ユークリッド原論をどう読むか(14)
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ユークリッド原論
第10巻
命題10ー26
(中項面積の差は無理面積)
中項面積
と
中項面積
の差は
有理面積
ではない。
中項面積は、
定義の補足(命題10ー21)
による。
有理面積は、
定義10ー4の補足
による。
もし可能ならば、
背理法の仮定を述べようとしている。
「もし可能ならば」は、
コメント2(命題1−7)
参照のこと
中項面積
ABが
中項面積
ACより
有理面積
DBだけ
大きい
とし、
背理法の仮定である。
rec(AB)、rec(AC);中項面積、
rec(DB);有理面積
rec(AB)=rec(AC)+rec(DB)
となっている。
有理線分
EFが定められ、
[......(a)]
命題の補足2(定義10ー3)
(作図.任意の有理線分)
による。
EF;有理線分
となっている。
ABに
等しく
て
EHを
幅
とする
直角
平行四辺形
FHが
EF上につくられ、
[......(b)]
命題6ー16の補足3
(作図.線分上に矩形と等しい矩形)
による。
rec(FH)=rec(EF、EH)=rec(AB)
となっている。
それから
ACに
等しい
FGがひかれた
とせよ。
[......(c)]
命題6ー16の補足3
(作図.線分上に矩形と等しい矩形)
により、
EH上にGをとって、
矩形FGをつくる。
rec(FG)=rec(EF、EG)
=rec(AC)
となっている。
そうすれば
残りのBDは残りのKHに
等しい
。
[......(1)]
前節、前々節、
公理1ー3
(等しいものから等しいものをひく)
による。
rec(BD)=rec(KH)
となっている。
そして
DBは
有理面積
である。
背理法の仮定
による。
rec(DB);有理面積
となっている。
したがって
KHも
有理面積
である。
前節、前々節、
定義10ー4の補足
(有理面積、無理面積)
による。
そこで
AB、ACの双方は
中項面積
であり、
ABはFHに
ACはFGに
等しい
命題の設定
、
(b)
、
(c)
による。
から、
FH、FGの双方も
中項面積
である。
前節、
定義10ー4の補足
(有理面積、無理面積)
による。
rec(FH)、rec(FG);中項面積
となっている。
そして
有理線分
EF上につくられている。
(a)
、
(b)
、
(c)
による。
rec(FH)=rec(EF、EH)、
rec(FG)=rec(EF、EG)、
となっている。
したがって
HE、EGの双方は
有理線分
であり、
EFと
長さにおいて通約
できない。
[......(2)]
前節、前々節、
命題10ー22
(中項線分上正方形に等矩形で有理線分の底辺と幅は長で非通約)
による。
HE、EG;有理線分
HE、EG¬∩EF
となっている。
そして
DBは
有理面積
であり、
KHに
等しい
背理法の仮定
、
(1)
による。
rec(DB)=rec(KH);有理面積
となっている。
から、
KHも
有理面積
である。
前節、
定義10ー4の補足
(有理面積、無理面積)
による。
rec(KH);有理面積
となっている。
そして
有理線分
EF上につくられている。
(a)
、
(b)
、
(c)
による。
rec(KH)=rec(KG、GH)、
=rec(EF、GH)、
となっている。
したがって
GHは
有理線分
であり、
EFと
長さにおいて通約
できる。
[......(3)]
前節、
命題10ー20
(有理線分上の有理面積の矩形幅は底辺と長さで通約)
による。
GH;有理線分
GH∩EF
となっている。
ところが
EGも
有理線分
であり、
EFと
長さにおいて通約
できない。
(2)
による。
EG;有理線分
EG¬∩EF
となっている。
したがって
EGは
GHと
長さにおいて通約
できない。
前節、前々節、
命題10ー13
(通約量と非通約なら非通約)
による。
EG¬∩GH
