ユークリッド原論をどう読むか(10)
頁末
前
次
目次
ユークリッド原論
第6巻
命題6ー25
(作図.直線図形に等しく別の直線図形に相似)
与えられた
直線図形
に
相似
で、
別の与えられた
直線図形
に
等しい
1つの
図形
を作ること。
直線図形は、
定義1ー19
による。
相似は、
定義6ー1
による。
等しいは、
公理1ー7
による。
図形は、
定義1ー14
による。
ABCを
それに
相似
な
図形
をつくらなければならない
与えられた
直線図形
とし、
Dを
それと
等しく
なければならない
図形
とせよ。
命題1−45
(作図.直線図形,直線角と平行四辺形)
により
任意の直線図形を
等しい平行四辺形に変形でき、
命題6ー18
(作図.線分上に相似な直線図形)
により
指定された線分上に
任意の直線図形の相似な図形を作図できる
ので、
三角形を直線図形の一般例として取り上げた
準一般的な証明である。
コメント(命題1ー45)
参照のこと。
ABC、D;直線図形
をとっている。
このとき
ABCに
相似
で
Dに
等しい
1つの
図形
をつくらねばならぬ。
BC上に
《
三角形
》[直線図形]ABCに
等しい
平行四辺形
BEが、
【・・・(a)】
命題1−42
(作図.角,三角形と平行四辺形)
による。
点E[外.BC;;平四BE(BC,BL)=直線図形ABC]
をとっている。
CE上に
角
CBLに
等しい
角
FCEのなかに
Dに
等しい
平行四辺形
CMが
つくられたとせよ。
【・・・(b)】
命題1ー45の補足2
(作図.直線図形,線分,直線角と平行四辺形)
による。
点F(反対側(CE,B)
;;∠CBL=∠FCE,平四CM(CE,CF)=D)
をとっている。
そうすれば
BCはCFと、
LEはEMと1直線をなす。
CE‖BL
だから、
命題1ー29
(平行と錯角、内対角、同側内角)
により
∠CBL+∠ECB=2∠R、
(b)
により、
∠CBL=∠FCE、
公理1ー2
(等しいものに等しいものを加える)
により、
∠FCE+∠ECB=2∠R。
よって、
命題1ー14
(直線と2直角2)
により、
F;上.延長BC。
命題1ー29
(平行と錯角、内対角、同側内角)
により
BF‖LE
だから、
∠CEL=∠FCE、
BF‖EM
だから
∠FCE+∠CEM=2∠R、
公理1ー2
(等しいものに等しいものを加える)
により、
∠CEL+∠CEM=2∠R
となっているから、
命題1ー14
(直線と2直角2)
により、
M;上.延長LE
となっている。
F;上.延長BC、
M;上.延長LE
となっている。
そして
BC、CFの
比例中項
GHがとられ、
命題6ー8の系
(直角三角形の垂線は比例中項)
による。
BC:GH=GH:CF
となっている。
GH上に
ABCに
相似
で
かつ
相似な位置
にあるKGHが
描かれたとせよ。
【・・・(C)】
命題6ー18
(作図.線分上に相似な直線図形)
による。
点K(同向側(HG,CB,A)
;;直線図形ABC∽直線図形KGH)
をとっている。
そうすれば
BCがGHに
対するように
、
GHがCFに
対し
、
定義の補足3(命題6ー8)
(比例中項)
による。
BC:GH=GH:CF
となっている。
そしてもし
3
線分
が
比例
するならば、
第1の
線分
が第3の
線分
に
対するように
、
第1の
線分
上の
図形
が
第2の
線分
上の
相似
でかつ
相似な位置
に描かれた
図形
に
対する
から、
命題6ー20
(相似多角形の相似三角形分解と2乗の比)
による。
BCがCFに
対するように
、
《
三角形
》[直線図形]ABCが《
三角形
》[直線図形]KGHに
対する
。
BC:CF=直線図形ABC:直線図形KGH
となっている。
ところが
BCがCFに
対するように
、
平行四辺形
BEが
平行四辺形
EFに
対する
。
命題6ー1
(同高の三角形、平行四辺形は底辺と比例)
による。
BC:CF=平四BE:平四EF
となっている。
それゆえ
《
三角形
》[直線図形]ABCが《
三角形
》[直線図形]KGHに
対するように
、
平行四辺形
BEが
平行四辺形
EFに
対する
。
命題5ー11
(同一の比に同じ比)
による。
直線図形ABC:直線図形KGH
=平四BE:平四EF
となっている。
ゆえに
いれかえて
《
三角形
》[直線図形]ABCが
平行四辺形
BEに
対するように
、
《
三角形
》[直線図形]KGHが
平行四辺形
EFに
対する
。
命題5ー16
(比例すれば錯比も比例)
による。
直線図形ABC:平四BE=直線図形KGH:平四EF
となっている。
ところが
《
三角形
》[直線図形]ABCは
平行四辺形
BEに
等しい
。
(a)
による。
直線図形ABC=平四BE
となっている。
したがって
《
三角形
》[直線図形]KGHも
平行四辺形
EFに
等しい
。
定義5ー5
(同じ比)
による。
直線図形KGH=平四EF
となっている。
ところが
平行四辺形
EFはDに
等しい
。
(b)
による。
平四EF=D
となっている。
ゆえに
KGHもDに
等しい
。
公理1ー1
(同じものに等しい)
による。
直線図形KGH=D
となっている。
そして
KGHは
また
ABCに
相似
である。
(c)
による。
直線図形KGH∽直線図形ABC
となっている。
よって
与えられた
直線図形
ABCに
相似
で、
別の与えられた
図形
Dに
等しい
1つの
図形
KGHがつくられた。
これが作図すべきものであった。
命題6ー25
は、
直線図形ABC、D
に対して
点E[外.BC
;;平四BE(BC,BL)=直線図形ABC]、
点F(反対側(CE,B)
;;∠CBL=∠FCE,平四CM(CE,CF)=D)、
線分GH[;;BC:GH=GH:CF]、
点K(同向側(HG,CB,A)
;;直線図形ABC∽直線図形KGH)
をとれば、
直線図形KGH∽直線図形ABC、
直線図形KGH=D
のことである。
命題6ー25
は作図用命題である。
前提
作図
推論
定義
5-5
,
補3(題6-8)
公準
公理
1-1
,
1-2
命題
1-42
,
1-45
,
1-45補2
,
6-8系
,
6-18
1-14
,
1-29
,
5-11
,
5-16
,
6-1
,
6-20
その他
コ(題1-45)
前
次
目次
頁頭