ユークリッド原論をどう読むか(14)
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ユークリッド原論

第10巻
 
命題10ー52(作図.第5の二項線分)
 第5の二項線分を見いだすこと。



 二つのAC、CBが定められ、
 ABが
  それらの双方に対し、
  平方数平方数に対するをもたない
ようにし、

 ある有理線分Dが定められ、

 EFがDと通約できる
とせよ。
      [......(3)]

そうすれば
 EFは有理線分である。

そして
 CAがABに対するように
 EF上の正方形がFG上の正方形に対する
ようにされたとせよ。
      [......(1)]


ところが
 CAは
  ABに対し、
  平方数平方数に対するをもたない。

したがって
 EF上の正方形
  FG上の正方形に対し、
  平方数平方数に対するをもたない。

ゆえに
 EF、FGは
  平方においてのみ通約できる有理線分である。
      [......(2)]

したがって
 EGは二項線分である。

 次に第5の二項線分でもある
と主張する。
 CAがABに対するように
 EF上の正方形がFG上の正方形に対する

から、
逆に
 BAがACに対するように
 FG上の正方形がFE上の正方形に対する。

したがって
 GF上の正方形
  FE上の正方形より大きい。

そこで
 EF、H上の正方形の和が
  GF上の正方形等し
とせよ。

そうすれば
 反転比により
 ABがBCに対するように
 GF上の正方形
  H上の正方形に対する。

ところが
 ABは
  BCに対し、
  平方数平方数に対するをもたない。

したがって
 FG上の正方形
  H上の正方形に対し、
  平方数平方数に対するをもたない。

それゆえ
 FGは
  Hと長さにおいて通約できない。

したがって
 FG上の正方形
  FE上の正方形より
  FGと通約できない線分上の正方形だけ大きい。

そして
 GF、FEは
  平方においてのみ通約できる有理線分であり、

 小さい項EFが
  定められた有理線分Dと長さにおいて通約できる。

よって
 EGは第5の二項線分である。

これが証明すべきことであった。
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