ユークリッド原論をどう読むか(9519)
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ユークリッド原論
第5巻
命題5ー19
(引き去りが比例なら残りも比例)
(系:合比で得られた比例は反転も比例)
(比例ならば反転も比例)
(反転が比例ならば比例)
全体が全体に
対するように
、
引き去られた部分が
引き去られた部分に
対する
ならば
残りの部分も残りの部分に対し、
全体が全体に
対する
ようであろう。
対する・ようには
定義の補足3(命題5ー11)
による。
AB全体がCD全体に
対するように
、
引き去られた部分AEが
引き去られた部分CFに
対する
とせよ。
同じ比をもつ線分の作図(仮想的)は、
コメント2(命題5ー4)
参照のこと。
AB、CD
点E[AB]
に対して、
点F(CD;;AB:CD=AE:CF)
をとっている。
残りのEBも
残りのFDに対し、
AB全体がCD全体に
対する
ようであろう
と主張する。
ABがCDに
対するように
、
AEがCFに
対する
から、
命題の設定
による。
AB:CD=AE:CF
となっている。
いれかえ
て
BAがAEに
対するように
、
DCがCFに
対する
。
命題5ー16
(比例すれば錯比も比例)
による。
いれかえては、錯比をとることである。
BA:AE=DC:CF
となっている。
そして
量
が
合比
によって
比例
するから、
分割比
によっても
比例
し、
命題5ー17
(合比で比例なら分割比でも比例)
のことである。
BEがEAに
対するように
、
DFがCFに
対する
であろう。
命題5ー17
(合比で比例なら分割比でも比例)
による。
BE:EA=DF:CF
となっている。
そして
いれかえ
て
BEがDFに
対するように
、
EAがFCに
対する
。
【・・・(1)】
命題5ー16
(比例すれば錯比も比例)
による。
BE:DF=EA:FC
となっている。
ところが
AEがCFに
対するように
、
AB全体がCD全体に
対する
と仮定されている。
【・・・(2)】
命題の設定
による。
AE:CF=AB:CD
となっている。
それゆえ
残りのEBも残りのFDに対して、
AB全体がCD全体に
対する
ようであろう。
(1)
(2)
命題5ー11
(同一の比に同じ比)
による。
EB:FD=AB:CD
となっている。
よってもし
全体が全体に
対するように
、
引き去られた部分が
引き去られた部分に
対する
ならば
残りの部分も残りの部分に対し、
全体が全体に
対する
ようであろう。
系
これから次のことが明らかである。
すなわち
もし
量
が
合比
によって[得られた]
比例
する[量]
ならば、
反転
しても
比例
するであろう。
以下、
命題5ー19の系
(合比で得られた比例は反転も比例)という。
量は、
定義5ー1の補足
による。
合比は、
定義5ー14
による。
比例は、
定義5ー6
による。
反転は、
定義5ー16
による。
AB、CD
に対して。
E[AB]、
F(CD;;AB:BE=CD:DF)
をとると、
AB、BE、CD、DFは、
合比によって得られた比例する量
であり、
命題5ー16
(比例すれば錯比も比例)
により、
AB:CD=BE:DF
となり、
命題5ー19
(引き去りが比例なら残りも比例)
により、
AB:CD=AE:CF
となり、
命題5ー16
(比例すれば錯比も比例)
により、
AB:AE=CD:CF、
すなわち、
AB:ABーBE=CD:CDーDF
となり、
定義5ー16
(比の反転)
により、
反転しても比例する。
合比によって得られた比例する量
とするのは、
比の前項と後項が一致するのを除く
ためである。
以上の本命題による証明は、
ABとCDが同種の量であることを前提とする
が、
本系は、
それらが同種の量であることを前提としない。
その場合の証明は、
以下の通りである。
AB、CD
に対して、
E[AB]、
F(CD;;AB:BE=CD:DF)
をとると、
AB、BE、CD、DFは、
合比によって得られた比例する量
であり、
命題5ー17
(比例なら分割比も比例)
により、
AE:BE=CF:DF
となり、
命題5ー7の系
(比例すれば逆も比例)
により、
BE:AE=DF:CF
となり、
命題5ー18
(比例なら合比も比例)
により
AB:AE=CD:CF、
