ項線分
とに
かこま
れ、
ニ項線分
の二つの項が
余線分
の二つの項と
通約
でき、
かつ
同じ比
を
なす
ならば、
その
面積
に
等し
い
正方形
の
辺
は
有理線分
である。
面積は、
定義10ー2の補足2
による。
余線分は、
定義の補足(命題10ー73)
による。
ニ項線分は、
定義の補足(命題10ー36)
による。
かこまれるは、
定義2ー1
による。
通約は、
定義10ー1
による。
同じ比は、
定義5ー5
による。
等しいは、
公理1ー7
による。
正方形は、
定義1ー22
による。
辺は、
定義1ー19の補足
による。
有理線分は、
定義10ー3の補足
による。
矩形
<<
面積
>>AB、CDが
余線分
ABと
ニ項線分
CDとによって
かこま
れるとし、
CEをCDの
大き
い項
とし、
ニ項線分
の項CE、EDが
余線分
の項AF、FBと
通約
でき
かつ
同じ比
を
なすようにし、
矩形
>AB、CD
に
等し
い
正方形
の
辺
をG
とせよ。
命題の補足2(定義10ー3)
(作図.任意の有理線分)
により、
AF:有理線分
をとり、
命題10ー6の系3
(作図.長さ・平方で通約可の線分)
により、
B’F:有理線分、∩^^2 AF
をとり、
命題1ー3
(作図・等しい線分を切り取る)
により、
B(AF;BF=B’F)
をとれば、
定義の補足(命題10ー73)
(余線分)
により、
AB;余線分
となり、
命題の補足2(定義10ー3)
(作図.任意の有理線分)
により、
有理線分CE
をとり、
命題6ー12
(作図.比例第4項)
により、
D(延長CE;AF:BF=CE:DE)
をとれば、
命題10ー11
(4量比例で一方が通約なら他方も通約)、
命題10−11の補足
(4項比例で前項通約なら後項通約)
定義10ー3の補足
(有理線分)
により、
有理線分D’E;∩^^2 CE
となり、
定義の補足(命題10ー36)
(二項線分)
により、
CD;二項線分
となり、
命題2ー1の補足
(作図.矩形)
により、
矩形(AB、CD)
をとり、
命題2ー14
(作図.直線図形に等しい正方形)
による。
矩形面積という表現は、
初出である。
単に矩形というだけで、
面積を意味していた。
AB;余線分、
AF、BF;有理線分、
AF∩^^2 BF、
CD;二項線分、
CE>CD、
CE;有理線分、∩^^2 DE、
AF:BF=CE:DE
AF∩CE、
BF∩DE
辺G.正方(_G;=矩形(AB、CD))
となっている。
Gは
有理線分
である
と主張する。
有理線分
Hが
定められ、
H上の
正方形
に
等し
く
CD上にKLを
幅
とする
矩形
が
つくられた
とせよ。
[......(2)]
命題の補足2(定義10ー3)
(作図.任意の有理線分)、
命題1−46
(作図.線分上に正方形)、
命題2ー1の補足
(作図.矩形)
による。
H;有理線分、
辺KL.矩形(CD、KL;=正方(_H))
となっている。
そうすれば
KLは
余線分
であり、
その項KM、MLが
ニ項線分
の項CE、EDと
通約
でき
かつ
同じ比
を
なすようにせよ。
前節、
命題10ー112
(二項線分上の有理面積矩形の幅は二項線分各項と同じ比通約・同じ順位の項の余線分)
による。
KL;余線分、
KM、ML;有理線分、
KM∩^^2 ML、
KM∩CE、
ML∩ED、
KM:ML=CE:ED
となっている。
ところが
CE、EDも
AF、FBと
通約
でき
かつ
同じ比
をなす。
命題の設定
による。
CE∩AF、
ED∩FB、
CE:ED=AF:FB
となっている。
したがって
[KM、MLも
AF、FBと
通約
でき、]
AFが
FBに
対す
るように、
KMが
MLに
対す
る。
[......(1)]
前節、前々節、
命題10ー12
(通約量と通約なら通約)
命題5ー11
(同一の比に同じ比)
による。
AF∩KM、
FB∩ML、
AF:FB=KM:ML
となっている。
ゆえに
いれかえて
AFが
KMに
対す
るように、
BFが
LMに
対す
る。
前節、
命題5ー16
(比例すれば錯比も比例)
による。
AF:KM=BF:LM
となっている。
したがって
残りのABが
残りのKLに
対す
るように、
AFが
KMに
対す
る。
前節、
命題5ー19
(引き去りが比例なら残りも比例)
による。
AB:KL=AF:KM
となっている。
ところが
AFは
KMと
通約
できる。
(1)
による。
AF∩KM
となっている。
ゆえに
ABも
KLと
通約
できる。
前節、前々節、
命題10ー12
(通約量と通約なら通約)
となっている。
AB∩KL
となっている。
そして
ABが
KLに
対す
るように、
矩形
CD、ABが
矩形
CD、KLに
対す
る。
命題6ー1
(同高の三角形、平行四辺形は底辺と比例)
による。
AB:KL=矩形(CD、AB):矩形(CD、KL)
