ユークリッド原論をどう読むか(7)
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ユークリッド原論
第3巻
命題3ー31
(半円内の角は直角、半円より大小の切片内の角、切片の角)
円
において
半円
内の
角
は
直角
であり、
半円
より
大きい
切片
内の
角
は
直角
より
小さく
、
より
小さい
切片
内の
角
は
直角
より
大きい
。
また
半円
より
大きい
切片
の
角
は
直角
より
大きく
、
より
小さい
切片
の
角
は
直角
より
小さい
。
円は、
定義1ー15
による。
半円は、
定義1ー18
による。
角は、
定義1ー8
による。
直角は、
定義1ー10
による。
大きいは、
公理1ー8
による。
切片は、
定義3ー6
による。
切片内の角は、
定義3ー8
による。
切片の角は、
定義3ー7
による。
ABCDを
円
とし、
BCをその
直径
、
Eを
中心
とし、
命題3ー1
(作図.円の中心)
により、
中心をとり、
それをEとする。
公準1ー1の補足
(作図.任意の点をとる)
により、
円周上に点Bをとる。
公準1ー1
(作図.直線)
により、
EとBとを結び、
公準1ー2
(作図.直線の延長)
により、
延長する。
命題3−1の補足2
(中心を通る直線は円周と2交点)
により、
この直線は
B以外に
もう1点で円周と交わる。
その点をCとする。
公準1ー1
(作図.直線)
により、
BからCに向かう一方の弧の上に
点Dをとり、
さらに
弧BD上に点Aをとる。
円ABCD
に対して、
中心E.円ABCD、
点B[上.円周ABCD]、
交点C(円周ABCD,延長BE)、
点D[上.円周ABCD,外.B,外.C]、
点A[上.円周ABCD,反対側(BD,C),外.B,外.D]
をとっている。
BA、AC、AD、DCが
結ばれたとせよ。
公準1ー1
(作図.直線)
による。
線分BA、AC、AD、DC
をとっている。
半円
BAC内の
角
BACは
直角
であり、
半円
より
大きい
切片
ABC内の
角
ABCは
直角
より
小さく
、
半円
より
小さい
切片
のADCは
直角
より
大きい
と主張する。
AEが結ばれ、
公準1ー1
(作図.直線)
による。
線分AE
をとっている。
そして
BAが
Fまで延長されたとせよ。
公準1ー2
(作図.直線の延長)
による。
点F[延長BA]
をとっている。
そうすれば
BEはEAに
等しい
から、
命題の設定
,
定義1ー15
(円)
による。
BE=EA
となっている。
角
ABEも
角
BAEに
等しい
。
命題1ー5
(2等辺三角形の底角)
による。
∠ABE=∠BAE
となっている。
また
CEは
EAに
等しい
から、
命題の設定
,
定義1ー15
(円)
による。
CE=EA
となっている。
角
ACEも
角
CAEに
等しい
。
命題1ー5
(2等辺三角形の底角)
による。
∠ACE=∠CAE
となっている。
それゆえ
角
BAC全体は
2
角
ABC、ACBの和に
等しい
。
公理1ー2
(等しいものに等しいものを加える)
による。
∠BAC=∠ABC+∠ACB
となっている。
ところが
三角形
ABCの
外角
FACも
2
角
ABC、ACBの和に
等しい
。
命題1ー32
(三角形の内対角・内角の和)
による。
∠FAC=∠ABC+∠ACB
となっている。
ゆえに
角
BACも
角
CAEに
等しい
。
公理1ー1
(同じものに等しい)
による。
∠BAC=∠CAE
となっている。
したがって
双方は
直角
である。
【・・・(1)】
定義1ー10
(直角)
による。
∠BAC=∠CAE=∠R
となっている。
よって
半円
BAC内の
角
BACは
直角
である。
前節による。
∠BAC.半円BAC=∠R
となっている。
次に
三角形
ABCの
2つの
角
ABC、BACの和は
2
直角
より
小さく
、
命題1ー32
(三角形の内対角・内角の和)
による。
