ユークリッド原論をどう読むか(12)
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目次
ユークリッド原論
第8巻
命題8ー4
(
構成.
複数の比で順次に比例する最小の数)
順次に比例(複数の比)
任意個の
比
が
それぞれの
最小
数
において与えられた
とき、
与えられた
比
をなして
順次に比例
する
最小
の
数
を
見いだすこと。
比は、
定義5ー3
による。
最小は、
定義の補足3(命題3ー7)
による。
数は、
定義7ー2
による。
順次に比例(複数の比)
は、
定義の補足(命題8ー1)
(順次に比例)が
1つの比によるのに対し、
複数の比によるものである。
(以下、
定義の補足(命題8ー4)(順次に比例(複数の比))
という。)
最小
数
における
与えられた
比
を
A
対
B、C
対
D、 […、E
2k-1
対
E
2k
、…、]E
対
F
とせよ。
準一般的な証明である。
コメント2(命題5ー1)
参照のこと。
A=E
1
、
B=E
2
、
C=E
3
、
D=E
4
、
E=E
2n-1
、
F=E
2n
としている。
「数(について)・・・とせよ」は、
コメント4(命題7ー1)
参照のこと
A:B、C:D、[…、E
2k-1
:E
2k
、…、]E:F
を(最小2項)として、
とっている。
このとき
A
対
B、C
対
D、[…、E
2k-1
対
E
2k
、…、]E
対
Fなる
比
をなして
順次に比例
する
最小
の
数
を
見いださねばならぬ。
B、Cに
割り切ら
れる
最小
数
Gがとられた
とせよ。
[......(a)]
命題7ー34
(2数の最小公倍数) による。
数G(;;LCM(B、C))
をとっている。
そして
BがGを
割っ
た
商
が
AがHを
割っ
た
商
に
等しく
、
[......(b)]
定義7ー8の補足
(商)
により、
G:B=H:Aとなり、
命題5ー7系
(比例すれば逆も比例)
により
B:G=A:Hとなる必要があるので、
命題6ー12
(作図.比例第4項)
により
Hが構成される。
数H(;;商(G,B)=商(H,A))
をとっている。
A:B=H:G
となる。
CがGを
割っ
た
商
が
DがK[
3
]を
割っ
た
商
に
等しい
ようにせよ。
[......(c)]
H=K
1
、G=K
2
とする。
定義7ー8の補足
(商)
により、
G:C=K
3
:Dとなり
命題5ー7系
(比例すれば逆も比例)
により
C:G=D:K
3
となる必要があるので
命題6ー12
(作図.比例第4項)
により
K
3
が構成される。
数K
3
(;;商(G,C)=商(K
3
,D))
をとっている。
C:D=G:K
3
となる。
ところが
E[
5
]は
K[
3
]を
割り切る
か
割り切ら
ない
か
である
。
場合分けである
まず
割り切る
とせよ。
場合分け(1)
である
E
5
|K
3
となっている。
そして
E[
5
]がK[
3
]を
割っ
た
商
が
《F》[E
6
]が《L》[K
4
]を
割っ
た
商
に
等しい
[......(d)]
ようにせよ。
定義7ー8の補足
(商)
により、
K
3
:E
5
=K
4
:E
6
となり
命題5ー7系
(比例すれば逆も比例)
により
E
5
:K
3
=E
6
:K
4
となる必要があるので
命題6ー12
(作図.比例第4項)
により
K
4
が構成される。
商(K
3
,E
5
)=商(K
4
,E
6
)
となっている。
E
5
:E
6
=K
3
:K
4
となる。
そうすれば
AがHを、
BがGを
割っ
た
商
は
等しい
(b)
による。
商(H,A)=商(G,B)
となっている。
から、
AがBに
対するように
、
HがGに
対する
。
定義7ー8の補足
(商)
により、
H:A=G:Bとなり、
命題5ー16
(比例すれば錯比も比例)
により、
A:B=H:Gとなる。
A:B=H:G
となっている。
同じ理由で
CがDに
対するように
、
GがK
3
に
対し
、
さらに
E[
5
]が《F》[E
6
]に
対するように
、
K[
3
]が《L》[K
4
]に
対する
。
(c)
、
(d)
、
定義7ー8の補足
(商)
により、
D:C=K
3
:G、E
6
:E
5
=K
4
:K
3
となり、
命題5ー16
(比例すれば錯比も比例)
により、
C:D=G:K
3
、E
5
:E
6
=K
3
:K
4
となる。
C:D=G:K
3
、E
5
:E
6
=K
3
:K
4
となっている。
それゆえ
H、G、K[
3
]、《L》[K
4
]は
A
対
B、C
対
D、E[
5
]
対
《F》[E
6
]の
比
をなして
順次に比例
する。
前節、前々節による。
A:B=H:G、C:D=G:K
3
、E
5
:E
6
=K
3
:K
4
