ユークリッド原論をどう読むか(10)
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ユークリッド原論
第6巻
命題6ー5
(辺が比例する三角形は等角)
(2組の角が等しい三角形は他の角も等しい)
(
作図.
辺が比例する三角形)
もし
2つの
三角形
の
辺
が
比例
するならば、
2つの
三角形
は互いに
等角
であり、
対応する
辺
に対する
角
は
等しい
であろう。
三角形は、
定義1ー19の補足2
による。
辺は、
定義1ー19の補足
による。
比例は、
定義5ー6
による。
等角は、
定義の補足(命題4ー2)
による。
角は、
定義1ー8
による。
等しいは、
公理1ー7
による。
ABC、DEFが
辺
が
比例
する2つの
三角形
であり、
ABがBCに
対するように
、
DEがEFに
対し
、
BCがCAに
対するように
、
EFがFDに
対し
、
また
BAがACに
対するように
、
EDがDFに
対する
とせよ。
辺が比例する三角形の作図は
下のようになる。
(以下、
命題6ー5の補足2
(作図.辺が比例する三角形) という。)
命題6ー2の補足
(作図.比例第4項)
により、
三角形ABCの各辺AB、BC、CAと、
線分DEについて、
ABがBCに
対するように
、
DEがEFに
対し
、
BCがCAに
対するように
、
EFがFD'に
対する
こととなる
EF、FD'を作図することができる。
命題5ー18
(比例ならば合比も比例)
により
ABとBCの和がBCに
対するように
、
DEとEFの和がEFに
対する
。
命題5ー22
(等間隔比と同じ比)
により、
BCがCAに
対するように
EFがFD'に
対する
ので、
ABとBCの和がCAに
対するように
、
DEとEFの和がFD'に
対する
。
命題1ー20
(三角形の2辺の和と1辺)
により
ABとBCの和がCAより大きいので、
定義5ー5
(同じ比)
により
DEとEFの和はFD'より大きい。
同様にして
EFとFD'の和はDEより大きく、
FD'とDEの和はEFより大きい。
命題1ー22
(作図・3線分から三角形)
により、
DE、EF、FD'を3辺とし、
D'がDに重なる
三角形DEFを作図することができる。
△ABC、DE
に対して、
F(同向側(DE,AB,C);;
AB:BC=DE:EF,
BC:CA=EF:FD)
をとっている。
CA:AB=FD:DE
となっている。
三角形
ABCは
三角形
DEFに
等角
であり、
対応する
辺
に対する
角
、
すなわち
角
ABCは
角
DEFに、
角
BCAは
角
EFDに、
また
角
BACは
角
EDFに
等しい
と主張する。
線分
EF上に
その上の
点
E、Fにおいて
角
ABCに
等しい
角
FEGが、
角
ACBに
等しい
角
EFGが
つくられたとせよ。
【・・・(a)】
命題1ー23
(作図・直線上に指定された角)
により、
線分EFについて、
Dと反対側に、
Eにおいて、
角ABCに等しくFEGを、
Fにおいて、
角ACBに等しくEFG’を
つくる。
角ABC、ACBは
三角形ABCの2つの角だから、
命題1ー17
(三角形の2角の和)
により、
その和は2直角より小さい。
公準1ー5
(平行線公準)
により、
EGとEG’は
線分EFについて、
Dと反対側で交わる。
その交点を改めてGとし、
溯って用いている。
交点G(半直線EG(反対側(EF,D);∠FEG=∠ABC),
半直線FG(反対側(EF,D);∠EFG=∠ACB))
をとっている。
そうすれば
残りのAにおける
角
は
残りのGにおける
角
に
等しい
。
命題1ー32
(三角形の内対角・内角の和)、
公理1ー3
(等しいものから等しいものをひく)
による。
一般的に、
2つの三角形において、
2組の角がそれぞれ等しければ、
第3組の角も等しい。
(以下、
命題6ー5の補足
(2組の角が等しい三角形は他の角も等しい)という。)
