ユークリッド原論をどう読むか(14)
頁末          目次

ユークリッド原論

第10巻
 
命題10ー25(平方のみ通約な中項線分の矩形は有理面積か中項面積)

 平方においてのみ通約できる
 中項線分によってかこまれる矩形
 有理面積
 または
 中項面積である。




 矩形ACが
 平方においてのみ通約できる
 中項線分AB、BCによって
 かこまれた
とせよ。

 ACは
 有理面積
 または
 中項面積である
と主張する。

 AB、BC上に
 正方形AD、BEが描かれた
とせよ。
      [......(a)]

そうすれば
 AD、BEの双方は
 中項面積である。
      [......(1)]

 有理線分FGが定められ、
      [......(b)]

 ADに等しくてFHをとする
 直角平行四辺形GH
 [すなわち
 矩形FGMH]がFG上につくられ、
      [......(c)]

 ACに等しくてHKをとする
 直角平行四辺形MK
 [すなわち
 矩形HMNK]
 がHM上につくられた
とし、
      [......(d)]

さらに同様にして
 BEに等しくてKLをとする
 [矩形]NLが
 KN上につくられた
とせよ。
      [......(e)]

そうすれば
 FH、HK、KLは一直線をなす。

そこで
 AD、BEの双方は中項面積であり、

 ADはGHに、
 BEはNLに等しい
      [......(2)]

から、
 GH、NLの双方も中項面積である。

そして
 有理線分FG上につくられている。

したがって
 FH、KLの双方は有理線分であり、
 FGと長さにおいて通約できない。
      [......(3)]

そして
 ADはBEと通約できる

から、
 GHもNLと通約できる。

そして
 GHがNLに対するように
 FHがKLに対する

したがって
 FHは
 KLと長さにおいて通約できる。

ゆえに
 FH、KLは
 長さにおいて通約できる有理線分である。

したがって
 矩形FH、KLは有理面積である。
      [......(4)]

そして
 DBはBAに、
 OBはBCに等しい

から、
 DBがBCに対するように
 ABがBOに対する

ところが
 DBがBCに対するように
 DAがACに対する

そして
 ABがBOに対するように
 ACがCOに対する

したがって
 DAがACに対するように
 ACがCOに対する

そして
 ADはGHに、
 ACはMKに、
 COはNLに等しい

したがって
 GHがMKに対するように
 MKはNLに対する

したがって
 FHがHKに対するように
 HKがKLに対する

それゆえ
 矩形FH、KLは
 HK上の正方形等しい

ところが
 矩形FH、KLは有理面積である。

したがって
 HK上の正方形有理面積である。

ゆえに
 HKは有理線分である。

そして
もし
 HKが
 FGと長さにおいて通約できる
ならば、
 HNは有理面積である。

ところが
もし
 FGと長さにおいて通約できない
ならば、
 KH、HMは
 平方においてのみ通約できる有理線分である。

ゆえに
 HNは中項面積である。

したがって
 HNは
 有理面積かまたは中項面積である。

そして
 HNはACに等しい

したがって
 ACは
 有理面積かまたは中項面積である。

よって
 平方においてのみ通約できる
 中項線分によってかこまれる矩形
 云々。

      目次   頁頭