となっている。
次に
最小
でもある
と主張する。
もし
H、G、K[
3
]、《L》[K
4
]が
A
対
B、C
対
D、E[
3
]
対
《F》[E
6
]の
比
をなして
順次に比例
する
最小
の
数
でない
ならば、
背理法の仮定を述べようとしている。
それら[最小の数]をN、O、M[
3
]、《P》[M
4
]
とせよ。
背理法の仮定である。
A:B=N:O、C:D=O:M
3
、E:F=M
3
:M
4
(最小3対項)
となっているとする。
そうすれば
AがBに
対するように
、
NがOに
対し
、
前節による。
A:B=N:O
となっている。
A、Bは
最小
であり、
命題の設定
である。
A:B(最小)
となっている。
最小
の
数
は
同じ比
をもつ
数
を
割り切り
、
大きい
数
が
大きい
数
を、
小さい
数
が
小さい
数
を、
すなわち
前項
が
前項
を、
後項
が
後項
を
割り切り
、
その
商
は
等しい
命題7ー20
(同じ比なら最小のが割り切る) による。
から、
BはOを
割り切る
。
B|O
となっている。
同じ理由で
CもOを
割り切る
。
命題の設定
、
命題7ー20
(同じ比なら最小のが割り切る) による。
C|O
となっている。
ゆえに
B、CはOを
割り切る
。
前節、前々節による。
(B、C)|O
となっている。
したがって
B、Cに
割り切ら
れる
最小
数
もOを
割り切る
であろう。
命題7ー35
(最小公倍数と公倍数) による。
LCM(B,C)|O
となっている。
ところが
Gは
B、Cに
割り切ら
れる
最小
数
である。
(a)
による。
G=LCM(B,C)
となっている。
それゆえ
GはOを
割り切る
、
すなわち
大きい
数
が
小さい
数
を
割り切る
。
前節、
背理法の仮定
による。
G>O、
G|O
となっている。
これは不可能である。
ゆえに
H、G、K[
3
]、《L》[K
4
]より
小さく
て
順次にA
対
B、C
対
D、E[
5
]
対
《F》[E
6
]の
比
をなす
いかなる
数
も
存在しない
であろう。
背理法による。
次に
E[
5
]が
K[
3
]を
割り切ら
ない
とせよ。
場合分け(2)
である。
E
5
¬|K
3
としている。
E[
5
]、K[
3
]に
割り切ら
れる
最小
数
M[
3
]がとられた
とせよ。
[......(e)]
命題7ー34
(2数の最小公倍数) による。
数M
3
(;;=LCM(E
5
,K
3
))
をとっている。
そして
K[
3
]がM[
3
]を
割っ
た
商
が
H、Gの双方がN、Oの双方を
割っ
た
商
に
等しい
とし、
[......(f)]
定義7ー8の補足
(商)
により、
M
3
:K
3
=N:H=O:Gとなり
命題5ー7系
(比例すれば逆も比例)
により
K
3
:M
3
=H:N=G:Oとなる必要があるので
命題6ー12
(作図.比例第4項)
により
N、Oが構成される。
商(M,K)=商(N,H)=商(O,G)
となっている。
EがMを
割っ
た
商
が
FがPを
割っ
た
商
に
等しい
とせよ。
[......(g)]
定義7ー8の補足
(商)
により、
M:E=P:Fとなり
命題5ー7系
(比例すれば逆も比例)
により
E:M=F:Pとなる必要があるので
命題6ー12
(作図.比例第4項)
により
Pが構成される。
商(M,E)=商(P,F)
となっている。
HがNを、
GがOを
割っ
た
商
は
等しい
(f)
による。
商(N,H)=商(O,G)
となっている。
から、
HがGに
対するように
、
NがOに
対する
。
定義7ー8の補足
(商)
により、
N:H=O:Gとなり、
命題5ー16
(比例すれば錯比も比例)
により、
H:G=N:Oとなる。
H:G=N:O
となっている。
ところが
HがGに
対するように
、
AがBに
対する
。
(b)
、
定義7ー8の補足
(商)
により、
H:A=G:Bとなり、
命題5ー16
(比例すれば錯比も比例)
により、
A:B=H:Gとなる
A:B=H:G
となっている。
それゆえ
AがBに
対するように
、
NがOに
対する
。
前節、前々節の結果、
命題5ー11
(同一の比に同じ比) による。
A:B=N:O
となっている。
同じ理由で
CがDに
対するように
、
OがMに
対する
。
(c)
、
定義7ー8の補足
(商)
により、
G:C=K:Dとなり、
命題5ー16
(比例すれば錯比も比例)
により、
C:D=G:Kとなる
また、
(f)
、
定義7ー8の補足
(商)
により、
O:G=M:Kとなり、
命題5ー16
(比例すれば錯比も比例)
により、
G:K=O:Mとなる
したがって、
命題5ー11
(同一の比に同じ比) により、
C:D=O:Mとなる。
C:D=O:M
となっている。
また
