ユークリッド原論をどう読むか(14)
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ユークリッド原論

第10巻
 
命題10ー66(二項線分と長さ通約の線分は同順位の二項線分)
二項線分の順位
  二項線分
 長さにおいて通約できる線分
  それ自身二項線分であり、
  順位において同じである。



 ABを
  二項線分
とし、
 CDを
  ABと長さにおいて通約できる
とせよ。
 CDは
  二項線分であり
  ABと順位において同じである
と主張する。


 ABは
  二項線分である

から、
  Eでその項に分けられた
とし、
  AEを大きい項
とせよ。
       [......(4)]

そうすれば
 AE、EBは
  平方においてのみ通約できる有理線分である。

 ABが
  CDに対するように
 AEが
  CFに対するようにされた
とせよ。
      [......(1)]

そうすれば
 残りのEBが
  残りのFDに対するように
 ABが
  CDに対する。
[......(2)]

ところが
 ABは
  CDと長さにおいて通約できる。

したがって
 AEも
  CFと、
 EBも
  FDと通約できる。
[......(3)]

そして
 AE、EBは
  有理線分である。

したがって
 CF、FDも
  有理線分である。

そして
 AEが
  CFに対するように
 EBが
  FDに対する。

それゆえ
 いれかえて
 AEが
  EBに対するように
 CFが
  FDに対する。

ところが
 AE、EBは
  平方においてのみ通約できる。

したがって
 CF、FDも
  平方においてのみ通約できる。

そして
 有理線分である。

したがって
 CDは
  二項線分である。

次に
 順位においてABと同じであると主張する。
 AE上の正方形
  EB上の正方形よりも
  AEと通約できる線分上の正方形
  かまたは
  AEと通約できない線分上の正方形
  だけ大きい。

そこで
(case01)
もし
 AE上の正方形
  EB上の正方形より
  AEと通約できる線分上の正方形
  だけ大き
ければ、

 CF上の正方形
  FD上の正方形より
  CFと通約できる線分上の正方形
  だけ大きいであろう。

そして

[case11]
もし
 AEが
  定められた有理線分通約できる
ならば、
 CFも
  それと通約できるであろう。

そして
このゆえに
 AB、CDの双方は
  第1の二項線分である、
  すなわち
  順位において同じである。

[case12]
ところが
もし
 EBが
  定められた有理線分通約できる
ならば、
 FDも
  それと通約でき、

このゆえに
また
 ABと順位において同じであろう。
なぜなら
 それらの双方は
  第2の二項線分である
から。

[case13]
ところが
もし
 AE、EBのいずれも
  定められた有理線分通約できない
ならば、
 CF、FDのいずれも
  それと通約できないであろう。

そして
 双方は
  第3の二項線分である。

[case1e]
そして
[case02]
もし
 AE上の正方形
  EB上の正方形より
  AEと通約できない線分上の正方形
  だけ大き

ならば、
 CF上の正方形
  FD上の正方形より
  CFと通約できない線分上の正方形だけ大きい。

そして
[case21]
もし
 AEが
  定められた有理線分通約できる
ならば、
 CFも
  それと通約でき、

 双方は
  第4の二項線分である。

ところが
[case22]
もし
 EBが
  通約できる
ならば、
 FDも通約でき、

 双方は
  第5の二項線分であろう。

そして
[case23]
もし
 AE、EBのいずれも
  通約できない
ならば、
 CD、FDのいずれも
 定められた有理線分通約できず、

 双方は
  第6の二項線分であろう。

[case2e]
[case0e]
よって
  二項線分
 長さにおいて通約できる線分
  二項線分であり
  順位において同じである。

これが証明すべきことであった。
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