ユークリッド原論をどう読むか(14)
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ユークリッド原論

第10巻
 
命題10ー79(余線分に付加して全体と平方のみ通約となる有理線分は唯一)
 余線分には
  それに付加されて
  全体と平方においてのみ通約
   できる
 ただ一つの有理線分
   ある。



  ABを
  余線分
とし、
 BCが
  それに
   付加された
とせよ。

そうすれば
 AC、CBは
  平方においてのみ通約
   できる
  有理線分である.
 ABには
  全体と
  平方においてのみ通約
   できる
  他のいかなる線分
   付加されない
と主張する。

もし可能ならば、
 BDが
   付加された
とせよ。

)]
そうすれば
 AD、DBは
  平方においてのみ通約
   できる
  有理線分である。

そして
  AD、DB上の正方形の和と
  矩形AD、DBの2との
 差は
  AC、CB上の正方形の和と
  矩形AC、CBの2との差に
   等しい。
なぜなら
 その差は
  共に同じAB上の正方形
   である
から。

したがって
いれかえて
  AD、DB上の正方形の和と
  AC、CB上の正方形の和との
 差は
  矩形AD、DBの2
  矩形AC、CBの2との差に
   等しい。

ところが
  AD、DB上の正方形の和と
  AC、CB上の正方形の和との
 差は
  有理面積
   である。
なぜなら
 両方とも
  有理面積
   である
から。

したがって
 矩形AD、DBの2
  矩形AC、CBの2より
  有理面積だけ
   大きい。

これは不可能である。
なぜなら
 両方とも
  中項面積
   であり、
  中項面積
  中項面積
 差が
  有理面積
   であることはない
から。

したがって
 ABには
  全体と平方においてのみ通約
   できる
 他のいかなる有理線分
   付加されない。

よって
 余線分には
  それに
   付加されて
  全体と平方においてのみ通約
   できる
 ただ一つの有理線分
   ある。

これが証明すべきことであった。
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