ユークリッド原論をどう読むか(14)
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ユークリッド原論
第10巻
命題10ー88
(作図.第4の余線分)
第4の余線分
を
見いだす
こと。
第4の余線分は、
定義10Vー4
による。
有理線分
Aが
定められ,
BGが
Aと
長さにおいて通約
できるようにせよ。
命題の補足2(定義10ー3)
(作図.任意の有理線分)、
命題10ー5
(通約可能なら数:数の比)、
命題10ー6の系
(作図.線分で数:数となる線分)
による。
A;有理線分
BG∩A
となっている。
そうすれば
BGも
有理線分
である。
[......(1)]
前節、
定義10ー3の補足
(有理線分)
による。
BG:有理線分
となっている。
二つの
数
DF,FEが
定められ,
DE全体が
DF,EFの双方に対し,
平方数
が
平方数
に
対す
る
比
を
もたない
ようにせよ。
[......(2)]
命題の補足(定義7ー2)
(作図.数n)
により、
DFをとり、
DFの素因数の一つを
DFを合成せず、
その素因数より大きな素因数に
入れ替えた
数をDEとすると、
命題10ー87の補足
(素因数を1つ含む合成数は、その素因数を含まない数と平方数の比を持たない)
により
DEは
DFと平方数:平方数の比を
持たない.
EF=DEーDF
とすると、
EFも
DFの合成に
入れ替えて用いた
素因数を持たない。
なぜなら、
もし
EFが
その素因数を
もてば、
命題7−1の補足2
(倍数の和・差は倍数)
により、
DEも
その素因数を
持ち矛盾する
から。
DE:DF≠平方数:平方数
DE:FE≠平方数:平方数
となっている。
そして
DEが
EFに
対す
るように,
BG上の
正方形
が
GC上の
正方形
に
対す
る
ようにされたとせよ。
[......(4)]
命題10ー6の系2
(作図.平方で数:数となる線分)
による。
正方(_BG):正方(_GC)=DE:EF
となっている。
そうすれば
BG上の
正方形
は
GC上の
正方形
と
通約
できる。
前節、
命題10ー6
(量が数:数なら通約可)
による。
正方(_BG)∩正方(_GC)
となっている。
ところが
BG上の
正方形
は
有理面積
である。
(1)
定義10ー3の補足
(有理線分)
による。
正方(_BG);有理面積
となっている。
したがって
GC上の
正方形
も
有理面積
である。
前節、前々節、
定義10ー4の補足
(有理面積、無理面積)
による。
正方(_GC);有理面積
となっている。
それゆえ
GCは
有理線分
である。
[......(3)]
前節、
定義10ー3の補足
(有理線分)
による。
GC;有理線分
となっている。
そして
DEは
EFに対し,
平方数
が
平方数
に
対す
る
比
を
もたない
(2)
による。
DE:EF≠平方数:平方数
となっている。
から,
BG上の
正方形
も
GC上の
正方形
に対し,
平方数
が
平方数
に
対す
る
比
を
もたない。
前節、前々節、
命題5ー11
(同一の比に同じ比)
による。
正方(_BG):正方(_GC)≠平方数:平方数
となっている。
したがって
BGは
GCと
長さにおいて通約
できない。
前節、
命題10ー9
(長さで通約と正方形・平方数の比)
による。
BG¬∩GC
となっている。
そして
両方とも
有理線分
である。
(1)
(3)
による。
BG、GC;有理線分
となっている。
ゆえに
BG,GCは
平方においてのみ通約
できる
有理線分
である。
前節、前々節、
定義10ー3の補足
(有理線分)
による。
BG∩^^2 GC
となっている。
したがって
BCは
余線分
である。
前節、
定義の補足(命題10ー73)
(余線分)
による。
BC;余線分
となっている。
[次に
第4の余線分
でもあると主張する。]
そこで
H上の
正方形
を
BG上の
正方形
と
GC上の
正方形
との差
とせよ。
[......(5)]
命題10ー14助
(作図.線分上の正方形の差となる正方形の辺)
による
正方(_H)=正方(_BG)ー正方(_GC)
となっている。
そうすれば
DEが
EFに
対す
るように,
BG上の
正方形
が
GC上の
正方形
に
対す
る
(4)
による。
DE:EF=正方(_BG):正方(_GC)
となっている。
から,
反転比
により
EDが
DFに
対す
るように,
GB上の
正方形
が
H上の
正方形
に
対す
る。
前節、前々節、
命題5ー19の系の補足2
(比例ならば反転も比例)
による。
ED:DF=正方(_BG):正方(_H)
となっている。
ところが
EDは
DFに対し,
平方数
が
平方数
に
対す
る
比
を
もたない。
(2)
による。
ED:DF≠平方数:平方数
となっている。
したがって
GB上の
正方形
も
H上の
正方形
に対し,
平方数
が
平方数
に
対す
る
比
を
もたない。
前節、前々節、
命題5ー11
(同一の比に同じ比)
による。
正方(_GB):正方(_H)≠平方数:平方数
となっている。
ゆえに
BGは
Hと
長さにおいて通約
できない。
前節、
命題10ー9
(長さで通約と正方形・平方数の比)
による。
BG¬∩H
となっている。
そして
BG上の
正方形
は
GC上の
正方形
より
H上の
正方形
だけ
大きい。
(5)
による。
正方(_BG)=正方(_GC)+正方(_H)
となっている。
したがって
BG上の
正方形
は
GC上の
正方形
より
BGと
通約
できない
線分
上の
正方形
だけ
大きい。
前節、前々節による。
正方(_BG)=正方(_GC)+正方(_H)、
BG¬∩H
となっている。
そして
BG全体は
定められた
有理線分
と
長さにおいて通約
できる。
命題の設定
による。
BG∩A
となっている。
したがって
BCは
第4の余線分
である。
前節、前々節、
定義10Vー4
(第4の余線分)
による。
BC;第4の余線分
となっている。
よって
第4の余線分
が
見いだされた。
これが証明すべきことであった。
命題10ー88
は、
命題の補足2(定義10ー3)
(作図.任意の有理線分)、
命題10ー5
(通約可能なら数:数の比)、
命題10ー6の系
(作図.線分で数:数となる線分)
により、
A;有理線分
BG∩A
をとり、
命題の補足(定義7ー2)
(作図.数n)
により、
DFをとり、
DFの素因数の一つを
DFを合成せず、
その素因数より大きな素因数に
入れ替えた
数をDEとすると、
命題10ー87の補足
(素因数を1つ含む合成数は、その素因数を含まない数と平方数の比を持たない) により、
DE:DF≠平方数:平方数
DE:FE≠平方数:平方数
となり、
命題10ー6の系2
(作図.平方で数:数となる線分)
により、
正方(_BG):正方(_GC)=DE:EF
とすると、
BCは
第4の余線分
のことである。
命題10ー88
は推論用命題である。
前提
作図・構成
推論
定義
10-3補
,
10-4補
,
補(題10-73)
,
10V-4
公準
公理
命題
補(義7-2)
,
補2(義10-3)
,
10-6系
,
10-6系2
,
10-14助
5-19系補2
,
5-11
,
7-1補2
,
10-5
,
10-6
,
10-9
,
10-87補
その他
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