ユークリッド原論をどう読むか(14)
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ユークリッド原論
第10巻
命題10ー81
(第2の中項余線分に付加して全体と平方のみ通約となり、全体と中項面積をかこむ中項線分は唯一)
第2の中項余線分
には
それに
付加されて
全体と
平方においてのみ通約
でき、
全体と共に
中項面積
を
かこ
む
ただ一つの
中項線分
がある。
第2の中項余線分は、
定義の補足(命題10ー75)
による。
平方においてのみ通約は、
定義の補足(命題10ー19助)
による。
中項面積は、
定義の補足2(命題10ー23)
による。
かこむは、
定義2ー1
による。
中項線分は、
定義の補足(命題10ー21)
による。
ABを
第2の中項余線分
とし、
ABに
BCが
付加された
とせよ。
そうすれば
AC、CBは
平方においてのみ通約
でき、
中項面積
である
矩形
AC、CBを
かこ
む
中項線分
である。
命題10ー28
(作図.2中項線分;矩形が中項面積、平方でのみ通約)
により、
2中項線分を
とり、
大きい方を
AC、
小さい方を
BC
とする。
命題1ー3
(作図・等しい線分を切り取る)
により、
B’(AC;B’C=BC)をとり、
改めて、
B’を
B
とする。
AB;第2の中項余線分
AC、BC;中項線分、
AC∩^^2 BC
矩形(AB、BC);中項面積
となっている。
ABには
全体と
平方においてのみ通約
でき、
全体と共に
中項面積
を
かこ
む
他のいかなる
中項線分
も
付加されない
と主張する。
もし可能ならば、
BDが
付加された
とせよ。
背理法の仮定を 述べようとしている。
そうすれば
AD、DBは
平方においてのみ通約
でき、
中項面積
である
矩形
AD、DBを
かこ
む
中項線分
である。
背理法の仮定である。
AD、DB;中項線分
AD∩^^2 DB、
矩形(AD、DB);中項面積
となっている。
有理線分
EFが
定められ、
AC、CB上の
正方形
の和に
等しく、
EF上にEMを
幅
とする
EGが
つくられた
とせよ。
そして
矩形
AC、CBの2
倍
に
等し
く
HMを
幅
とする
HGが
ひかれた
とせよ。
[......(1)]
命題の補足2(定義10ー3)
(作図.任意の有理線分)、
命題6ー16の補足3
(作図.線分上に矩形と等しい矩形)
による。
EF;有理線分、
矩形EG(EF、EM)=正方(_AC)+正方(_CB))、
矩形HG(EF、HM)=2矩形(AB、BC)、
となっている。
そうすれば
残りのELは
AB上の
正方形
に
等し
い。
前節、
命題2ー7
(差の平方)
による。
矩形EL=正方(_AB)
となっている。
ゆえに
ABは
ELに
等し
い
正方形
の
辺
である。
前節による。
正方(_AB)=矩形EL
となっている。
また
AD、DB上の
正方形
に
等し
く
EF上にENを
幅
とする
EIが
つくられた
とせよ。
命題6ー16の補足3
(作図.線分上に矩形と等しい矩形)
による。
矩形EI(EF、EN)=正方(_AD)+正方(_DB)、
となっている。
ところが
ELは
AB上の
正方形
に
等し
い。
前々節による。
矩形EL=正方(_AB)
となっている。
したがって
残りのHIは
矩形
AD、DBの2
倍
に
等し
い。
前節、前々節、
命題2ー7
(差の平方)
による。
矩形HI=2矩形(AD、DB)
となっている。
そして
AC、CBは
中項線分
である
命題の設定
による。
AC、CB;中項線分
となっている。
から、
AC、CB上の
正方形
も
中項面積
である。
前節、
定義の補足2(命題10ー23)
(中項面積)
による。
正方(_AC)、正方(_CB);中項面積
となっている。
そして
EGに
等し
い。
(1)
による。
正方(_AC)+正方(_CB)=矩形EG
となっている。
それゆえ
EGも
中項面積
である。
前節、
命題の設定
、
命題10ー23の補足5
(平方で通約の中項線分の平方和は中項面積)
による。
矩形EG;中項面積
となっている。
そして
有理線分
EF上に
EMを
幅
として
つくられている。
(1)
による。
矩形EG;矩形(EF,EM)、
EF;有理線分
となっている。
したがって
EMは
有理線分
であり
EFと
長さにおいて通約
できない。
[......(2)]
前節、
命題10ー22
(中項線分上正方形に等矩形で底辺有理線分なら幅は有理で非通約)
による。
EM;有理線分、
EM¬∩EF
となっている。
また
矩形
AC、CBは
中項面積
である
命題の設定
による。
矩形(AC、CB);中項面積
となっている。
から、
矩形
AC、CBの2
倍
も
中項面積
である。
そして
HGに
等し
い。
前節、
(1)
、
命題10ー23の系
(中項面積と通約なら中項面積)
による。
2矩形(AC、CB)=矩形HG;中項面積
となっている。
したがって
HGも
中項面積
である。
そして
有理線分