すなわち、
AB:ABーBE=CD:CDーDF
となり、
定義5ー16
(比の反転)
により、
反転しても比例する。
比例する4量
AB:CD=EF:GH
において、
公理1ー7の補足
(線分・角は大か等か小)
により、
AB、CDについて、
AB>CDの場合、
AB=CDの場合
AB<CDの場合
がある。
命題5ー16の補足
(同じ比の項の大等小2)
により、
AB(<、=、>)CD
ならば、
EF(<、=、>)GH
となる。
まず、
AB>CD の場合、
K(AB;;KB=CD)、
L(EF;;LF=GH)
をとると、
命題5ー7
(同一量の比)
により、
AB:CD=AB:KB、
EF:GH=EF:LF
となり、
命題5ー11
(同一の比に同じ比)
により、
AB:KB=EF:LF
となり、
合比によって得られた比例する量
となる。
命題5ー19の系
(合比で得られた比例は反転で比例)
により、
AB:ABーKB=EF:EFーLF
となり、
命題5ー7
(同一量の比)
により、
AB:ABーCD=EF:EFーGH
となる。
AB=CD の場合、
反転は定義できない。
AB<CD の場合、
命題5ー7の系
(比例すれば逆も比例)
により、
CD:AB=GH:EF
となり、
CD>AB
であるので、
AB>CDの場合
により、
CD:CDーAB=GH:GHーEF
となり、
命題5ー17
(比例なら分割比も比例)
により、
AB:CDーAB=EF:GHーEF
となる。
以上の3つの場合から、
定義5ー16
(比の反転)
により、
比例において、
前項と後項が異
なれば、
反転も比例する。
(以下、
命題5ー19の系の補足2
(比例ならば反転も比例)という。)
反転が比例する
ならば、
比例する。
(以下、
命題5ー19の系の補足3
(反転が比例ならば比例)という。)
すなわち、
量A、B、C、D
において、
A:|AーB|=C:|CーD|
ならば、
A:B=C:D
となる。
証明は、以下の通り。
公理1ー7の補足
(線分・角は大か等か小)
により、
A、Bについて、
A>Bの場合、
A=Bの場合
A<Bの場合
がある。
命題5ー16の補足
(同じ比の項の大等小2)
により、
A(<、=、>)B
ならば、
C(<、=、>)D
となる。
まず、
A>Bの場合、
A:AーB=C:CーD
となり、
命題5ー19の系の補足2
(比例ならば反転も比例)
により、
A:B=C:D
となる。
A=Bの場合、
比の反転が定義されている
ので、
本補足において、この場合はない。
A<Bの場合、
A:BーA=C:DーC
となり、
命題5ー19の系の補足2
(比例ならば反転も比例)
により、
A:B=C:D
となる。
以上の3つの場合から、
A:|AーB|=C:|CーD|
ならば、
A:B=C:D
となる。
これが証明すべきことであった。
命題5ー19の系の補足3
は、
A:|AーB|=C:|CーD|
ならば、
A:B=C:D
のことである。
本質的に、
命題5ー19の系の補足2は、
それ自身が自身の逆となっている。
命題5ー19の系の補足2
は、
A:B=C:D
において、
A≠B
ならば、
A:|AーB|=C:|CーD|
のことである。
命題5ー19の系
は、
AB、CD
に対して、
E[AB]、
F(CD;;AB:EB=CD:FD)
をとれば、
AB:EB=CD:FD
ならば、
AB:ABーEB=CD:CDーFD
のことである。
命題5ー19
は、
A:C=B:D
ならば、
(AーB):(CーD)=A:C
のことである。
命題5ー19の系の補足3
は推論用命題である。
前提
作図
推論
定義
公準
公理
1-7補
命題
5-16補
,
5-19系補2
その他
場合分け
命題5ー19の系の補足2
は推論用命題である。
前提
作図
推論
定義
5-16
公準
公理
1-7補
命題
5-7
,
5-7系
,
5-11
,
5-16補
,
5-17
,
5-19系
その他
場合分け
命題5ー19の系
は推論用命題である。
前提
作図
推論
定義
5-16
公準
公理
命題
5-7系
,
5-17
,
5-18
その他
命題5ー19
は推論用命題である。
前提
作図
推論
定義
公準
公理
命題
5-11
,
5-16
,
5-17
その他
コ2(題5-4)
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