ユークリッド原論をどう読むか(10)
頁末
前
次
目次
ユークリッド原論
第6巻
命題6ー22
(4線分とその上の相似直線図形の比例)
(3項比例の1,2項と1,3項の大等小)
もし
4
線分
が
比例
するならば、
それらの上の
相似
でかつ
相似な位置
に
描かれた
直線図形
は
比例
するであろう。
そしてもし
線分
上の
相似
でかつ
相似な位置
に
描かれた
直線図形
が
比例
するならば、
それらの
線分
は
比例
するであろう。
線分は、
定義の補足(命題1ー1)
による。
比例は、
定義5ー6
による。
相似は、
定義6ー1
による。
相似な位置は、
定義の補足(命題6ー18)
による。
直線図形は、
定義1ー19
による。
4
線分
AB、CD、EF、GHが
比例
する、
すなわち
ABがCDに
対するように
、
EFがGHに
対する
とし、
命題6ー12
(作図.比例第4項)
による。
AB、CD、EF
に対し
GH[;;AB:CD=EF:GH]
をとっている。
そして
AB、CD上に
相似
でかつ
相似な位置
にある
直線図形
KAB、LCDが
EF、GH上に
相似
でかつ
相似な位置
にある
直線図形
MF、NHが
描かれたとせよ。
命題6ー18
(作図.線分上に相似な直線図形)
による。
直線図形KAB[_AB]、MF[_EF]
に対し、
直線図形LCD(∽KAB,_CD)、
NH(∽MF,GH)
をとっている。
KABがLCDに
対するように
、
MFがNHに
対する
と主張する。
AB、CDの第3の
比例項
Oと
EF、GHの第3の
比例項
Pと
がとられたとせよ。
【・・・(a)】
命題6ー11
(作図.比例第3項)
による。
O[;;AB:CD=CD:O]、
P[;;EF:GH=GH:P]
をとっている。
そうすれば
ABがCDに
対するように
、
EFがGHに
対し
、
CDがOに
対するように
、
GHがPに
対する
から、
命題の設定
,
(a)
による。
AB:CD=EF:GH、
CD:O=GH:P
となっている。
等間隔比
により
ABがOに
対するように
、
EFがPに
対する
。
命題5ー20
(等間隔項の大等小)
による。
AB:O=EF:P
となっている。
ところが
ABがOに
対するように
、
KABがLCDに
対し
、
EFがPに
対するように
、
MFがNHに
対する
。
命題6ー19
(相似な三角形の比は辺の比の2乗)
による。
AB:O=KAB:LCD、
EF:P=MF:NH
となっている。
それゆえ
KABがLCDに
対するように
、
MFがNHに
対する
。
命題5ー11
(同一の比に同じ比)
による。
KAB:LCD=MF:NH
となっている。
次に
KABがLCDに
対するように
、
MFがNHに
対する
とせよ。
相似で相似な位置にある直線図形KAB、LCDと、
直線図形MF
に対して
MFに相似で相似な位置にある直線図形NHで、
MF:NH=KAB:LCD
となるものの作図は、
本命題の前半
により可能であるが、
この方法によらずに作図できたとして、
論証を進める。
AB、CD、EF、
に対して、
直線図形KAB[_AB]、MF[_EF]、
LCD(∽KAB,_CD)、
線分GH(
;;NH(∽MF,_GH
;;KAB:LCD=MF:NH)
)
をとっている。
ABがCDに
対するように
、
EFがGHに
対する
と主張する。
《なぜならもし
ABがCDに
対するように
、
EFがGHに
対する
のでないならば、》
この1文は、
背理法の仮定を述べようとしている
ものである。
しかし、
以下の論証は、背理法によらない。
「なぜならもし」については、
コメント(命題1ー4)
参照のこと。
ABがCDに
対するように
、
EFがQRに
対する
とし、
【・・・(b)】
命題6ー12
(作図.比例第4項)
による。
QR[;;AB:CD=EF:QR]
をとっている。
QR上に
MF、NHのどちらかに
相似
で
かつ
相似な位置
にある
