ユークリッド原論をどう読むか(10)
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ユークリッド原論

第6巻

命題6ー20(相似多角形の相似三角形分解と2乗の比)
(系.相似四辺形の比は対応辺の比の2乗)
相似多角形
 同数の、相似な、しかも全体と同じ比をもつ
 三角形に分けられ、
 そして
 多角形
 多角形対し
 対応するが対応する対する
 2乗の比をもつ。


ABCDE、FGHKLを相似多角形とし、
 ABがFGに対応するとせよ。

多角形ABCDE、FGHKLは
 同数の、相似な、しかも全体と同じ比をもつ
 三角形に分けられ、
 そして
 多角形ABCDEは
 多角形FGHKLに対し
 ABがFGに対する
 2乗の比をもつと主張する。
 
BE、EC、GL、LHが結ばれたとせよ。

そして
 多角形ABCDEは
 多角形FGHKLに相似であるから、
 BAEは
 GFLに等しい
そして
 BAがAEに対するように
 GFがFLに対する

そこで
 ABE、FGLは
 1つの等しくし、
 等しいをはさむ比例する
 2つの三角形であるから、
  三角形ABEは
 三角形FGLに等角である。

それゆえ
 相似でもある。 【・・・(1)】

ゆえに
 ABEは
 FGLに等しい

ところが
 2つの多角形相似であるから、
 ABC全体もFGHに等しい

したがって
 残りのEBCは
 LGHに等しい

そして
 三角形ABE、FGLが相似であるため、

 EBがBAに対するように
 LGがGFに対し

 また
 2つの多角形相似であるため、
 ABがBCに対するように
 FGがGHに対するから、

 等間隔比により
 EBがBCに対するように
 LGがGHに対し

 等しいEBC、LGHをはさむ
 比例する。
それゆえ
  三角形EBCは三角形LGHに等角である。 【・・・(2)】

ゆえに
 三角形EBCは三角形LGHに相似でもある。
同じ理由で
 三角形ECDも三角形LHKに相似である。
したがって
 相似多角形ABCDE、FGHKLは
 同数の相似三角形に分けられた。

それらの三角形が全体と同じ比をもつ、
 すなわち
 三角形比例し、
 ABE、EBC、ECDが前項であり、
 FGL、LGH、LHKが
 それらに対する後項であること、
 そしてまた
 多角形ABCDEが多角形FGHKLに対し
 対応するが対応する対する
 すなわち
 ABがFGに対する
 2乗の比をもつことを主張する。
 
AC、FHが結ばれたとせよ。

そうすれば
 2つの多角形相似であるため、
 ABCはFGHに等しく
 ABがBCに対するように
 FGがGHに対するから、

 三角形ABCは
 三角形FGHに等角である。

それゆえ
  BACはGFHに、
 BCAはGHFに等しい【・・・(3)】

そして
 BAMはGFNに等しく

 ABMもFGNに等しいから

 、残りのAMBも残りのFNGに等しい

 ゆえに
 三角形ABMは三角形FGNに等角である。

同様にして
 三角形BMCも三角形GNHに等角である
 ことを証明しうる。

したがって
 比例し、
 AMがMBに対するように
 FNがNGに対し
 BMがMCに対するように
 GNがNHに対する

したがって
 等間隔比により、
  AMがMCに対するように
 FNがNHに対する【・・・(4)】

ところが
 AMがMCに対するように
 ABMがMBCに、
 AMEがEMCに対する
なぜなら
 互いに底比例するから。

それゆえ
 前項の1つが後項の1つに対するように
 前項の総和が後項の総和に対する

ゆえに
 三角形AMBがBMCに対するように
 ABEがCBEに対する
ところが
 AMBがBMCに対するように
 AMがMCに対する

したがって
 AMがMCに対するように
 三角形ABEが三角形EBCに対する

同じ理由で
 FNがNHに対するように
 三角形FGLは三角形GLHに対する
そして
 AMがMCに対するように
 FNがNHに対する

それゆえ
 三角形ABEが三角形BECに対するように
 三角形FGLが三角形GLHに対し

 いれかえて
 三角形ABEが三角形FGLに対するように
 三角形BECが三角形LGHに対する

同様にして、
 BD、GKが結ばれるとき、
 三角形BECが三角形LGHに対するように
 三角形ECDが三角形LHKに対する
 ことを証明しうる。

そして
 三角形ABEが三角形FGLに対するように
 EBCがLGHに、
 また
 ECDがLHKに対するから、
 前項の1つが後項の1つに対するように
 前項の総和が後項の総和に対する

ゆえに
 三角形ABEが三角形FGLに対するように
 多角形ABCDEが多角形FGHKLに対する
ところが
 三角形ABEは三角形FGLに対し
 対応するABが対応するFGの2乗の比をもつ。
なぜなら
 相似三角形
 対応する2乗の比をもつから。

したがって
 多角形ABCDEは多角形FGHKLに対し
 対応するABが対応するFGに対する2乗の比をもつ。 よって相似多角形
 同数の、相似な、しかも全体と同じ比をもつ
 三角形に分けられ、
 そして
 多角形
 多角形対し
 対応するが対応する対する
 2乗の比をもつ。
 

同様にして
 四辺形についても、
 それらが対応する
 2乗の比をもつ
(以下、命題6ー20の系 (系.相似四辺形の比は対応辺の比の2乗)という。)
ことが証明されうる。
そして
 三角形についても先に証明された。

したがって一般に
 相似直線図形
 互いに対応する2乗の比をもつ。

これが証明すべきことであった。       目次   頁頭