となっている。
そして
EGがGHに
対するように
EG上の
正方形
が
矩形
EG、GHに
対する
。
命題6ー1
(同高の三角形、平行四辺形は底辺と比例)
による。
EG:GH
=sq(_EG):rec(EG、GH)
となっている。
したがって
EG上の
正方形
は
矩形
EG、GHと
通約
できない。
[......(4)]
前節、前々節、
命題10ー11
(4量比例で一方が通約なら他方も通約)
による。
sq(_EG)¬∩rec(EG、GH)
となっている。
ところが
EG、GH上の
正方形
の和は
EG上の
正方形
と
通約
できる、
なぜなら
共に
有理面積
であるから。
(2)
、
(3)
により、
EG、GHは有理線分であり、
定義10ー4の補足
(有理面積、無理面積)
により
sq(_EG)、sq(_GH)は有理面積であり、
命題10ー15
(通約量はその和・差とも通約)
による。
「なぜなら・・・であるから」は、
コメント2(命題1ー16)
参照のこと。
sq(_EG)+sq(_GH)∩sq(_EG)
となっている。
そして
矩形
EG、GHの2
倍
は
矩形
EG、GHと
通約
できる、
なぜなら
それの2
倍
であるから。
命題10ー15
(通約量はその和・差とも通約)
による。
「なぜなら・・・であるから」は、
コメント2(命題1ー16)
参照のこと。
2×rec(EG、GH)∩rec(EG、GH)
となっている。
したがって
EG、GH上の
正方形
の和は
矩形
EG、GHの2
倍
と
通約
できない。
前節、前々節、
(4)
、
命題10ー13
(通約量と非通約なら非通約)
による。
sq(_EG)+sq(_GH)
¬∩2×rec(EG、GH)
となっている。
それゆえ
EG、GH上の2つの
正方形
と
矩形
EG、GHの2
倍
との和、
すなわち
EH上の
正方形
も
EG、GH上の
正方形
の和と
通約
できない。
命題2ー4
(2分線分上の正方形)
により、
sq(_EG)+sq(_GH)
+2×rec(EG、GH)
=sq(_EH)
となっており、
前節、
命題10ー16
(非通約量はその和・差とも非通約)
による。
sq(_EG)+sq(_GH)
+2×rec(EG、GH)
=sq(_EH)
¬∩sq(_EG)+sq(_GH)
となっている。
そして
EG、GH上の
正方形
の和は
有理面積
である。
(2)
、
(3)
により、
EG、GHは有理線分であり、
定義10ー4の補足
(有理面積、無理面積)
により
sq(_EG)、sq(_GH)は有理面積であり、
命題10ー15
(通約量はその和・差とも通約)
による。
sq(_EG)+sq(_GH);有理面積
となっている。
したがって
EH上の
正方形
は
無理面積
である。
前節、前々節、
定義10ー4の補足
(有理面積、無理面積)
による。
sq(_EH);無理面積
となっている。
ゆえに
EHは
無理線分
である。
前節、
定義10ー4
(面積の有理、無理、無理線分)
による。
EH;無理線分
となっている。
ところが
有理線分
でもある。
(2)
による。
EH;有理線分
となっている。
これは不可能である。
よって
中項面積
と
中項面積
の差は
有理面積
ではない。
背理法による。
これが証明すべきことであった。
命題10ー26
は、
A、B、C:有理線分、
A∩^^2B、A∩^^2C、
rec(A、B)、rec(A、C):中項面積
ならば、
rec(A、BーC):無理面積(有理面積でない)
のことである。
命題10ー26
は推論用命題である。
前提
作図・構成
推論
定義
10-4
,
10-4補
公準
公理
1-3
命題
6-16補3
,
補2(義10-3)
2-4
,
6-1
,
10-11
,
10-13
,
10-15
,
10-16
,
10-20
,
10-22
その他
コ2(題1-7)
,
コ2(題1-16)
背理法
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