ユークリッド原論をどう読むか(2)
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ユークリッド原論
第1巻
命題1ー23(作図・直線上に指定された角)
与えられた直線上に
その上の点において
与えられた直線角に等しい直線角をつくること。
与えられた直線をAB、
その上の点をA、
与えられた直線角を角DCE
とせよ。
このとき
与えられた直線AB上に
その上の点Aにおいて
与えられた直線角DCEに
等しい直線角をつくらねばならぬ。
CD、CEの双方の上に
任意の点D、Eがとられ、
DEが結ばれたとせよ。
- 公準1ー1(作図.直線)
による。
-
線分(D,E)
をとっている。
そして
3線分CD、DE、CEに
等しい3線分から
三角形AFGがつくられ、
CDはAFに、CEはAGに、DEはFGに
等しくなるようにせよ。
【・・・(a)】
-
命題1ー3の補足(作図.等しい線分となる点)
により、
AB上に
AGがCEに等しくなるようにGをとり、
AFがCDに、
FGがDEに等しくなるように
命題1ー22作図・3線分から三角形)
により三角形をつくる。
-
この3線分は、
三角形をつくっていたものであるから、
命題1ー20(三角形の2辺の和と1辺)
により、
命題1ー22(作図・3線分から三角形)
の条件を満たす。
-
点G(半直AB;;AG=AE)、
点F;頂点.三角(_AG;;AF=CD,GF=ED)
をとっている。
そうすれば
2辺DC、CEは
2辺FA、AGにそれぞれ等しく、
底辺DEは底辺FGに等しいから、
角DCEは角FAGに等しい。
-
(a)
,
命題1ー8(3辺相等2)
による。
-
(DC,CE)=(FA,AG)、
DE=FG
∠DCE=∠FAG
となっている。
よって
与えられた直線AB上に
その上の点Aにおいて
与えられた直線角DCEに
等しい直線角FAGがつくられた。
これが作図すべきものであった。
-
命題1-23は
直線AB、
∠DCE
に対して、
点G(半直AB;;AG=AE)、
点F;頂点.三角(_AG;;AF=CD,GF=ED)
をとれば、
∠DCE=∠FAG
のことである。
-
命題1-23は作図用命題である。
今回は、ここで紙面が尽きてしまった。
前号と併せて既にお気づきと思われるが、
原論の命題は
「これが作図すべきものであった。」か
「これが証明すべきことであった。」で証明が終わる。
このことからわかるとおり、
命題は、作図用のものと推論用のものとに分類できる。
この観点に立てば、
公準や公理も作図用と推論用に
分かれるのではないかと考えて、
各命題のコメントの最後に
表としてまとめてある。
まとめから判断するに、
前号の最初に指摘したことだが、
公準は作図に関係し、
公理は推論に関係していることが間違いない。
この論考の目的の一つは、
このことの実証である。
どこまで実証できるか心もとないが、
せめて第一巻を終えることを目標としたい。
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