ユークリッド原論をどう読むか(9501)
頁末
前
次
目次
ユークリッド原論
第5巻
命題5ー1(同数倍の和1)
同じ倍数
準一般的な証明
(1対1対応)
(複合1対1対応)
準一般の一般化
任意の量
もし
任意個の量があり、
それと同数の他の《任意個の》量の
それぞれ同数倍であるならば、
それらの量の1つが1つの何倍であろうと、
全体も
全体の同じ倍数であろう。
- 量は、
定義5ー1の補足
による。
- 2つめの「任意個の」は、
1つめの「任意個」のことであり、
「それと同数の」と直前で限定してあるので、
記述されない方がよい。
- 同数倍は、
定義5ー5の補足
による。
-
同じ倍数とは、
定義の補足(公理1ー5)
にいう
n倍における個数分のnが
等しいということである。
したがって、
同じ倍数であれば、
倍量が倍される量に対して
同じ比をもつ。
(以下、定義の補足(命題5ー1)(同じ倍数)という。)
定義5ー5の補足にいう
「同数倍」は
同じ個数分という量に注目し、
「同じ倍数」は
個数分の個数に注目している。
任意個の量AB、CDが
それと同数の他の《任意個の》量E、Fの
それぞれ同数倍であるとせよ。
-
量E、F
に対して
量AB=n×E、
量F(;;倍数(AB,E)=倍数(CD,F))
をとっている。
ABが
Eの何倍であろうと、
AB、CDの和も
E、Fの和の同じ倍数であろう
と主張する。
-
任意の量を表す線分は
公準1ー1(作図.直線)により
作図可能であるが、
命題にいう量は
その条件の当てはまる量を描き、
考察について
可能な範囲で一般的に行う
ということになる。
(以下、コメント6(命題5ー1)
(任意の量)という。)
-
量の倍は、
命題の補足(定義5ー2)(作図.倍量)、
量の和は、
命題の補足(定義5ー14)(作図.量の和)
による。
ABはEの、
CDはFの同数倍であるから、
- 命題の設定
による。
-
倍数(AB,E)=倍数(CD,F)
となっている。
ABの中にある
Eに等しい量と同じ個数の、
Fに等しい量が
CDのなかにある。【・・・(1)】
-
定義5ー5の補足(同数倍)
による。
-
個数(AB,E)=個数(CD,F)=n
となっている。
ABが
Eに等しい量AG['=G1G'1、・・・、GiG'i、・・・、GnG'n=]GBに、
CDが
Fに等しい量CH['=H1H'1、・・・、HiH'i、・・・、HnH'n=]HDに
分けられたとせよ。【・・・(a)】
- 推論の設定である。
-
準一般的な証明の一般化の方法である。
今後、
本文中では、
AG、[GiG'i、]GBで、
コメント内では、
GiG'iで、
準一般的な証明の一般化、
AG'=G1G'1、・・・、GiG'i、・・・、GnG'n=GB、
(ただし、G'i=Gi+1)
を簡潔に表記する。
以下、コメント5(命題5ー1)(準一般の一般化)という。
ΣGiG'i
=AG'+G2G'2+・・・
+GiG'i+・・・
+Gn-1G'n-1+GB
である。
-
GiG'i=E、
HiH'i=F
となっている。
そうすれば
AG、[GiG'i、]GBの個数[n]は、
CH、[HiH'i、]HDの個数[n]に
等しいであろう。【・・・(2)】
- (1)
による。
-
個数(GiG'i)=個数(HiH'i)=n
となっている。
そして
AGはEに、
CHはFに
等しいから、
- (a)
による。
-
AG=E、
CH=F
となっている。
AGはEに、
AG、CHの和はE、Fの和に
等しい。
- 公理1ー2(等しいものに等しいものを加える)
による。
-
AG=E、
AG+CH=E+F
となっている。
同じ理由で
[GiG'iはEに、
GiG'i、HiH'iの和はE、Fの和に、]
GBはEに、
GB、HDの和はE、Fの和に
等しい。
-
GiG'i=E、
GiG'i+HiH'i=E+F、
GB=E、
GB+HD=E+F
となっている。
それゆえ
ABのなかにある
Eに等しい量と同数[n]の、
E、F[の和]に等しい量が
AB、CD[の和]のなかにある。
ゆえに
ABが
Eの何倍であろうと
AB、CDの和も
E、Fの和の同じ倍数である。
よってもし
任意個の量があり、
それと同数の他の[任意個の]量の
それぞれ同数倍であるならば、
それらの量の1つが
1つの何倍であろうと、
全体も
全体の同じ倍数であろう。
これが証明すべきことであった。
前
次
目次
頁頭