EF上に
HMを
幅
として
つくられている。
前節、
(1)
命題10ー23の系
(中項面積と通約なら中項面積)
による。
矩形HG;中項面積、
=矩形(EF、HM)
となっている。
ゆえに
HMも
有理線分
であり
EFと
長さにおいて通約
できない。
[......(3)]
前節、
命題10ー22
(中項線分上正方形に等矩形で底辺有理線分なら幅は有理で非通約)
による。
HM;有理線分
¬∩EF
となっている。
そして
AC、CBは
平方においてのみ通約
できる
から、
ACは
CBと
長さにおいて通約
できない。
命題の設定
、
定義の補足(命題10ー19助)
(平方においてのみ通約)
による。
AC∩^^2 CB、
¬∩CB
となっている。
ところが
ACが
CBに
対するよう
に、
AC上の
正方形
が
矩形
AC、CBに
対する。
命題10ー22助
(2線分は一方の上の正方形と両者の矩形に比例)
による。
AC:CB=正方(_AC):矩形(AC、CB)
となっている。
したがって
AC上の
正方形
は
矩形
AC、CBと
通約
できない。
前節、前々節による。
正方(_AC)¬∩矩形(AC、CB)
となっている。
ところが
AC、CB上の
正方形
の和は
AC上の
正方形
と
通約
でき、
矩形
AC、CBの2
倍
は
矩形
AC、CBと
通約
できる。
命題の設定
、
定義の補足(命題10ー21)
(中項線分)
命題10ー23の系
(中項面積と通約なら中項面積)
による。
正方(_AC)+正方(_CB)∩正方(_AC)、
矩形(AC、CB)∩2矩形(AC、CB)
となっている。
したがって
AC、CB上の
正方形
の和は
矩形
AC、CBの2
倍
と
通約
できない。
前節、前々節、
命題10ー13
(通約量と非通約なら非通約)
による。
正方(_AC)+正方(_CB)¬∩2矩形(AC、CB)
となっている。
そして
EGは
AC、CB上の
正方形
の和に
等し
く、
GHは
矩形
AC、CBの2
倍
に
等し
い。
(1)
による。
矩形EG=正方(_AC)+正方(_CB)、
矩形GH=2矩形(AC、CB)
となっている。
したがって
EGは
HGと
通約
できない。
前節、前々節、
命題10ー13
(通約量と非通約なら非通約)
による。
矩形EG¬∩矩形HG
となっている。
ところが
EGが
HGに
対するよう
に、
EMが
HMに
対する。
(1)
、
命題6ー1
(同高の三角形、平行四辺形は底辺と比例)
による。
矩形EG:矩形HG=EM:HM
となっている。
したがって
EMは
MHと
長さにおいて通約
できない。
前節、前々節、
命題10ー13
(通約量と非通約なら非通約)
による。
EM¬∩MH
となっている。
そして
両方とも
有理線分
である。
(2)
(3)
による。
EM、MH;有理線分
となっている。
ゆえに
EM、MHは
平方においてのみ
通約
できる
有理線分
である。
前節、前々節、
定義10ー3の補足
(有理線分)
による。
EM、MH;有理線分
EM∩^^2 MH
となっている。
したがって
EHは
余線分
であり、
HMが
それに付加
されている。
前節、
定義の補足(命題10ー73)
(余線分)
による。
EH;余線分、
EM、HM、有理線分、
EM∩^^2 HM
となっている。
同様にして
HNも
それに付加
される
ことを証明しうる。
背理法の仮定
による。
したがって
余線分
に
全体と
平方においてのみ通約
できる
異なった2
線分
が
付加される。
前節による。
これは
不可能
である。
前節、
命題10ー79
(余線分に付加して全体と平方のみ通約となる有理線分は唯一)
による。
よって
第2の中項余線分
には
それに付加
されて
全体と
平方においてのみ通約
でき、
全体と共に
中項面積
を
かこ
む
ただーつの
中項線分
が
ある。
背理法による。
AB;第2の中項余線分
AC、BC;中項線分、
AC∩^^2 BC
矩形(AB、BC);中項面積
となる
中項線分は
唯一
となっている。
これが証明すべきことであった。
命題10ー81
は、
命題10ー28
(作図.2中項線分;矩形が中項面積、平方でのみ通約)
により
AC;中項線分、
BC;中項線分、∩^^2 AC
矩形(AC、CB);中項面積、
AB;ACーBC、第1の中項余線分
をとり、
AD;中項線分、
BD;中項線分、∩^^2 AD
矩形(AD、DB);中項面積となるなら、
BD=BC
のことである。
命題10ー81
は推論用命題である。
前提
作図・構成
推論
定義
10-3補
,
補(題10-19助)
,
補(題10-21)
,
補2(題10-23)
,
補(題10-73)
公準
公理
命題
1-3
,
6-16補3
,
補2(義10-3)
,
10-28
2-7
,
6-1
,
10-13
,
10-22
,
10-22助
,
10-23系
,
10-23補5
,
10-79
その他
背理法
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