ユークリッド原論をどう読むか(10)
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ユークリッド原論
第6巻
命題6ー24
(対角線をはさむ平行四辺形と相似)
すべての
平行四辺形
において
対角線
をはさむ2つの
平行四辺形
は
全体に
対し
ても
互いにも
相似
である。
平行四辺形は、
定義の補足(命題1ー34)
による。
対角線をはさむ平行四辺形は、
定義の補足(命題1−43)
による。
相似は、
定義6ー1
による。
ABCDを
平行四辺形
とし、
ACをその
対角線
とし、
EG、HKを
ACをはさむ
平行四辺形
とせよ。
命題1ー43の補足2
(作図.対角線をはさむ平行四辺形)
による。
ABCD;平行四辺形
に対して、
E[AB]、
交点F(AC,平行線(E,AD))、
交点G(AD,平行線(F,AB))、
交点K(DC,延長EF)、
交点H(BC,延長GF)
をとれば、
平四EG(ACをはさむ)平四HK
となっている。
平行四辺形
EG、HKの双方は
全体ABCDに
対し
て、
また
互いに
相似
である
と主張する。
EFは
三角形
ABCの1
辺
BCに
平行
にひかれたから、
命題の設定
による。
EF‖辺BC.△ABC
となっている。
比例
し、
BEがEAに
対するように
、
CFがFAに
対する
。
【・・・(1)】
命題6ー2
(三角形の辺の平行線による辺の比例区分)
による。
BE:EA=CF:FA
となっている。
また
FGは
三角形
ACDの1
辺
CDに
平行
にひかれたから、
命題の設定
による。
FG‖辺CD.△ACD
となっている。
比例
し、
CFがFAに
対するように
、
DGがGAに
対する
。
命題6ー2
(三角形の辺の平行線による辺の比例区分)
による。
CF:FA=DG:GA
となっている。
ところが
CFがFAに
対するように
、
BEがEAに
対する
ことが先に証明された。
(1)
による。
CF:FA=BE:EA
となっている。
それゆえ
BEがEAに
対するように
、
DGがGAに
対し
、
命題5ー11
(同一の比に同じ比)
による。
BE:EA=DG:GA
となっている。
そして
合比
により
BAがAEに
対するように
、
DAがAGに
対し
、
定義5ー14
(比の複合・合比)
による。
BA:AE=DA:AG
となっている。
また
いれかえて
BAがADに
対するように
、
EAがAGに
対する
。
【・・・(2)】
命題5ー16
(比例すれば錯比も比例)
による。
BA:AD=EA:AG
となっている。
ゆえに
平行四辺形
ABCD、EGの
共通な
角
BADをはさむ
辺
は
比例
する。
そして
GFはDCに
平行
であり、
命題の設定
による。
GF‖DC
となっている。
角
AFGは
角
DCAに
等しく
、
命題1ー29
(平行と錯角、内対角、同側内角)
による。
∠AFG=∠DCA
角
DACは
2つの
三角形
ADC、AGFに共通である。
∠GAF=∠DAC(共通)
となっている。
したがって
三角形
ADCは
三角形
AGFに
等角
である。
命題6ー5の補足
(2組の角が等しい三角形は他の角も等しい)
による。
△ADC(等角)△AGF
となっている。
同じ理由で
三角形
ACBも
三角形
AFEに
等角
であり、
△ACB(等角)△AFE
となっている。
平行四辺形
ABCD全体は
平行四辺形
EGに
等角
である。
平行四辺形ABCDと平行四辺形EGは、
∠BAD=∠EAG(同一)
であるから、
命題6−14の補足3
(1組の角が等しい平行四辺形と等角)
により、
平行四辺形ABCD(等角)平行四辺形EG
となっている。
平四ABCD(等角)平四EG
となっている。
それゆえ
比例
し、
ADがDCに
対するように
AGがGFに
対し
、
【・・・(3)】
DCがCAに
対するように
、
GFがFAに
対し
、
ACがCBに
対するように
、
AFがFEに
対し
、
【・・・(4)】
また
CBがBAに
対するように
、
FEがEAに
対する
。
【・・・(5)】
命題6ー4
(等角三角形の等角辺の比例)
による。
AD:DC=AG:GF、
DC:CA=GF:FA、
AC:CB=AF:FE、
CB:BA=FE:EA
となっている。
そして
DCがCAに
対するように
、
GFがFAに
対し
、
ACがCBに
対するように
、
AFがFEに
対する
ことが証明されたから、
(4)
による。
DC:CA=GF:FA、
AC:CB=AF:FE
となっている。
等間隔比
により
DCがCBに
対するように
、
GFがFEに
対する
。
【・・・(6)】
命題5ー20
(等間隔項の大等小)
による。
DC:CB=GF:FE
となっている。
ゆえに
平行四辺形
ABCD、EGの
等角
をはさむ
辺
は
比例
する。
(2)
,
(3)
,
(6)
,
(5)
による。
したがって
平行四辺形
ABCDは
平行四辺形
EGに
相似
である。
定義6ー1
(相似)
による。
平四ABCD∽平四EG
となっている。
同じ理由で
平行四辺形
ABCDは
平行四辺形
KHにも
相似
である。
平四ABCD∽平四KH
となっている。
それゆえ
平行四辺形
EG、HKの双方は
ABCDに
相似
である。
ところが
同じ
直線図形
に
相似
である
図形
は
また
互いに
相似
である。
命題6ー21
(同じ直線図形に相似な図形)
による。
ゆえに
平行四辺形
EGも
平行四辺形
HKに
相似
である。
平四EG∽平四HK
となっている。
よって
すべての
平行四辺形
において
対角線
をはさむ2つの
平行四辺形
は
全体に
対し
ても
互いにも
相似
である。
これが証明すべきことであった。
命題6ー24
は、
ABCD;平行四辺形
に対して、
E[AB]、
交点F(AC,平行線(E,AD))、
交点G(AD,平行線(F,AB))、
交点K(DC,延長EF)、
交点H(BC,延長GF)
をとれば、
平四ABCD∽平四EG
平四ABCD∽平四HK
平四EG∽平四HK
のことである。
命題6ー24
は推論用命題である。
前提
作図
推論
定義
5-14
,
6-1
公準
公理
命題
1-43補2
1-29
,
5-11
,
5-16
,
5-20
,
6-2
,
6-4
,
6-5補
,
6-14補3
,
6-21
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