ユークリッド原論をどう読むか(10)
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ユークリッド原論
第6巻
命題6ー27
(相似な平行四辺形が欠けた平行四辺形)
「欠けている」
「なぜなら(追加説明)」
1つの
線分
の
半分
の上に
描かれた
平行四辺形
に
相似
で、かつ
相似な位置
にある
平行四辺形
だけ欠けた
平行四辺形
が
いくつかその同じ
線分
上につくられるとき、
それらすべてのうち最大なものは、
その
線分
の
半分
の上につくられ、
かつ欠けている部分に
相似
な
平行四辺形
である。
線分は、
定義の補足(命題1ー1)
による。
半分は、
定義の補足(公理1ー6)
による。
平行四辺形<は、
定義1ー22の補足2
による。
相似は、
定義6ー1
による。
相似な位置は、
定義の補足(命題6ー18)
による。
ABを
線分
とし、
それがCにおいて2
等分
されたとし、
命題1ー10
(作図・線分の2等分)
による。
線分AB
に対して、
中点C(AB)
をとっている。
線分
AB上に
ABの
半分
、
すなわち
CB上に描かれた
平行四辺形
DBだけ
平行四辺形DBの形は任意である。
よって、
公準1ー1の補足
(作図.任意の点をとる)
により
線分AB上ではないところに
点Dをとり、
公準1ー1
(作図.直線)
により
DとCとを結び、
命題1ー31
(作図・平行線)
により
Dを通りABに平行に直線をひき、
Bを通りCDに平行に直線をひくと、
命題1ー30の補足
(交線に平行な線)
により、
この2直線は交わる。
その交点をEとすると、
定義1ー22の補足2
(平行四辺形)
により、
CBEDは平行四辺形DBとなる。
点D[外.AB]、
交点E(平行線(D,AB),平行線(B,線分CD))、
平行四辺形DB(BC,BE)
をとっている。
欠けている
平行四辺形
ADがつくられたとせよ。
公準1ー2
(作図.直線の延長)
により
BAと平行な直線EDを延長し、
命題1ー31
(作図・平行線)
により
Aを通りCDに平行に直線をひくと、
命題1ー30の補足
(交線に平行な線)
により、
この2直線は交わる。
その交点をOとすると、
定義1ー22の補足2
(平行四辺形)
により、
ACDOは平行四辺形ADとなる。
交点O(延長ED,平行線(A,CD))、
平行四辺形AD(AC,AO)
をとっている。
AB上につくられ、
DBに
相似
でかつ
相似な位置
にある
平行四辺形
だけ欠けている
すべての
平行四辺形
のうち、
欠けている
とは、
平行四辺形から、
それに等角で高さの等しい平行四辺形が
除かれて、
その結果として
平行四辺形が残っている状態
をいっている。
(以下、
コメント(命題6ー27)
(欠けている)という。)
ADが最大である[。]
《と主張する。
なぜなら》[すなわち]
線分
AB上に
DBに
相似
でかつ
相似な位置
にある
平行四辺形
FBだけ欠けている
平行四辺形
AFが描かれたとせよ。
ここの
「なぜなら(追加説明)」
は、
これまでと全く異なる。
文脈としては、
根拠を示すというよりも、
具体的に説明を追加している。
(以下、
コメント2(命題6ー27)
(なぜなら(追加説明))という。)
「なぜならもし」 は、
コメント(命題1ー4)
参照のこと。
「なぜなら・・・であるから」 は、
コメント2(命題1ー16)
参照のこと。
平行四辺形の作図については、
公準1ー1の補足
(作図.任意の点をとる)
により
CB上に点Kをとり、
命題6ー18
(作図.線分上に相似な直線図形)
により
線分KB上に
DBに相似でかつ相似な位置にある
平行四辺形KBHFを描く。
点K[CB]、
平四KBHF(∽平四DB,_KB)
をとると、
平四AF(_AB,ー,平四KBHF;∽平四DB)
となっている。
ADは
AFより
大きい
と主張する。
平行四辺形
DBは
平行四辺形
FBに
相似
であるから、
命題の設定
による。
平四DB∽平四FB
となっている。
同じ
対角線
をはさんでいる。
命題6ー26
(共通角の平行四辺形の相似と対角線)
による。
対角線FB.平四FB
;上.対角線DB.平四DB
となっている。
それらの
対角線
DBがひかれ、
公準1ー1
(作図.直線)
による。
対角線DB
をとっている。
そして
作図がされたとせよ。
公準1ー2
(作図.直線の延長)
により
HFを延長すると、
命題1ー30の補足
(交線に平行な線)
により
AOと交わり、
その交点をGとする。
また、
KFを延長すると、
DEと交わる。
交点G(延長HF,AO)、
交点P(延長KF,DE)
をとっている。
そうすれば
CFはFEに
等しく
、
命題1−43
(平行四辺形の補形)
による。
平四CF=平四FE
となっている。
FBは共通であるから、
CH全体はKE全体に
等しい
。
公理1ー2
(等しいものに等しいものを加える)
による。
平四CH=平四KE
となっている。
ところが
ACはCBに
等しい
から、
命題の設定
による。
AC=CB
となっている。
CHはCGに
等しい
。
命題6ー1
(同高の三角形、平行四辺形は底辺と比例)
による。
平四CH=平四CG
となっている。
それゆえ
GCもEKに
等しい
。
公理1ー1
(同じものに等しい)
による。
平四GC=平四EK
となっている。
双方にCFが加えられたとせよ。
そうすれば
AF全体は
グノーモーン
LMNに
等しい
。
グノーモーンは、
定義2ー2
(グノーモーン)
による。
公理1ー2
(等しいものに等しいものを加える)
による。
平四AF=グノーモーンLMN
となっている。
したがって
平行四辺形
DB、すなわちADは
平行四辺形
AFより
大きい
。
DBは、
公理1ー8
(大きい)
により、
グノーモーンLMNより大きく、
公理1ー8の補足2
(等より大・小、大・小に等)
により、
AFよりおおきい。
一方、
命題6ー1
(同高の三角形、平行四辺形は底辺と比例)
により、
DBはADに等しい。
よって、
公理1ー8の補足2
(等より大・小、大・小に等)
により、
ADはAFよりおおきい。
平四AD
=平四DB
>=グノーモーンLMN
=平四AF
となっている。
よって
1つの
線分
の
半分
の上に
描かれた
平行四辺形
に
相似
で、かつ
相似な位置
にある
平行四辺形
だけ欠けた
平行四辺形
が
いくつかその同じ
線分
上につくられるとき、
それらすべてのうち最大なものは、
その
線分
の
半分
の上につくられ、
かつ
欠けている部分に
相似
な
平行四辺形
である。
これが証明すべきことであった。
命題6ー27
は、
線分AB
に対して、
中点C(AB)、
点D[外.AB]、
平行四辺形DB(CD,CB)、
平行四辺形AD(CD,CA)、
点K[CB]、
交点F(DB,平行線(K,CD))、
平四BF(∽平四DB,_KB)、
平四AF(_AB,ー,平四BF;∽平四DB)
をとると、
平四AD
>=平四AF
のことである。
命題6ー27
は推論用命題である。
前提
作図
推論
定義
1-22補2
,
2-2
公準
1-1
,
1-1補
,
1-2
公理
1-1
,
1-2
,
1-8
,
1-8補2
命題
1-10
,
1-30補
,
1-31
,
6-18
1-43
,
6-1
,
6-26
その他
コ(題1-4)
,
コ2(題1-16)
,
コ2(題6-27)
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