EがMを、
FがPを
割っ
た
商
は
等しい
(g)
による。
商(M,E)=商(P,F)
となっている。
から、
EがFに
対するように
、
MがPに
対する
。
定義7ー8の補足
(商)
により、
M:E=P:Fとなり、
命題5ー16
(比例すれば錯比も比例)
により、
E:F=M:Pとなる。
E:F=M:P
となっている。
ゆえに
N、O、M、Pは
A
対
B、C
対
D、E
対
Fの
比
をなして
順次に比例
する。
前節、前々節、前々々節の結論による。
A:B=N:O、C:D=O:M、E:F=M:P
となっている。
次に
A
対
B、C
対
D、E
対
Fの
比
をなす
数
のうち
最小
でもある
と主張する。
もし
最小
でない
ならば、
背理法の仮定を述べようとしている。
N、O、M、Pより
小さく
て、
A、B、C、D、E、Fの
比
をなして
順次に比例
する何らかの
数
がある
であろう。
それらをQ、R、S、Tとせよ。
背理法の仮定である。
N:O=A:B=Q:R、
O:M=C:D=R:S、
M:P=E:F=S:T、
N>Q、O>R、M>S、P>T
となっている。
そうすれば
QがRに
対するように
、
AがBに
対し
、
前節の背理法の仮定による。
Q:R=A:B
となっている。
A、Bは
最小
であり、
命題の設定
である。
A:B(最小)
となっている。
最小
の
数
は
それらと
同じ比
をもつ
数
を
割り切り
、
前項
が
前項
を、
後項
が
後項
を
割り切り
、
その
商
は
等しい
から、
BはRを
割り切る
。
命題7ー20
(同じ比なら最小のが割り切る) による。
B|R
となっている。
同じ理由で
CもRを
割り切る
。
背理法の仮定
、
命題の設定
、
命題7ー20
(同じ比なら最小のが割り切る) による。
C|R
となっている。
それゆえ
B、Cは
Rを
割り切る
。
前節、前々節の結果による。
(B、C)|R
となっている。
ゆえに
B、Cに
割り切ら
れる
最小
の
数
も
Rを
割り切る
であろう。
命題7ー35
(最小公倍数と公倍数) による。
LCM(B,C)|R
となっている。
ところが
Gは
B、Cに
割り切ら
れる
最小
の
数
である。
(a)
による。
G=LCM(B,C)
となっている。
したがって
GはRを
割り切る
。
前節、前々節の結果による。
G|R
となっている。
そして
GがRに
対するように
、
KがSに
対する
。
(c)
により
G:C=K:D、
命題5ー16
(比例すれば錯比も比例)
により、
C:D=G:K、
背理法の仮定
により
C:D=R:S
したがって
G:K=R:S
命題5ー16
(比例すれば錯比も比例)
により、
G:R=K:S
G:R=K:S
となっている。
それゆえ
KもSを
割り切る
。
前節、前々節の結果、
定義7−21
(比例)
による。
K|S
となっている。
ところが
EもSを
割り切る
。
背理法の仮定
により
S:T=E:Fである
が
命題の設定
により、
E:Fは最小数であり、
命題7ー20
(同じ比なら最小のが割り切る)
により
EはSを割り切る。
E|S
となっている。
ゆえに
E、KはSを
割り切る
。
前節、前々節の結果による。
(E、K)|S
となっている。
したがって
E、Kに
割り切ら
れる
最小
の
数
もSを
割り切る
であろう。
命題7ー35
(最小公倍数と公倍数) による。
LCM(E,K)|S
となっている。
ところが
Mは
E、Kに
割り切ら
れる
最小
の
数
である。
(e)
による。
M=LCM(E,K)
となっている。
それゆえ
MはSを
割り切る
、
命題7ー35
(最小公倍数と公倍数) による。
M|S
となっている。
すなわち
大きい
数
が
小さい
数
を
割り切る
。
前節、
背理法の仮定
による。
これは不可能である。
ゆえに
N、O、M、Pより
小さく
て
順次にA
対
B、C
対
D、E
対
Fの
比
をなす
いかなる
数
もない
であろう。
背理法による。
したがって
N、O、M、Pは
順次にA
対
B、C
対
D、E
対
Fの
比
をなす
最小
の
数
である。
[EとKについての
2つの場合の結果
により、
N、O、M、Pは
順次にA
対
B、C
対
D、E
対
Fの
比
をなす
最小
の
数
である。]
これが証明すべきことであった。
A:B、C:D、E:Fなる
比
で、
順次に比例
する
最小
の
数
を見いだすことである。
命題8ー4
は推論用命題である。
前提
作図
推論
定義
7-8補
公準
公理
命題
6-12
,
7-34
5-7系
,
5-11
,
5-16
,
7-20
,
7-21
,
7-35
その他
コ4(題7-1)
背理法、場合分け
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