ユークリッド原論をどう読むか(8)
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ユークリッド原論
第4巻
命題4ー2(作図.等角三角形の内接)
等角
与えられた円に
与えられた三角形に等角な三角形を
内接させること。
- 円は、
定義1ー15
による。
- 三角形は、
定義1ー19の補足2
による。
- 等角は、
対応する角が
すべて等しいということである。
(以下、定義の補足(命題4ー2)(等角)という。)
三角形について言えば
相似であるが、
原論においては
相似は、
円の切片以外には登場していない。
四角形では、
必ずしも相似とはならない。
すべての長方形は等角であるが、
すべてが相似とはならない。
- 内接は、
定義4ー3
による。
与えられた円をABC、
与えられた三角形をDEFとせよ。
このとき
円ABCに
三角形DEFに等角な三角形を
内接させねばならぬ。
円ABCに
Aで接するGHがひかれ、
-
命題3ー16の補足3
(円周上の点を通る接線)
による。
-
点A[円ABC]、
垂線AG(A,直径(A,円ABC))]、
点H[延長AG]
をとれば、
GH(接)円ABC
となっている。
直線AH上に
その上の点Aにおいて
角DEFに等しい角HACが、
【・・・(a)】
-
命題1ー23
(作図・直線上に指定された角)
により、
直線AHについて
円と同じ側に
角HACをつくる。
命題3ー16
(直径に直角な直線)
により
直線ACは
円の内部に入る。
命題3−2の補足
(円内通過直線は円周と2交点)
により、
直線ACは
A以外に
もう1点で円周と交わる。
その点を改めてCとし、
Cを溯って用いている。
-
∠HAZ(A,AH,∠DEF,同側(GH,円ABC))、
交点C(AZ,円ABC;;外.A)
をとっている。
直線AG上に
その上の点Aにおいて
角DFEに等しい角GABが
つくられたとし、
-
命題1ー23
(作図・直線上に指定された角)
による。
Bが円周上にとれるのは
Cと同じ理由による。
-
∠GAY(A,AG,∠DFE,同側(GH,C))、
交点B(AY,円ABC;;外.A)
をとっている。
BCが結ばれたとせよ。
-
公準1ー1
(作図.直線)
による。
-
線分BC
をとっている。
そうすれば
直線AHは
円ABCに接し、
- (a)
による。
-
AH(接)円ABC
となっている。
接点Aから
円に弦ACがひかれたから、
- (a) による。
-
AC;弦.円ABC
となっている。
角HACは
円の
反対側の切片内の角ABCに等しい。
-
命題3ー32
(いわゆる接弦定理)
による。
-
∠HAC=∠ABC
となっている。
ところが
角HACは
角DEFに等しい。
- (a) による。
-
∠HAC=∠DEF
となっている。
それゆえ
角ABCも
角DEFに等しい。
-
公理1ー1
(同じものに等しい)
による。
-
∠ABC=∠DEF
となっている。
同じ理由で
角ACBも
角DFEに等しい。
ゆえに
残りの角BACも
残りの角EDFに等しい。
-
命題1ー32
(三角形の内対角・内角の和)
による。
-
∠BAC=∠EDF
となっている。
よって
与えられた円に
与えられた三角形に等角な三角形が
内接された。
これが作図すべきものであった。
- 命題4ー2は、
円ABC、
△DEF
に対して、
接線GH(点A[円周ABC],円ABC)、
弦AC..円ABC(A,点C(円周ABC;∠HAC=∠DEF)))、
弦AB..円ABC(A,点B(円周ABC;∠GAB=∠DFE)))、
弦BC..円ABC(B,C)
をとれば、
△ABC;(等角)△DEF、
△ABC;(内接)円ABC
のことである。
- 命題4ー2は作図用命題である。
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