∠ABC+∠BAC<2∠R
となっている。
角
BACは
直角
であるから、
(1)
による。
∠BAC=∠R
となっている。
角
ABCは
直角
より
小さい
。
【・・・(2)】
公理1ー4の補足2
(不等なものから等しいものをひく)
による。
∠ABC<∠R
となっている。
そして
半円
より
大きい
切片
ABC内の
角
である。
定義3ー8
(切片内の角)
による。
切片ABC.円ABCD;外側.半円(BC,反対側(BC,A))
∠ABC;内角.切片ABC.円ABCD
∠ABC<∠R
となっている。
次に
ABCDは
円
に
内接
する
四辺形
であり、
定義の補足(命題3ー22)
(内接)
による。
四辺ABCD(接)円ABCD、
四辺ABCD;内側.円ABCD
となっている。
円
に
内接
する
四辺形
の
対角
の和は
2
直角
に等しく、
命題3ー22
(内接四辺形の対角の和は2直角)
による。
∠ADC+∠ABC=2∠R
となっている。
角
ABCは
直角
より
小さい
から、
(2)
による。
∠ABC<∠R
となっている。
残りの
角
ADCは
直角
より
大きい
。
公理1ー3
(等しいものから等しいものをひく) 、
公理1ー8の補足
(小さい)
による。
∠ADC>∠R
となっている。
そして
半円
より
小さい
切片
ADC内の
角
である。
定義3ー8
(切片内の角)
による。
切片DAC.円ABCD;内側.半円(BC,同側(BC,A))
∠ADC;内角.切片DAC.円ABCD
∠ADC>∠R
となっている。
また
半円
より
大きい
切片
の
角
、
すなわち
弧
ABCと
弦
ACとにはさまれた
角
は
定義3ー8
(切片内の角)
による。
直角
より
大きく
、
より
小さい
切片
の
角
、
すなわち
弧
ADCと
弦
ACとにはさまれた
角
は
直角
より
小さい
と主張する。
これはただちに明らかである。
なぜなら
弦
BA、ACにはさまれた
角
は
直角
であるから、
(1)
による。
「なぜなら・・・であるから」については、
コメント2(命題1ー16)
を参照のこと。
∠BAC=∠R
となっている。
弧
ABCと
弦
ACとにはさまれた
角
は
直角
より
大きい
。
公理1ー8
(大きい)
による。
∠(弧ABC,弦AC)>∠R
となっている。
また
弦
ACと
線分
AFにはさまれた
角
は
直角
であるから、
(1)
による。
∠CAF=∠R
となっている。
弦
CAと
弧
ADCとにはさまれた
角
は
直角
より
小さい
。
公理1ー8の補足
(小さい)
による。
∠(弦CA,弧ADC)<∠R
となっている。
よって
円
において
半円
内の
角
は
直角
であり、
半円
より
大きい
切片
内の
角
は
直角
より
小さく
、
より
小さい
切片
内の
角
は
直角
より
大きい
。
また
半円
より
大きい
切片
の
角
は
直角
より
大きく
、
より
小さい
切片
の
角
は
直角
より
小さい
。
これが証明すべきことであった。
命題3ー31
は、
円ABCD
に対して、
直径BC.円ABCD、
四辺ABCD;(内接)円ABCD、
をとれば、
内角CAB.半円(BC,A)=∠R、
内角ABC.切片ABC..円ABCD(AC,同側(AC,B))<∠R、
内角ADC.切片ADC..円ABCD(AC,反対側(AC,B))<∠R
∠(弧ABC,弦AC).切片ABC>∠R
∠(弦CA,弧ADC).切片ADC<∠R
のことである。
命題3ー31
は推論用命題である。
前提
作図
推論
定義
1-10
,
1-15
,
3-8
,
補(題3-22)
公準
1-1
,
1-1補
,
1-2
公理
1-1
,
1-2
,
1-3
,
1-4補
,
1-8
,
1-8補
命題
3-1
,
3-1補2
1-5
,
1-32
,
3-22
その他
コ2(題1-16)f
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