ユークリッド原論をどう読むか(2)
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ユークリッド原論
第1巻
命題1ー20(三角形の2辺の和と1辺)
すべての三角形において
どの2辺をとって
も
その和は残りの1辺より大きい。
ABCを三角形
とせよ。
三角形ABCのどの2辺をとっても
その和は残りの1辺より大きい、
すなわち
BA、ACの和はBCより、
AB、BCの和はACより、
BC、CAの和はABより
大きい
と主張する。
BAが点Dまで延長され、
ADがCAに等しくされ、
-
公準1ー2(作図.直線の延長)、
命題1ー3(作図・等しい線分を切り取る)
による。
-
点D(延長BA;;AD=CA)
をとっている。
DCが結ばれた
とせよ。
【・・・(a)】
-
公準1ー1(作図.直線)
による。
-
線分(A,D)
をとっている。
そうすれば
DAはACに等しい
から、
角ADCもACDに等しい。
-
命題1ー5(2等辺三角形の底角)
による。
-
∠ADC=∠ACD
となっている。
それゆえ
角BCDは角ADCより大きい。
そして
DCBは角BCDが
角BDCより大きい三角形であり、
大きい角には大きい辺が対する
から、
DBはBCより大きい。
-
命題1ー19(三角形の大きい辺と大きい角2)
による。
-
DB>BC
となっている。
ところが
DAはACに等しい。
ゆえに
BA、ACの和はBCより大きい。
-
公理1ー8の補足2(等より大・小、大・小に等)
による。
-
BA+AC>BC
となっている。
同様にして、
AB、BCの和もCAより、
BC、CAの和もABより
大きい
ことを証明しうる。
よって
すべての三角形において
どの2辺をとって
も
その和は残りの1辺より大きい。
これが証明すべきことであった。
- 命題1-20は。
△ABC
において、
BA+AC>BC、
AB+BC>AC、
BC+CA>AB
のことである。
- 命題1-20は推論用命題である。
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