直線図形
SRが描かれたとせよ。
【・・・(c)】
命題6ー18
(作図.線分上に相似な直線図形)
による。
SR(∽MF,_QR)
をとっている。
そうすれば、
ABがCDに
対するように
、
EFがQRに
対し
、
そして
AB、CD上に
相似
でかつ
相似な位置
にある
KAB、LCDが
EF、QR上に
相似
でかつ
相似な位置
にある
MF、SRが描かれたから、
KABがLCDに
対するように
、
MFがSRに
対する
。
命題6ー20
(相似多角形の相似三角形分解と2乗の比)
による。
KAB:LCD=MF:SR
となっている。
ところが
KABがLCDに
対するように
、
MFがNHに
対する
。
作図の設定
による。
KAB:LCD=MF:NH
となっている。
ゆえに
MFは
NH、SRの双方に
対し
同じ比
をもつ。
命題5ー11
(同一の比に同じ比)
による。
MF:NH=MF:SR
となっている。
したがって
NHはSRに
等しい
。
命題5ー9
(同一比の量)
による。
NH=SR
となっている。
ところがまた
それと
相似
でかつ
相似な位置
にある。
(c)
、
命題6ー21
(同じ直線図形に相似な図形)
による。
SR(∽NH,_QR)
それゆえ
GHはQRに
等しい
。
【・・・(1)】
以下の補足による。
3項A、B、Cが比例するとき、
A(<、=、>)B
ならば、
A(<、=、>)C。
(以下、
命題6ー22の補足
(3項比例の1,2項と1,3項の大等小)という。)
A>B
ならば、
定義5ー5
(同じ比)
により
B>C
となり、
公理1ー8の補足3
(大きい・小さいものより大きい・小さい)
により
A>C。
同様に
A<B
ならば、
A<C。
同様に
A=B
ならば、
A=C。
よって、結論が従う。
GH=QR
となっている。
そして
ABがCDに
対するように
、
EFがQRに
対し
、
(b)
による。
AB:CD=EF:QR
となっている。
QRがGHに
等しい
から、
(1)
による。
QR=GH
となっている。
ABがCDに
対するように
、
EFがGHに
対する
。
命題5ー7
(同一量の比)、
命題5ー11
(同一の比に同じ比) による。
AB:CD=EF:GH
となっている。
よってもし
4
線分
が
比例
するならば、
それらの上の
相似
でかつ
相似な位置
に描かれた
直線図形
は
比例
するであろう。
そしてもし
線分
上の
相似
でかつ
相似な位置
に
描かれた
直線図形
が
比例
するならば、
それらの
線分
は
比例
するであろう。
これが証明すべきことであった。
後半を背理法により証明するとすれば、
以下のようになる。
背理法の仮定により、
GHがQRに等しくないから、
命題6ー20
(相似多角形の相似三角形分解と2乗の比)、
命題6ー22の補足
(3項比例の1,2項と1,3項の大等小)
により
NHとSRは等しくない。
一方、
後半と同様の推論により
NHとSRは等しい。
これは不可能である。
よって、
GHはORに等しい。
命題6ー22の補足
は、
線分AB、CD、EF
直線図形KAB[_AB]、MF[_EF]
に対し、
直線図形LCD(∽KAB,_CD)、
をとる。
そこで、
線分GH[;;AB:CD=EF:GH]、
直線図形NH(∽MF,GH)
をとれば、
KAB:LCD=MF:NH
となり、
逆に、
線分GH(
;;直線図形NH(∽MF,_GH
;;KAB:LCD=MF:NH
)
)
をとれば、
AB:CD=EF:GH
のことである。
命題6ー22の補足
(3項比例の1,2項と1,3項の大等小)は推論用命題である。
前提
作図
推論
定義
5-5
公準
公理
1-8補3
命題
その他
命題6ー22
は推論用命題である。
前提
作図
推論
定義
公準
公理
命題
6-11
,
6-12
,
6-18
5-7
,
5-9
,
5-11
,
5-20
,
6-19
,
6-20
,
6-22補
その他
コ(題1-4)fi
前
次
目次
頁頭