∠CBA=∠FGE
となっている。
三角形
ABCは
EGFに
等角
である。
(a)
,
定義の補足(命題4ー2)
(等角)
による。
△ABC;(等角)△GEF
となっている。
ゆえに
三角形
ABC、EGFの
等しい
角
をはさむ
辺
は
比例
し、
等しい
角
に対する
辺
が
それぞれ対応する。
命題6ー4
(等角三角形の等角辺の比例)
による。
AB:BC=GE:EF、
BC:CA=EF:FG、
CA:AB=FG:GE
となっている。
したがって
ABがBCに
対するように
、
GEはEFに
対する
。
ところが
ABがBCに
対するように
DEがEFに
対する
ことが仮定されている。
命題の設定
による。
それゆえ
DEがEFに
対するように
、
GEがEFに
対する
。
命題5ー11
(同一の比に同じ比)
による。
DE:EF=GE:EF
となっている。
ゆえに
DE、GEの双方は
EFに
対し
同じ比をもつ。
したがって
DEはGEに
等しい
。
【・・・(1)】
命題5ー9
(同一比の量)
による。
DE=GE
となっている。
同じ理由で
DFもGFに
等しい
。
【・・・(2)】
DF=GF
となっている。
そこで
DEはEGに
等しく
、
(1)
による。
DE=EG
となっている。
EFは共通であるから、
2
辺
DE、EFは
2
辺
GE、EFに
等しい
。
そして
底辺
DFは
底辺
FGに
等しい
。
(2)
による。
(DE、EF)=(GE、EF)、
DF=FG
となっている。
それゆえ
角
DEFは
角
GEFに
等しく
、
三角形
DEFは
三角形
GEFに
等しく
、
残りの
角
は残りの
角
に
等しい
。
命題1ー8
(3辺相等2)
による。
∠DEF=∠GEF、
△DEF≡△GEF
となっている。
すなわち
等しい
辺
が対する
角
は
等しい
。
ゆえに
角
DFEは
角
GFEに、
角
EDFは
角
EGFに
等しい
。
∠DFE=∠GFE、
∠EDF=∠EGF
となっている。
そして
角
FEDは
角
GEFに、
他方
角
GEFは
角
ABCに
等しい
から、
(a)
による。
∠FED=∠GEF、
∠GEF=∠ABC
となっている。
角
ABCも
角
DEFに
等しい
。
公理1ー1
(同じものに等しい)
による。
∠ABC=∠DEF
となっている。
同じ理由で
角
ACBも
角
DFEに、
また
Aにおける
角
もDにおける
角
に
等しい
。
∠ACB=∠DFE、
∠A=∠D
となっている。
したがって
三角形
ABCは
三角形
DEFに
等角
である。
定義の補足(命題4ー2)
(等角)
による。
△ABC;(等角)△DEF
となっている。
よって
2つの
三角形
の
辺
が
比例
するならば、
2つの
三角形
は互いに
等角
であり、
対応する
辺
に対する
角
は
等しい
であろう。
これが証明すべきことであった。
命題6ー5
は、
△ABC
に対して、
△DEF;
AB:BC=DE:EF,
BC:CA=EF:FD,
CA:AB=FD:DE
ならば、
△ABC;(等角)△DEF
のことである。
命題6ー5の補足(2組の角が等しい三角形は他の角も等しい)
前提
作図
推論
定義
公準
公理
1-3
命題
1-32
その他
命題6ー5の補足2 (作図.辺が比例する三角形)
前提
作図
推論
定義
5-5
公準
公理
命題
1-22
,
6-2補
1-20
,
5-18
,
5-22
その他
命題6ー5
は推論用命題である。
前提
作図
推論
定義
1-23
,
補(題4-2)
,
5-5
公準
1-5
公理
1-1
,
1-3
命題
1-22
,
1-23
,
6-2補
1-8
,
1-17
,
1-20
,
1-32
,
5-9
,
5-11
,
5-18
,
5-22
,
6-4
その他
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