ユークリッド原論をどう読むか(9518)
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ユークリッド原論
第5巻
命題5ー18(比例ならば合比も比例)
もし
 量が
 分割比によって[得られた]比例する[量]
ならば、
 合比によっても
 比例するであろう。

AE、EB、CF、FDを
 分割比によって[得られた]比例する量とし、
 AEがEBに対するように、
 CFがFDに対するとせよ。
- 
同じ比をもつ線分の作図(仮想的)は、
 コメント2(命題5ー4)参照のこと。
 - 
 AB、CD
に対して、
 点E[AB]、
 点F(CD;;AE:EB=CF:FD)
をとっている。
 
それらは
 合比によっても比例し、
 ABがBEに対するように、
 CDがFDに対するであろう
 と主張する。
 
もし
 ABがBEに対するように、
 CDがDFに対するのでなければ、
 ABがBEに対するように、
 CDがDFより
 小さいものに対するか、
 あるいは
 大きいものに対するか
 であろう。
まず、
 小さいDGに対するとせよ。
【・・・(a
)】
- 場合分け(1)である。
 - 
 点G(CD;;AB:BE=CD:DG,DG<DF)
としている。
 
そうすれば
 ABがBEに対するように、
 CDがDGに対するから、
- (a)
による。
 - 
 AB:BE=CD:DG
となっている。
 
 それらは合比によって比例する量である。
それゆえ
 分割比によっても比例するであろう。
- 命題5ー17(合比で比例なら分割比でも比例)
のことである。
 
ゆえに
 AEがEBに対するように、
 CGがGDに対する。
- 命題5ー17(合比で比例なら分割比でも比例)
による。
 - 
 AE:EB=CG:GD
となっている。
 
ところが
 AEがEBに対するように、
 CFがFDに対することが仮定される。
- 命題の設定
である。
 - 
 AE:EB=CF:FD
となっている。
 
ゆえに
 CGがGDに対するように、
 CFがFDに対する。
- 命題5ー11(同一の比に同じ比)
による。
 - 
 CG:GD=CF:FD
となっている。
 
ところが
 第1のCGは第3のCFより大きい。
したがって
 第2のGDも第4のFDより大きい。
- 命題5ー14(同じ比の前(後)項の大等小)
による。
 - 
 GD>FD
となっている。
 
しかも
 小さくもある。
これは不可能である。
それゆえ
 ABがBEに対するように、
 CDがFDより小さいものに対することはない。
[
大きいものに対するとしても、]
同様にして
 大きいものに対することもない
 ことを証明しうる。
- 
場合分け(2)のことで、
 これも背理法による。
 - 
 点G(CD;;AB:BE=CD:DG,DG>DF)
をとると、
 命題5ー17(比例なら分割比も比例)
により、
 AE:EB=CG:GD
ところが、
 命題の設定
により、
 AE:EB=CF:FD
よって、
 命題5ー11(同一の比に同じ比)
により、
 CG:GD=CF:FD
 点Gの取り方
により
 CG<CF
 命題5ー14(同じ比の前(後)項の大等小)
により
 GD<FD
ところが、
 点Gの取り方
により
 GD>FD
であった。
よって、
 矛盾が生じ、
 背理法
により
 GD>FDでない。
 
したがって
[
2つの場合の結果により、]
 FDそのものに対する。
よってもし
 量が
 分割比によって[得られた]比例する[量]
ならば、
 合比によっても
 比例するであろう。
これが証明すべきことであった。
- 
 命題5ー17(比例ならば分割比も比例)
の表現に合わせている。
 - 命題5ー18は、
 A:B=C:D
ならば
 (A+B):B=(C+D):D
のことである。
 - 命題5ー18は推論用命題である。
 
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