ユークリッド原論をどう読むか(14)
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ユークリッド原論
第10巻
命題10ー87
(作図.第3の余線分)
(素因数を1つ含む合成数は、その素因数を含まない数と平方数の比を持たない)
第3の余線分
を
見いだす
こと。
第3の余線分は、
定義10Vー3
による。
有理線分
Aが
定められ,
互いに
平方数
が
平方数
に対する
比
を
もたない
三つの
数
E, BC, CDが
定められ,
CBが
BDに対し,
平方数
が
平方数
に対する
比
を
もつ
とし,
命題の補足2(定義10ー3)
(作図.任意の有理線分)、
命題10ー5
(通約可能なら数:数の比)
命題10ー6の系
(作図.線分で数:数となる線分)
により、
有理線分Aをとり、
命題10ー29助aの補足
(作図.差が平方数でない2平方数)
により、
CB、BD;平方数
CB>BD
CD≠平方数
をとり、
さらに、
Eとして
CB、CDを合成しない素因数を1つもつ数
とればよい。
これは、
以下による。
すなわち、
Xを
合成しない
素数Yを
1つ含む合成数Wは、
Xと、
平方数:平方数の比を
もたない
(以下、
命題10ー87の補足
(素因数を1つ含む合成数は、その素因数を含まない数と平方数の比を持たない)という。) 本質的には、
命題10ー50の補足
(約数でない素数とは平方数の比でない)
と同等である。
もし、
X:W=平方数:平方数
ならば、
命題9ー10の補足
(平(立)方数の比に同じなら相似な平面(立体)数)
により、
X、W;相似な平面数
となり、
X=Xa・Xb
W=Wa・Wb
Xa:Xb=Wa:Wb
となる。
Yを素因数
とする
Wの一辺をWa
とする。
命題8ー18の補足
(構成.相似な平面数の比例中項数)
により、
XaWb、XbWaは
ともにX、Wの比例中項で、
命題6ー8の系
(直角三角形の垂線は比例中項)
により
同一である
はずだが、
XaWbは
素因数y
をもち、
XbWaは
素因数y
をもたない
ので、
命題7ー32の補足
(素因数分解の一意性)
により、
XaWb≠XbWa
となり、
矛盾する
ので、
背理法により、
X:W≠平方数:平方数
となる。
A;有理線分、
CB、BD;平方数、
CB>BD、
CD≠平方数、
E:CB、CDを合成しない素因数を1つもつ数、
E:CB≠平方数:平方数
E:CD≠平方数:平方数
となっている。
Eが
BCに
対する
ように,
A上の
正方形
が
FG上の
正方形
に
対し,
BCが
CDに
対する
ように,
FG上の
正方形
が
GH上の
正方形
に
対する
ようにされた
とせよ。
[......(1)]
命題10ー6の系2
(作図.平方で数:数となる線分) による。
E:BC=正方(_A):正方(_FG)、
BC:CD=正方(_FG):正方(_GH)
となっている。
そうすれば
Eが
BCに
対する
ように,
A上の
正方形
が
FG上の
正方形
に
対する
から,
A上の
正方形
は
FG上の
正方形
と
通約
できる。
前節、
命題10ー6
(量が数:数なら通約可)
による。
正方(_A)∩正方(_FG)
となっている。
ところが
A上の
正方形
は
有理面積
である。
命題の設定
、
定義10ー3の補足
(有理線分)
による。
正方(_A);有理面積
となっている。
したがって
FG上の
正方形
も
有理面積
である。
[......(2)]
前節、前々節、
定義10ー4の補足
(有理面積、無理面積)
による。
正方(_FG);有理面積
となっている。
ゆえに
FGは
有理線分
である。
[......(3)]
前節、
定義10ー3の補足
(有理線分)
による。
FG:有理線分
となっている。
そして
Eは
BCに対し,
平方数
が
平方数
に
対する
比
を
もたない
命題の設定
による。
E:BC≠平方数:平方数
となっている。
から,
A上の
正方形
は
FG上の
正方形
に対し,
平方数
が
平方数
に
対する
比
を
もたない。
前節、
(1)
命題5ー11
(同一の比に同じ比)
による。
正方(_A):正方(_FG)≠平方数:平方数
となっている。
したがって
Aは
FGと
長さにおいて通約
できない。
[......(5)]
前節、
命題10ー9
(長さで通約と正方形・平方数の比)
による。
A¬∩FG
となっている。
また
BCが
CDに
対する
ように,
FG上の
正方形
が
GH上の
正方形
に
対する
命題の設定
による。
BC:CD=正方(_FG):正方(_GH)
となっている。
から,
FG上の
正方形
は
GH上の
正方形
と
通約
できる。
前節、
命題10ー6
(量が数:数なら通約可)
による。
正方(_FG)∩正方(_GH)
となっている。
ところが
FG上の
正方形
は
有理面積
である。
(2)
による。
正方(_FG);有理面積
となっている。
したがって
GHの
正方形
も
有理面積
である。
前節、前々節、
定義10ー4の補足
(有理面積、無理面積)
による。
正方(_GH);有理面積
となっている。
ゆえに
GHは
有理線分
である。
[......(4)]
前節、
定義10ー3の補足
(有理線分)
による。
GH;有理線分
となっている。
そして
BCは
CDに対し,
平方数
が
平方数
に
対する
比
を
もたない
命題の設定
による。
BC:CD≠平方数:平方数
となっている。
から,
FG上の
正方形
は
GH上の
正方形
に対し,
平方数
が
平方数
に
対する
比
を
もたない。
前節、前々節、
命題5ー11
(同一の比に同じ比)
による。
正方(_FG):正方(_GH)≠平方数:平方数
となっている。
したがって
FGは
GHと
長さにおいて通約
