ユークリッド原論をどう読むか(2)
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ユークリッド原論
第1巻

命題1ー23(作図・直線上に指定された角)
与えられた直線上
 その上のにおいて
 与えられた直線角等しい直線角をつくること。 与えられた直線をAB、
 その上のをA、
 与えられた直線角DCE
とせよ。

このとき
 与えられた直線AB上に
 その上のAにおいて
 与えられた直線角DCEに
 等しい直線角をつくらねばならぬ。

CD、CEの双方の上に
 任意のD、Eがとられ、 DEが結ばれたとせよ。 そして
 3線分CD、DE、CEに
 等しい線分から
 三角形AFGがつくられ、
 CDはAFに、CEはAGに、DEはFGに
 等しくなるようにせよ。
      【・・・(a)】 そうすれば
 2DC、CEは
 2FA、AGにそれぞれ等しく
 底辺DEは底辺FGに等しいから、
 DCEはFAGに等しい よって
 与えられた直線AB上に
 その上のAにおいて
 与えられた直線角DCEに
 等しい直線角FAGがつくられた。

これが作図すべきものであった。 今回は、ここで紙面が尽きてしまった。
前号と併せて既にお気づきと思われるが、
 原論の命題は
 「これが作図すべきものであった。」か
 「これが証明すべきことであった。」で証明が終わる。
このことからわかるとおり、
 命題は、作図用のものと推論用のものとに分類できる。
 この観点に立てば、
 公準や公理も作図用と推論用に
 分かれるのではないかと考えて、
 各命題のコメントの最後に
 表としてまとめてある。
まとめから判断するに、
 前号の最初に指摘したことだが、
 公準は作図に関係し、
 公理は推論に関係していることが間違いない。
 この論考の目的の一つは、
 このことの実証である。
どこまで実証できるか心もとないが、
 せめて第一巻を終えることを目標としたい。

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