ユークリッド原論をどう読むか(14)
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ユークリッド原論

第10巻
 
命題10ー35(作図.2線分;平方で非通約,平方和が中項面積,矩形は中項面積で平方和と非通約)

 平方において通約できないで,
 それらの上の正方形の和が中項面積で,
 それらによってかこまれる矩形
  中項面積
  かつ
  それらの上の正方形の和と通約できない
   2線分
を見いだすこと。



 平方においてのみ通約でき,
  中項面積をかこむ二つの
  中項線分AB,BC
が定められ,
 AB上の正方形がBC上の正方形より
  ABと通約できない線分上の正方形だけ大きいとし,

 AB上に半円ADBが描かれ,

 残りの作図は前と同様になされたとせよ。

 AFはFBと長さにおいて通約できない

から,
 ADもDBと平方において通約できない。
      [......(3)]

そして
 AB上の正方形は中項面積である

から,
 AD,DB上の正方形の和も中項面積である。
      [......(4)]

そして
 矩形AF,FBは
  BE,DFの双方の上の正方形に等しい

から,
 BEはDFに等しい。
      [......(2)]

したがって
 BCはFDの2倍である。

したがって
 矩形AB,BCも
  矩形AB,FDの2倍である。

ところが
 AB,BCは中項面積である。

したがって
 矩形AB,FDも中項面積である。

そして
 矩形AD,DBに等しい。

したがって
 矩形AD,DBも中項面積である。
      [......(5)]

そして
 ABは
  BCと長さにおいて通約できず,

 CBは
  BEと通約できる

から,
 ABも
  BEと長さにおいて通約できない。

したがって
 AB上の正方形も
  矩形AB,BEと通約できない。

ところが
 AD,DB上の正方形の和は
  AB上の正方形に等しく,

 矩形AB,FD,
 すなわち
 矩形AD,DBは
  矩形AB,BEに等しい。

したがって
 AD,DB上の正方形の和は
  矩形AD,DBと通約できない。

よって
 平方において通約できないで,
 それらの上の正方形の和が中項面積で,
 それらによってかこまれる矩形が
  中項面積で
  かつ
  それらの上の正方形の和と通約できない
   2線分AD,DB
が見いだされた。

 これが証明すぺきことであった。
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