できない。
前節、
命題10ー9
(長さで通約と正方形・平方数の比)
による。
FG¬∩GH
となっている。
そして
両方とも
有理線分
である。
(3)
(4)
による。
FG、GH:有理線分
となっている。
それゆえ
FG、GHは
平方においてのみ通約
できる
有理線分
である。
前節、前々節
定義10ー3の補足
(有理線分)
による。
FG、GH:有理線分、
FG∩^^2 GH
となっている。
したがって
FHは
余線分
である。
[......(8)]
前節、
定義の補足(命題10ー73)
(余線分)
による。
FH;余線分
となっている。
次に
第3の余線分
でも
あると
主張する。
Eが
BCに
対する
ように,
A上の
正方形
が
FG上の
正方形
に
対し,
BCが
CDに
対する
ように,
FG上の
正方形
が
GH上の
正方形
に
対する
(1)
による。
E:BC=正方(_A):正方(_FC)、
BC:CD=正方(_FG):正方(_GH)
となっている。
から,
等間隔比
により
Eが
CDに
対する
ように,
A上の
正方形
が
HG上の
正方形
に
対する
。
前節、
命題5ー22
(等間隔比と同じ比)
による。
E:CD=正方(_A):正方(_HG)、
となっている。
ところが
Eは
CDに対し,
平方数
が
平方数
に
対する
比
を
もたない。
命題の設定
による。
E:CD≠平方数:平方数
となっている。
したがって
A上の
正方形
は
GHの
正方形
に対し,
平方数
が
平方数
に
対する
比
を
もたない。
前節、前々節、
命題5ー11
(同一の比に同じ比)
による。
正方(_A):正方(_GH)≠平方数:平方数
となっている。
それゆえ
Aは
GHと
長さにおいて通約
できない。
[......(7)]
前節、
命題10ー9
(長さで通約と正方形・平方数の比)
による。
A¬∩GH
となっている。
したがって
FG,GHのいずれも
定められた
有理線分
Aと
長さにおいて通約
できない。
前節、
(5)
による。
FG、GH;¬∩A
となっている。
そして
K上の
正方形
を
FG上の
正方形
とGH上の
正方形
との差と
せよ。
[......(6)]
命題10ー14助
(作図.線分上の正方形の差となる正方形の辺)
による。
正方(_K)=正方(_FG)ー正方(_GH)
となっている。
そうすれば
BCが
CDに
対する
ように,
FG上の
正方形
が
GH上の
正方形
に
対する
(1)
による。
BC:CD=正方(_FG):正方(_GH)
となっている。
から,
反転比
により
BCが
BDに
対する
ように,
FG上の
正方形
が
K上の
正方形
に
対する
。
前節、
命題5ー19の系の補足2
(比例ならば反転も比例)
による。
BC:BD=正方(_FG):正方(_K)
となっている。
ところが
BCは
BDに対し,
平方数
が
平方数
に
対する
比
を
もつ。
命題の設定
による。
BC:BD=平方数:平方数
となっている。
したがって
FG上の
正方形
は
K上の
正方形
に対し,
平方数
が
平方数
に
対する
比
を
もつ。
前節、前々節、
命題5ー11
(同一の比に同じ比)
による。
正方(_FG):正方(_K)=平方数:平方数
となっている。
それゆえ
FGは
Kと
長さにおいて通約
できる。
前節、
命題10ー9
(長さで通約と正方形・平方数の比)
による。
FG∩K
となっている。
そして
FG上の
正方形
は
GH上の
正方形
より
FGと
通約
できる
線分上の
正方形
だけ
大きい。
前節、
(6)
による。
正方(_FG)=正方(_GH)+正方(_K)、
K∩FG
となっている。
そして
FG,GHのいずれも
定められた
有理線分
Aと
長さにおいて通約
できない。
(5)
(7)
による。
FG、GH:¬∩有理線分A
となっている。
したがって
FHは
第3の余線分
である。
前節、
(8)
、
定義10Vー3
(第3の余線分)
による。
FH;第3の余線分
となっている。
よって
第3の余線分
FHが
見いだされた。
これが証明すべきことであった。
命題10ー87
は、
命題の補足2(定義10ー3)
(作図.任意の有理線分)、
命題10ー5
(通約可能なら数:数の比)
命題10ー6の系
(作図.線分で数:数となる線分)
により、
有理線分Aをとり、
命題10ー29助aの補足
(作図.差が平方数でない2平方数)
により、
CB、BD;平方数
CB>BD
CD≠平方数
をとり、
さらに、
Eとして
BDを合成しない素因数を1つ含む数
をとり、
命題10ー6の系2
(作図.平方で数:数となる線分)
により、
E:BC=正方(_A):正方(_FG)、
BC:CD=正方(_FG):正方(_GH)
命題10ー14助
(作図.線分上の正方形の差となる正方形の辺)
により、
K;正方(_K)=正方(_FG)ー正方(_GH)
をとれば、
K∩FG、
FG、GH:有理線分、¬∩有理線分A
FH;第3の余線分
のことである。
命題10ー87の補足 (素因数を1つ含む合成数は、その素因数を含まない数と平方数の比を持たない)
前提
作図
推論
定義
公準
公理
命題
8-18補
6-8系
,
7-32補
,
9-10補
その他
背理法
命題10ー87
は推論用命題である。
前提
作図・構成
推論
定義
10-3補
,
10-4補
,
補(題10-73)
,
10V-3
公準
公理
命題
補2(義10-3)
,
10-6系
,
10-6系2
,
10-14a
,
10-29a補
5-11
,
5-19系2
,
5-22
,
10-5
,
10-6
,
10-9
,
1087補
その他
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