ユークリッド原論をどう読むか(9516)
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ユークリッド原論
第5巻
命題5ー16(比例すれば錯比も比例)
         (同じ比の項の大等小2)
もし
 4つの量が比例するならば、
 《いれかえて》[錯比]も比例するであろう。

A、B、C、Dは
 4つの比例する量であり、
 AがBに対するように、
 CがDに対するとせよ。
- 
同じ比をもつ線分の作図(仮想的)は、
 コメント2(命題5ー4)
参照のこと。
- 
 量A、B、C
 を取り、
 量D(;;A:B=C:D)
 をとっている。
《いれかえて》[錯比]も比例し、
 AがCに対するように
 BがDに対するであろう
 と主張する。
 
A、Bの[任意の]同数倍E、Fと
 C、Dの別の任意の同数倍G、Hが
 とられたとせよ。【・・・(a)】
- 推論の設定である。
- [任意の]同数倍は、コメント(命題5ー4)参照のこと。
- 
 (E、F)=m(A、B)、
 (G、H)=n(C、D)
 をとっている。
そうすれば、
 EはAの、
 FはBの同数倍であり、
- 
 倍数(E,A)=倍数(F,B)=m、
 となっている。
約量は
 それらの同数倍と同じ比をもつから、
 AがBに対するように
 EがFに対する。【・・・(a)】
- 命題5ー15(同数倍の比)
 による。
- 
 A:B=E:F
 となっている。
ところが
 AがBに対するように、
 CがDに対する。
- 命題の設定
 である。
- 
 A:B=C:D
 となっている。
それゆえ
 CがDに対するように、
 EがFに対する。【・・・(2)】
また、
 G、Hは
 C、Dの同数倍であるから、
- (a)による。
- 
 (G、H)=n(C、D)
 となっている。
CがDに対するように、
 GがHに対する。
- 命題5ー15(同数倍の比)
 による。
- 
 C:D=G:H
 となっている。
ところが
 CがDに対するように、
 EがFに対する。
ゆえに
 EがFに対するように、
 GがHに対する。【・・・(3)】
- 命題5ー15(同数倍の比)
 による。
- 
 E:F=G:H
 となっている。
ところがもし
 4つの量が比例し、
 第1の量が第3より大きければ、
 第2も第4より大きく、
 等しければ、
 等しく、
 小さければ、
 小さいであろう。
したがってもし
 EがGより大きければ、
 FもHより大きく、
 等しければ、
 等しく、
 小さければ、
 小さい。【・・・(4)】
- (3)
 、定義5ー6(比例)
 による。
- 
 E(<、=、>)G
 ならば、
 F(<、=、>)H
 となっている。
そして
 E、FはA、Bの[任意の]同数倍であり、
 G、HはC、Dの別の任意の同数倍である。
- (a)
による。
- [任意の]同数倍は、コメント(命題5ー4)参照のこと。
- 
 (E、F)=m(A、B)、
 (G、H)=n(C、D)
 となっている。
ゆえに
 AがCに対するように、
 BがDに対する。
よってもし
 4つの量が比例するならば、
 いれかえても比例するであろう。
これが証明すべきことであった。
- 
一般に、
 比例 A:B=C:D
 において、
 AとCは、
 定義5ー4(比をもつ)
 にいう
 相互に比をもつ量である必要はない
 が、
 本定理においては、
 相互に比をもつ量であること
 が前提となる。
- 
A:B=C:DかつA<=>Bなら
 C<=>Dである
 (以下、命題5ー16の補足(同じ比の項の大等小2)という。)
 これは、
 定義5ー5(同じ比)における同数倍を1倍としたものである。
 
- 命題5ー16は、
 A:B=C:D
 ならば、
 A:C=B:D
 のことである。
- 
命題5ー16の補足(同じ比の項の大等小2)
| 前提 | 作図 | 推論 |  
| 定義 |  | 5-5 |  
| 公準 |  |  |  
| 公理 |  |  |  
| 命題 |  |  |  
| その他 |  |  |  
 
- 命題5ー16は推論用命題である。
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