ユークリッド原論をどう読むか(14)
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ユークリッド原論

第10巻
 
命題10ー44(第2の双中項線分の分割は1通り)
 第2の双中項線分
  ただ一つので分けられる。



 ABを
  Cで分けられる第2の双中項線分とし,
したがって
 AC,CBが
  平方においてのみ通約でき,
  中項面積をかこむ中項線分である
とせよ。

そうすれば
 AC,CBが
  長さにおいて通約できない

から,
 Cは
  二等分にない
ことは明らかである。

 ABが他ので分けられない
と主張する。

もし可能ならば,
 Dでも分けられ,
  ACがDBと同じでなく,
  ACのほうが大き
と仮定されるとせよ。
[......(1)]

そうすれば
 AD,DB上の正方形の和も
  先に証明したように
  AC,CB上の正方形の和より小さ

ことは明らかである。そして
 AD,DBは
  平方においてのみ通約でき,
  中項面積をかこむ中項線分である
とせよ。

そして
 有理線分EFが定められ,
  AB上の正方形等し
   EF上に直角平行四辺形EKが
   つくられたとし,

  AC,CB上の正方形の和に等し
   EGがひかれた
      [......(2)]

とせよ。そうすれば
 残りのHKは
  矩形AC,CBの2等しい。
[......(3)]

また
 AC,CB上の正方形の和より小さ
  ことが先に証明された
  AD,DB上の正方形等しいEL
  が[EKから]ひかれた

とせよ。そうすれば
 残りのMKは
  矩形AD,DBの2等しい。
そして
 AC,CB上の正方形の和は
  中項面積である

から,
 EGも中項面積である。

 そして
 有理線分EF上につくられている。

したがって
 EHは
  有理線分であり,
  EFと長さにおいて通約できない。
      [......(4)]

同じ理由で
 HNも有理線分であり,
  EFと長さにおいて通約できない。
      [......(5)]
そして
 AC,CBは
  平方においてのみ通約できる中項線分である

から,
 ACは
  CBと長さにおいて通約できない。

ところが
 ACがCBに対するように
  AC上の正方形矩形AC,CBに対する

したがって
 AC上の正方形
  矩形AC,CBと通約できない。

ところが
 AC,CBは
  平方において通約できる

から,
 AC,CB上の正方形
  AC上の正方形通約できる。

そして
 矩形AC,CBの2
  矩形AC,CBと通約できる。

したがって
 AC,CB上の正方形
  矩形AC,CBの2通約できない。

ところが
 EHは
  AC,CB上の正方形の和に等しく,
 HKは
  矩形AC,CBの2等しい。

したがって
 EGはHKと通約できない。

したがって
 EHも
  HNと長さにおいて通約できない。

  そして
  有理線分である。

したがって
 EH,HNは
  平方においてのみ通約できる有理線分である。

ところがもし
 平方においてのみ通約できる
  二つの有理線分が加えられた
ならば,
 全体は
  二項線分とよぱれる無理線分である。

したがって
 ENは
  Hで分けられた二項線分である。

同じ仕方で
 EM,MNも
  平方においてのみ通約できる
   有理線分であることが
証明されうる。

そして
 ENは
  異なった2H,Mで分けられた
  二項線分であろう。
      [......(6)]

そして
 EHは
  MNと同じではない。

なぜなら
 AC,CB上の正方形の和は
  AD,DB上の正方形の和より大きい。

ところが
 AD,DB上の正方形の和は
  矩形AD,DBの2より大きい。

したがってなおさら
 AC,CB上の正方形の和,
 すなわち
 EGは
  矩形AD,DBの2
  すなわち
  MKより大きい。

したがって
 EHは
  MNより大きい。

よって
 EHは
  MNと同じではない。
これが証明すべきことであった。

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