ユークリッド原論をどう読むか(2)
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ユークリッド原論
第1巻
命題1ー17(三角形の2角の和)
すべての三角形において
どの2角をとって
も
その和は2直角より小さい。
ABCを三角形
とせよ。
三角形ABCのどの2角をとって
も
その和は2直角より小さい
と主張する。
BCがDまで延長された
とせよ。
【・・・(a)】
-
公準1ー2(作図.直線の延長)
による。
-
点D[延長BC]
をとっている。
そうすれば
角ACDは
三角形ABCの外角である
から、
内対角ABCより大きい。
-
命題1ー16(外角と内対角)
による。
-
∠ACD>∠ABC
となっている。
角ACBが双方に加えられた
とせよ。
そうすれば
角ACD、ACBの和は
角ABC、BCAの和より大きい。
-
公理1ー4(不等なものに等しいものを加える)
による。
-
∠ACD+∠ACB
>∠ABC+∠BCA
となっている。
ところが
角ACD、ACBの和は2直角に等しい。
-
(a)
,命題1ー13(直線と2直角1)
による。
-
∠ACD+∠ACB=2×∠R
となっている。
したがって
角ABC、BCAの和は
2直角より小さい。
- 公理1ー8の補足2(等より大・小、大・小に等)
による。
-
∠ABC+∠BCA<2×∠R
となっている。
同様にして
角BAC、ACBの和も、
また
角CAB、ABCの和も
2直角より小さい
ことを証明しうる。
よって
すべての三角形において
どの2角をとって
も
その和は2直角より小さい。
これが証明すべきことであった。
- 命題1-17は、
△ABC
において、
∠ABC+∠BCA<2×∠R、
∠BCA+∠CAB<2×∠R、
∠CAB+∠ABC<2×∠R
のことである。
- 命題1-17は推論用命題である。
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