となっている。
したがって
矩形
CD、AB
も
矩形
CD、KLと
通約
できる。
前節、前々節、
命題10ー11
(4量比例で一方が通約なら他方も通約)
による。
矩形(CD、AB)∩矩形(CD、KL)
となっている。
ところが
矩形
CD、KLは
H上の
正方形
に
等し
い。
(2)
による。
矩形(CD、KL)=正方(_H)
となっている。
したがって
矩形
CD、ABは
H上の
正方形
と
通約
できる。
前節、前々節、
命題10ー11
(4量比例で一方が通約なら他方も通約)
による。
矩形(CD、AB)∩正方(_H)
となっている。
そして
G上の
正方形
は
矩形
CD、AB
に
等し
い。
命題の設定
による。
正方(_G)=矩形(CD、AB)
となっている。
ゆえに
G上の
正方形
は
H上の
正方形
と
通約
できる。
前節、前々節、
命題10ー11
(4量比例で一方が通約なら他方も通約)
による。
正方(_G)∩正方(_H)
となっている。
ところが
H上の
正方形
は
有理面積
である。
(2)
、
定義10ー4の補足
(有理面積、無理面積)
による。
正方(_H);有理面積
となっている。
したがって
G上の
正方形
も
有理面積
である。
前節、前々節、
定義10ー4の補足
(有理面積、無理面積)
による。
正方(_G);有理面積
となっている。
それゆえ
Gは
有理線分
である。
前節、
定義10ー3の補足
(有理線分)
による。
G;有理線分
となっている。
そして
矩形
CD、AB
に
等し
い
正方形
の
辺
である。
命題の設定
による。
G;辺.正方(;=矩形(CD、AB))
となっている。
よって
もし
面積
が
余線分
と
ニ項線分
とによって
かこま
れ、
ニ項線分
の項が
余線分
の項と
通約
でき
かつ
同じ比
を
なす
ならば、
その
面積
に
等し
い
正方形
の
辺
は
有理線分
である。
前節、前々節
による。
辺G.正方(;=矩形(CD、AB));有理線分
となっている。
系
そして
このゆえに
有理面積
が
無理線分
によって
かこま
れることが可能である
ことがわれわれに明らかになった。
(以下、
命題10ー114の系
(有理面積をかこむ無理線分の存在)という。)
本命題
による。
命題10ー27
(作図.2中項線分;矩形が有理面積、平方でのみ通約)、
命題10ー37
(平方でのみ通約で有理面積をかこむ中項線分和は第1双中項線分)、
命題10ー112
(二項線分上の有理面積矩形の幅は二項線分各項と同じ比通約・同じ順位の項の余線分)、
命題10ー113
(余線分上の有理面積矩形の幅は余線分各項と同じ比通約・同じ順位の項のニ項線分)
などにより、
この系の主張は既に証明されている。
これが証明すべきことであった。
命題10ー114
は、
命題の補足2(定義10ー3)
(作図.任意の有理線分)
により、
AF:有理線分
をとり、
命題10ー6の系3
(作図.長さ・平方で通約可の線分)
により、
B’F:有理線分、∩^^2 AF
をとり、
命題1ー3
(作図・等しい線分を切り取る)
により、
B(AF;BF=B’F)
をとれば、
定義の補足(命題10ー73)
(余線分)
により、
AB;余線分
となり、
命題の補足2(定義10ー3)
(作図.任意の有理線分)
により、
有理線分CE
をとり、
命題6ー12
(作図.比例第4項)
により、
D(延長CE;AF:BF=CE:DE)
をとれば、
命題10ー11
(4量比例で一方が通約なら他方も通約)、
命題10−11の補足
(4項比例で前項通約なら後項通約)
定義10ー3の補足
(有理線分)
により、
有理線分D’E;∩^^2 CE
となり、
定義の補足(命題10ー36)
(二項線分)
により、
CD;二項線分
となり、
命題2ー1の補足
(作図.矩形)
により、
矩形(AB、CD)
をとり、
命題2ー14
(作図.直線図形に等しい正方形)
により、
辺G.正方(_G;=矩形(AB、CD))
をとれば、
AB;余線分、
AF、BF;有理線分、
AF∩^^2 BF、
CD;二項線分、
CE>CD、
CE;有理線分、∩^^2 DE、
AF:BF=CE:DE
AF∩CE、
BF∩DE
辺G.正方(_G;=矩形(AB、CD))
となり、
G;有理線分
のことである。
本命題は、
命題10ー112、113の逆
である。
命題10ー114
は推論用命題である。
前提
作図・構成
推論
定義
10-3補
,
10-4補
,
補(題10-36)
,
補(題10-73)
公準
公理
命題
1-3
,
1-46
,
2-1補
,
2-14
,
6-12
,
補2(義10-3)
,
10-6系3
5-11
,
5-16
,
5-19
,
6-1
,
10-11
,
10-11補
,
10-12
,
10-112
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