ユークリッド原論をどう読むか(14)
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ユークリッド原論
第10巻
命題10ー78
(平方和が中項面積、かこむ矩形が中項面積、平方で非通約の2線分の差は2中項面積の差に等しい正方形の辺)
二つの中項面積の差に等しい正方形の辺
もし
線分
から
その
線分
全体と
平方において通約
できない
線分
が
ひかれ、
全体とひかれた
線分
との上の
二つの
正方形
の和を
中項面積
とし、
それらによってかこまれる
矩形
の2
倍
を
中項面積
とし、
さらに
それらの上の
正方形
の和を
それらによってかこまれる
矩形
の2
倍
と
通約
できないようにする
ならば、
残りは
無理線分
である。
そして
二つの中項面積の差に等しい正方形の辺
とよばれる。
線分は、
定義の補足(命題1ー1)
による。
平方において通約は、
定義10ー2
による。
正方形は、
定義1ー22
による。
中項面積は、
定義の補足2(命題10ー23)
による。
矩形は、
定義1ー22
による。
倍は、
定義の補足(公理1ー5)
による。
通約は、
定義10ー1
による。
無理線分は、
定義10ー4
による。
二つの中項面積の差に等しい正方形の辺
とは、
平方において通約
できない
2線分が
平方和を中項面積
とし、
中項面積を矩形
としてかこみ、
平方和と矩形が
通約
できない
とき、
その差のこと
をいう。
(以下、
定義の補足(命題10ー78)
(二つの中項面積の差に等しい正方形の辺)という。)
線分
ABから
線分
BCが
ひかれ、
BCは
ABと
平方において通約
できず
与えられた条件を
満たす
とせよ。
命題10ー35
(作図.2線分;平方で非通約,平方和が中項面積,矩形は中項面積で平方和と非通約)
により、
2線分をとり、
大きい方をAB、
小さい方をBC
とし、
命題1ー3
(作図・等しい線分を切り取る)
により、
C’(AB;BC’=BC)
をとり、
改めて、
C’をC
とする
AB¬∩^2 BC、
正方(_AB)+正方(_BC);中項面積
矩形(AB、BC);中項面積
正方(_AB)+正方(_BC)¬∩矩形(AB、BC)
AB>BC
となっている。
残りのACは
中項面積と中項面積の差に等しい正方形の辺
とよぱれる
無理線分
である。
有理線分
DIが
定められ、
AB、BC上の
正方形
の和
に
等し
く、
DIにDGを
幅
とする
DEが
つくられた
とし、
矩形
AB、BCの2
倍
に
等し
いDHが
ひかれた
とせよ。
[......(1)]
命題の補足2(定義10ー3)
(作図.任意の有理線分)、
命題6ー16の補足3
(作図.線分上に矩形と等しい矩形)
による。
DI;有理線分、
矩形DE(DI、DG)=正方(_AB)+正方(_BC))、
矩形DH(DI、DF)=2矩形(AB、BC)、
となっている。
そうすれば
残りのFEは
AC上の
正方形
に
等し
い。
前節、
命題2ー7
(差の平方)
による。
矩形EF=正方(_AC)
となっている。
ゆえに
ACは
FEに
等し
い
正方形
の
辺
である。
[......(4)]
前節による。
正方(_AC)=矩形FE
となっている。
そして
AB、BC上の
正方形
の和は
中項面積
であり
DEに
等し
い
から、
DEは
中項面積
である。
命題の設定
、
(1)
による。
DE;中項面積
となっている。
そして
有理線分
DI上に
DGを
幅
として
つくられている。
(1)
による。
矩形DE;矩形(DI、DG)
となっている。
したがって
DGは
有理線分
であり
DIと
長さにおいて通約
できない。
[......(2)]
前節、前々節、
命題10ー22
(中項線分上正方形に等矩形で底辺有理線分なら幅は有理で非通約)
による。
DG;有理線分、
DG¬∩DI
となっている。
また
矩形
AB、BCの2
倍
は
中項面積
であり
DHに
等し
い
から、
DHは
中項面積
である。
命題の設定
、
(1)
による。
2矩形(AB、BC);中項面積、
矩形DH=2矩形(AB、BC);中項面積
となっている。
そして
有理線分
DI上に
DFを
幅
として
つくられている。
(1)
による。
矩形DH;矩形(DI、DF)
となっている。
したがって
DFも
有理線分
であり
DIと
長さにおいて通約
できない。
[......(3)]
前節、前々節、
命題10ー22
(中項線分上正方形に等矩形で底辺有理線分なら幅は有理で非通約)
による。
DF;有理線分、
DF¬∩DI
となっている。
そして
AB、BC上の
正方形
の和は
矩形
AB、BCの2
倍
と
通約
できない
命題の設定
による。
正方(_AB)+正方(_BC)¬∩2矩形(AB、BC)
となっている。
から、
DEも
DHと
通約
できない。
前節、
(1)
による。
矩形DE¬∩DH
となっている。
ところが
DEが
DHに
対するように
、
DGが
DFに
対する。
命題6ー1
(同高の三角形、平行四辺形は底辺と比例)
による。
DE:DH=DG:DF
となっている。
したがって
DGは
DFと
通約
できない。
前節、前々節、
命題10ー11
(4量比例で一方が通約なら他方も通約)
による。
DG¬∩DF
となっている。
そして
両方とも
有理線分
である。
(2)
(3)
による。
DG、DF;有理線分
となっている。
それゆえ
GD、DFは
平方においてのみ通約
できる
有理線分
である。
前節、前々節、
定義10ー3の補足
(有理線分)
による。
GD∩^^2 DF
となっている。
したがって
FGは
余線分
である。
前節、
定義の補足(命題10ー73)
(余線分)
による。
FG;余線分
となっている。
ところが
FHは
有理線分
である。
(1)
による。
FH;有理線分
となっている。
そして
有理線分
と
余線分
によってかこまれる
矩形
は
無理面積
であり、
それに
等し
い
正方形
の
辺
は
無理線分
である。
もし、
有理面積
とすれば、
前節、
命題10ー20
(有理線分上の有理面積の矩形幅は底辺と長さで通約)
により、
FGは
FHと
通約可能な有理線分となり、
前々節と
矛盾するから。
矩形FE;無理面積、
AC;正方(_AC)=矩形FE;無理線分
となっている。
そして
ACは
FEに
等し
い
正方形
の
辺
である。
(4)
による。
正方(_AC)=矩形FE
となっている。
よって
ACは
無理線分
である。
前節、前々節による。
AC;無理線分
となっている。
そして
二つの中項面積の差に等しい正方形の辺
とよぱれる。
前節、
命題10ー78の補足
(二つの中項面積の差に等しい正方形の辺)
による。
AC;二つの中項面積の差に等しい正方形の辺
となっている。
これが証明すべきことであった。
命題10ー78
は、
命題10ー35
(作図.2線分;平方で非通約,平方和が中項面積,矩形は中項面積で平方和と非通約)
により、
2線分を
とり、
大きい方を
AB、
小さい方を
BC
命題1ー3
(作図・等しい線分を切り取る)
により、
ACからBCを
引くと、
残りのACは
二つの中項面積の差に等しい正方形の辺と
よばれる
無理線分
のことである。
命題10ー78
は推論用命題である。
前提
作図・構成
推論
定義
10-3補
,
補(題10-73)
,
補(題10-78)
公準
公理
命題
1-3
,
6-16補3
,
補2(義10-3)
,
10-35
2-7
,
6-1
,
10-11
,
10-20
,
10-22
その他
背理法
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